学習者と作る対話の教室と教師の役割教室文化と日本語教育
塩谷 奈緒子
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 392ページ 上製
定価:6,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2774-7 C0037
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年04月
書店発売日:2008年05月01日
※送料は無料です
※版元より営業日2~5日でお届けします
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカード(VISA、MasterCard、DC、JCB、AMEX、Diners、Nicos、UFJ)がご利用になれます

紹介

外国人を対象とした日本語教室活動を、教室外社会との関係性において捉え直し、「教室文化」という新たな視点から「教室文化」を作る教師の役割について考えるとともに、学習者の対話的コミュニケーション能力育成のための教室活動の可能性を探る。

目次


 はじめに(本書の背景と目的)

第1部 理論編:教導的な教室文化から協働的な教室文化へ
 1 日本語教育における教室活動
 1-1 「学習者の解放」における教室内と教室外
 1-2 教室内活動と教師の役割
 1-3 教室外活動と教師の役割
 1-4 「学習者の解放」の問題点
 2 教室文化と教室の捉え直し
 2-1 IRE/IRFとデフォルトとしての教室文化
 2-2 教室内と教室外の対置:教室文化の放棄と教室外への接近・模倣
 2-2-1 正統的周辺参加と認知的徒弟制
 2-2-2 「教室外の自然視」により不可視となるもの
 2-3 教室内と教室外の並置:教室の再文脈化と対話のコミュニティ
 3 教室文化の再構築
 3-1 教室文化の再定義:媒介(アーティファクト,人,相互行為)という視点
 3-2 新たな教室文化の創造:媒介の作り変え
 4 まとめ:協働的な教室活動を目指して

第2部 実践編:対話の教室における教室文化作り
 1 分析対象と分析方法
 1-1 クラス構成
 1-2 クラス目標と活動内容
 1-3 分析データの形態
 1-4 分析方法と視点
 2 分析と考察
 2-1 分析1 教室文化作り:アーティファクトと人の配置
 2-1-1 分析と考察(1)
 2-1-1-1 活動のテーマ性:テーマと自分との「関係性」を語る
 2-1-1-2 授業の公共性と評価:相互自己評価
 2-1-1-3 クラス構成と形態:他クラスとの合同授業・クラス外対話
 2-1-1-4 活動支援者:サポーターとボランティア
 2-1-1-5 担当者間の分担と連携:メタ的振り返り授業
 2-1-1-6 教室外学習者支援:メーリングリストの活用
 2-1-1-7 後行型学習素材:単語・文型リスト
 2-1-1-8 教室内媒介物と空間利用
 2-1-2 分析結果(1)
 2-2 分析2 教室文化作り:教室内相互行為への関与
 2-2-1 分析と考察(2)
 2-2-1-1 第1週:「動機」の検討と教室文化作りの始まり
 2-2-1-2 第2週:学習者間の断片的なやりとりの発生
 2-2-1-3 第3週:協働的相互行為発生の兆し
 2-2-1-4 第4週:「対話」の開始
 2-2-1-5 第5週:「対話」とは何か
 2-2-1-6 第6週:認知の網目の広がりと学習者間の対話の活性化(1)
 2-2-1-7 第7週:認知の網目の広がりと学習者間の対話の活性化(2)
 2-2-1-8 第8週:教室文化の定着と「間」の支援
 2-2-1-9 第9週:「オリジナリティ」とは何か
 2-2-1-10 第10週:「結論」検討の始まり
 2-2-1-11 第11週:対話構造・参加構造・役割構造の重層化(1)
 2-2-1-12 第12・13週:対話構造・参加構造・役割構造の重層化(2)
 2-2-2 分析結果(2)
 3 まとめ:対話の教室のデザインと活動支援

第3部 結論:教室文化と日本語教育
 1 日本語教師・学習者と教室文化
 1-1 日本語教室の捉え直しと教室文化の再構築
 1-2 教室文化論:「教室文化」という視点
 1-3 学習者と作る対話の教室と教師の役割
 1-4 教師の権力,教室内と教室外,教室で生成される学習者の言語・コミュニケーション・文化能力
 2 今後の課題と展望

 資料
 あとがき
 関連文献一覧
 索引

前書きなど


はじめに(本書の背景と目的)

 (…前略…)

 では,学習者の自立的で協働的な考え方や表現活動,そうした態度や行動は,教室活動においていかに立ち現れ,また,そのために,教室は,そして,教師は何ができるのだろうか.
 本研究は,以上のような筆者の問題意識を出発点とし,日本語教室活動を教室外社会との関係性において捉え直し,「教室文化」という視点から教室の出来事について考える.そして,教室活動自体を再構造化・再文脈化する試みについて検討するため,学習者の対話能力育成を目指した日本語教室活動を分析し,教室活動における教室文化作り,また,教室文化とはいかなるものかを考察する.
 本書は,第1部「理論編」と,第2部「実践編」,そして,第3部「結論」から構成される.まず,本研究の第1部「理論編」の1においては,1980年代から日本語教育界に登場し始めた,学習者のインターアクション能力・コミュニケーション能力育成を目指し,教室内外にまたがって行われる新しい形の日本語教育活動(「学習者の解放」)に注目し(1-1),その教室内活動(1-2)と教室外活動(1-3)の位置づけと意味,活動における教師の役割について考察する.
 そして,そうした活動において,コミュニケーションの量的側面にのみ関心が集まり,コミュニケーションの深度や過程等,コミュニケーションの質的側面が十分問題とされていない点,また,教室内活動と教室外活動とが質的に乖離している点をその主な問題点として挙げ,そこから,学習者の対話的コミュニケーション能力育成の必要性と,それを実現するための教室活動の可能性について考える(1-4).
 次に,第1部の2では,1で提起した問題を解明するため,これまで,主に,教室研究の領域で探求されてきた教室改変の試みについて考察し,「教室文化」という考え方に基づき,「教室文化を作る」教師の役割について考える.
 具体的には,2では,まず,教室研究の分野で古くから研究されてきた教室文化の概念について検討し(2-1),その批判から生まれた二つの立場——教室内と教室外の「対置」(2-2)と,教室内と教室外の「並置」(2-3)——について考察する.
 2-3では,教室の「内対外」という物理的な境界に固執するのではなく,教室内外に普遍的に存在しうる可能文化を抽出し,教室を対話的・談話的コミュニケーションの場へと再文脈化していく試みについて検討する.そして,次の3では,社会文化的アプローチの「アーティファクト」という概念から教室文化を再定義し(3-1),そうした教室文化の改変は具体的にいかになされうるのかを考える(3-2).
 そして,次の第2部「実践編」では,第1部で検討した,教師による教室文化作りが実際にいかになされうるのか,また,そうした教室文化作りの過程や結果において,学習者がいかなる表現活動を展開し,教室で,いかなる教室現実が生起し,いかなる教室文化が生成されうるのかを明らかにするため,筆者が担当した日本語教室活動(2004年度春学期・早稲田大学日本語研究教育センター〔現早稲田大学日本語教育研究センター〕・別科日本語専修課程・活動型日本語3Bクラス)を質的・時系列的に分析していく.
 さらに,最後の第3部の1では,本研究全体を振り返り(1-1),「教室文化」という視点,考え方(1-2)や,対話の教室とそこにおける教師の役割(1-3),さらに,本研究における教師の権力観,教室内外観,教室において生成される対話的で関係的なコミュニケーションや文化能力について総括し(1-4),日本語教育において,教師が学習者と共に教室文化を作り出し,学習者が教室文化を生きることの意味について結論を述べる.最後に,2で今後の課題と展望をまとめ,本研究の結びとしたい.

著者プロフィール

塩谷 奈緒子(シオヤ ナオコ)

1971年生まれ.早稲田大学大学院日本語教育研究科博士後期課程単位取得退学.博士(日本語教育学).現在,早稲田大学日本語教育研究センター客員講師(専任扱い).
[主要著書・論文]
「『学習者の解放』の環境設定と活動支援 『学習者の教室からの解放』と『学習者の教室内での解放』」(「21世紀の『日本事情』」編集委員会編『21世紀の「日本事情」』第5号,くろしお出版,2003年),『考えるための日本語』(共著,明石書店,2004年),「学習者と作る日本語教室と教師の役割」(『講座 日本語教育』第42分冊,早稲田大学日本語教育研究センター,2006年)など.

※送料は無料です
※版元より営業日2~5日でお届けします
※お支払いは郵便振替(到着後後払い)・クレジットカード(VISA、MasterCard、DC、JCB、AMEX、Diners、Nicos、UFJ)がご利用になれます


タグで関連している本:

コメントとトラックバック »

まだコメントとトラックバックはありません

TrackBack URI : http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7503-2774-7.html/trackback/

コメントをどうぞ

お寄せいただいたコメントは、当サイトに掲載されますが、内容によっては削除させていただく場合がございます。なお、コメントへの回答は原則としていたしておりません。当サイト・著者・各版元へのお問い合わせの際は、お問い合わせフォームをご利用下さい。

▲ページの上端へ