発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 552ページ 上製
定価:5,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2788-4 C0322
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年06月
書店発売日:2008年06月11日
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ブラジルの歴史学の第一人者による通史。16世紀の新大陸発見から現代までのブラジルの歴史を概説。原著はすでに欧米各国でも翻訳され、高い評価を得ている。単なる歴史叙述にとどまらず、ブラジル史の中心的なテーマに関する議論も盛り込んだ興味深い良書。
目次
日本語版への序
第1章 植民地時代(一五〇〇〜一八二二年)
第2章 帝政時代(一八二二〜八九年)
第3章 第一共和政時代(一八八九〜一九三〇年)
第4章 ジェトゥリオ・ヴァルガスの国家(一九三〇〜四五年)
第5章 民主主義の実験(一九四五〜六四年)
第6章 軍事政権と民主主義への移行/確立(一九六四年〜)
結語
訳者解説
図版出典一覧
参考文献
関連年表
索引
前書きなど
日本語版への序
(…前略…)
さて、以下では、本書を日本の読者の皆さんにお読みいただくにあたり、いくつか留意した点をご説明します。まず、両国の深い絆にもかかわらず、日本ではブラジルの歴史はあまり知られていないという前提から、歴史叙述に力点を置き、ポルトガル領アメリカ植民地〔植民地期ブラジル〕と独立以降のブラジルに関して、私が基本的だと考える知識を提供することにしました。この選択には、読者の予備知識不足を放置しないという利点があります。その反面、読者を歴史叙述に付き合わせるというやり方は、方法論上、時代遅れのものであり、重要な出来事を表面的に理解して終わってしまう恐れを免れません。
私は、叙述とブラジル史の中心的なテーマに関する議論を組み合わせることで、この欠点を極力埋め合わせようとしました。そこで、ブラジルの奴隷制度の性格、独立後にブラジルが分裂しなかったこと、権威主義体制から民主主義への移行の特徴などの議論を織り込みました。また、ブラジル史研究における重要な論争も読者に紹介するよう努めました。これによって、過去について異なる解釈がありうることとともに、歴史というものが常に見直しやさらに精緻な研究の対象となることを示せるでしょう。
本書を読んでいただければ、読者の皆さんに私の執筆意図をよく理解してもらえるでしょうが、もう一点だけご説明しておきたいと思います。私は、ブラジルの歴史に関する二つの相対立する視点を避けました。一つは、常に進歩し続ける進化論的な過程として捉える視点です。近年の一連の出来事は、こうした単純な見方が正しくないことを物語っています。もう一つは、「惰性」を強調する見方です。たとえば、政治的な庇護、汚職、社会に対する国家の優位から起こるさまざまな問題が時代を通じて繰り返され、不変であるとするもので、私はこうした視点には立ちません。
奇妙なことですが、後者の視点は、革命のイデオロギーとも保守的な政治的姿勢ともつながりがあります。革命派にとって、政治的・社会的支配はどの点から見ても単一かつ同一であり、漸進的な変革は無益だとされます。そこで、一刀両断の決別を求めるのです。一方、この視点に立つ保守派は、変革に懐疑的であったり、さらに進んで、国の進路を強制的に変えさせるため、権威主義的な政府の介入を求めたりします。
本書は、この二つとは正反対の視点に立っています。時代を追って叙述することにより、同じ状況が続き現状追認がなされていながら、ブラジルは変化する(ときには政治の面で、ときには社会・経済的な面で、またその両方で)ことを示そうとしました。
厳密に言えば、文化は本書の対象としなかったこともお伝えしておかなければならないでしょう。熟慮の結果ですが、けっして文化を軽視するわけではありません。文化を取り上げなかったのは、社会的・政治的現象と文化的現象の相互関連は、その複雑さと重要性ゆえに、別の本としてまとめられるべきテーマだと考えたからです。
啓蒙書としての本書の性格から、関連する情報や典拠を示す注は省略しました。これによって本書が読みやすくなったと同時に、問題点も生まれました。本書は、執筆のために私が選び、利用した他の著述家たちの作品に多くを負っています。公平さを欠いているとか、剽窃であるとかという批判を受けないためには、どうしたらよいのでしょうか。私は、この問題点を解消するため、巻末に参考文献の一覧を載せました。ただし、そこには私が目を通した文献を網羅的に示してあるわけでもなければ、それが完璧な基本文献一覧でもないことをお断りしておかなければなりません。あくまで本書の執筆のために利用したものに限定して提示してあります。
著者プロフィール
ボリス・ファウスト(ファウスト,ボリス)
1930年、サンパウロ市内で生まれる。サンパウロ大学(USP)法学部卒。同大学文哲部歴史学科、のち政治学科で長く文明史、政治史を担当する。退官後は、オックスフォード大学セント・アンソニー・カレッジ(イギリス)、ブラウン大学(アメリカ合衆国)、マル・デル・プラタ国立大学(アルゼンチン)など海外の大学で教鞭をとった。サンパウロ大学名誉教授。
〈主要著書〉
A Revolucao de 1930: Historiografia e historia (Sao Paulo: Brasiliense, 1970)
Trabalho urubano e conflito social, 1890-1920 (Sao Paulo: Difel, 1975)
Crime e cotidiano: A criminalidade em Sao Paulo, 1880-1924 (Sao Paulo: Brasiliense, 1984)
Getulio Vargas (Sao Paulo: Companhia das Letras, 2006)
Boris Fausto & Fernando J. Devoto, Brasil e Argentina: Um ensaio de historia comparada, 1850-2002 (Sao Paulo: Editora 34, 2004)
(注:web上ではアクサン記号などは省略しています)
鈴木 茂(スズキ シゲル)
1956年、三重県生まれ。東京外国語大学教授。歴史学(ブラジル史)。
〈主要著訳書〉
『〈南〉から見た世界05 ラテンアメリカ——統合と拡散のエネルギー』(共著、大月書店、1999年)
『ラテンアメリカからの問いかけ——ラス・カサス、植民地支配からグローバリゼーションまで』(共著、人文書院、2000年)
『ラテンアメリカ 政治と社会』(共著、新評論、2004年)
シッコ・アレンカール他『世界の教科書シリーズ7 ブラジルの歴史——ブラジル高校歴史教科書』(共訳、明石書店、2003年)
ジルベルト・フレイレ『大邸宅と奴隷小屋——ブラジルにおける家父長制家族の形成』上・下(翻訳、日本経済評論社、2005年)
ルシア・ナジブ編『ニュー・ブラジリアン・シネマ——知られざるブラジル映画の全貌』(監訳、プチグラパブリッシング、2006年)
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