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家族が作る 自閉症サポートブック
わが子の個性を学校や保育園に伝えるために
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2008年4月
- 書店発売日
- 2008年4月4日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2015年4月30日
紹介
サポートブックは自閉症の子どもをもつ家族が学校の教師など支援者に子どもの特性やその援助方法をわかりやすく伝えるため考案した優れもの。本書は「サポートブックはなぜ必要か」「作り方」「事例集(7名)」で構成、実際のサポートブック作りを支援する。
目次
はじめに
第1章 サポートブックはなぜ必要か――子どもの現実・学校の現実
1.子どもの現実――子どもは一人ひとり違う
2.学校の現実
3.書いておきたい基本項目
4.子どもから見た集団
5.支援者(教師)との信頼関係を築くために
6.特別支援教育のスタートと家族の参加
サポートブックQ&A
資料1 サポートブックの活用状況(アンケート結果より)
資料2 支援者(サポートブックを読んだ教師)の感想
解説 高機能自閉症とアスペルガー症候群(いわゆる高機能群について)
第2章 サポートブックの作り方(ひな形付き)
1.サポートブックとは(目的)
2.サポートブックのメリット
3.就学(就園)で使用する際のメリット
4.作り方のポイント
5.基本項目
6.フォームについて・その他
サポートブックのひな形
第3章 事例集
1.しょうたくん 幼稚園年長 自閉症
2.ゆいかちゃん 幼稚園年長 アスペルガー症候群
3.いっぺいくん 小1情緒学級 自閉症
4.じろうくん 小1情緒学級 高機能自閉症
5.まさきくん 小2情緒学級 自閉症
6.あきらくん 小3情緒学級 アスペルガー症候群
7.りょうくん 小6特別支援学校 自閉症
おわりに
参考図書
前書きなど
はじめに(服部陵子)
自閉症とその関連障害の診断を受けた子どもの家族がもっとも悩むことの一つは、「子どものもつ特性やそれに対する支援を保育園や学校の先生たちにどのように伝えたらよいのか」という問題です。子どもの指導に親として真摯に向き合うほど、家庭外での支援についても悩みが起きるのは、自閉症の支援の特異さやむずかしさから考えて当然のことです。
サポートブックは、このような家族の悩みに対する答えの一つであり、自閉症をもつ子どもの状態を家族以外の支援者にわかりやすく伝える方法です。私どもの知るかぎりでは、香川県に住む自閉症の青年(現在は成人)のお母さんである丸岡玲子さんが、支援者にわが子の様子をわかりやすく伝えるために考案して作成され、その後いろいろな場に広がっています。丸岡さんが『サポートブックの作り方・使い方――障害支援のスグレもの』(おめめどう、2005年)を出版され、ウェブでも発信されたことで、その恩恵にあずかった人たちは全国に数多いと思います。
私たちも家族の要請に押されてサポートブックの勉強会を開き、実際に何人もの家族が作ってみました。実際に作ってみると、わかりやすく伝えることは思った以上にむずかしく、作るのにとても頭を悩ましたり、どこまで伝えるべきか何度も悩んだりした、との感想が多く寄せられました。その反面、出来上がったものを読んでみると、家族でなければここまで具体的に子どものむずかしさを把握できないだろうと感じました。家族によるサポートブックは、一人ひとりがもつ特性の表れ方や広がりの差も描き出します。
医療の場にいる者は、障害をもつ子どもの様子をかなり知っているつもりでも、毎日接して苦労している家族ほどには細かい様子や微妙なむずかしさを知りません。そこに家族がサポートブックを作る意味があります。また、人への関わり、言葉、行動、感覚、認知の全般にわたって、反応や行動の様子を具体的に記し、その支援法についても具体的に書かれたサポートブックは、専門家が作る学校向け文書よりもわかりやすく、説得力があります。
第3章では7名の子どもの家族が作ったサポートブックをサンプルとして示しました。これから作りたいと思っている家族に参考にしていただくのが目的です。
自閉症の特性が理解されて必要な支援を受け、周りと良好な関係をもち、社会生活の力をつけていくこと、これが家族の共通の願いだと思います。サポートブックは、そのような支援の実現に向けて、とても役に立つアイテムだと思います。
上記内容は本書刊行時のものです。