新たな社会の構想を求めて脱オリエンタリズムと中国文化
中村 則弘:編著
発行:明石書店
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四六判 256ページ 上製
定価:3,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2722-8 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年02月
書店発売日:2008年03月06日
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紹介

大きな変革期を迎えている中国を題材に、世界史的潮流をにらんだ東アジア社会の新構想を提示すべく、日中の社会学者が協力して編纂するシリーズの第1回配本。本書は中国社会を素材とする必要性に論及し、その捉え方を提示する。

目次

 刊行にあたって(中村則弘)
 刊行に寄せて(李培林)
 はじめに——全体構想と分析方法(中村則弘)
  1.目的・課題と編集方針
  2.研究手法のバランスについて——分析において留意した内容
  3.叢書の全体構成
  おわりに

序章 脱オリエンタリズムと近代化のせめぎあい(中村則弘)
 はじめに
 第1節 日本における中国社会研究の系譜をめぐって
 第2節 脱オリエンタリズムと近代化論
 第3節 本書の構成
 おわりに

第1部 中国的倫理と内発的発展

1章 中国社会と中国的倫理(駒井洋)
 第1節 高度経済成長のもたらしたもの
 第2節 欲望の統制に指向する伝統的諸思想
 第3節 近代および現代の思想状況
 第4節 欲望の統制の可能性

2章 内発的発展論の展開過程と現代中国(宇野重昭)
 はじめに
 第1節 内発的発展論の起源
 第2節 内発的発展論の提起
 第3節 内発的発展論の展開
 第4節 中国と内発的発展論
 おわりに

第2部 近代化とのせめぎあい

3章 東アジアにおける農村=都市関係の変化(北原淳)
 はじめに
 第1節 東アジアの都市の発展と二重構造の再編
 第2節 東アジアの農業・農村経済の変化
 第3節 農村=都市関係と農村開発のあり方
 第4節 持続的な地域開発のための制度と主体
 第5節 むすびにかえて:市場に対する接近の差異のメカニズム

4章 中国流動民工の社会的ネットワーク(李培林)
 第1節 労働力移動と社会移動:経済学と社会学の異なる見方
 第2節 理論の仮説と資料の出所
 第3節 農民工の社会的ネットワークと交際形態
 第4節 結論と流動民工に関する将来の展望

5章 発展・変化しつつある中国の農業、農村と農民(陸学芸)
 はじめに
 第1節 農業問題
 第2節 農民問題
 第3節 農村問題
 おわりに

6章 数量分析から見る中国各地の地域性——教育にかかわる指標の地域差を題材として(松木孝文)
 第1節 研究の目的
 第2節 数量的分析に見る地域性
 第3節 結びにかえて

第3部 新たな変動の位置づけ

7章 社会福祉の文化——中国式の「家庭経済」と「家庭福祉」(羅紅光)
 第1節 「家庭経済」と「家庭福祉」の関係とその変遷
 第2節 中国式高齢化社会における社会福祉の三大圧力
 第3節 家庭福祉の直面する社会的危機と新しい課題
 第4節 参与型公共サービス——社会化の実践

8章 渾沌と社会変動——中国にみる担い手の生活指針から(中村則弘)
 はじめに
 第1節 渾沌をめぐって——境界,両義性と相互流動
 第2節 変動の担い手の生活指針にみる両義性と相互流動
 第3節 内的動因との関
 第4節 変動において渾沌のもつ意味

結章 東アジアからの発展の構想に向けて(中村則弘)
 はじめに
 第1節 東アジアの捉え方
 第2節 東アジアからの新たな発展構想をめぐって
 第3節 脱オリエンタリズムへの傾斜
 おわりに せめぎあいからの発展にむけて

 あとがき(羅紅光)

 索引
 編者・執筆者・翻訳者略歴

前書きなど

結章:おわりに せめぎあいからの発展にむけて(中村則弘)

 これまで検討してきた内容からは,東アジアからの発展構想について,「せめぎあい」というキーワードが提示できるように思われる。それは何より,脱オリエンタリズムと近代化という視角の相互間であれ,脱オリエンタリズムの視角の内部であれ,「せめぎあい」ということが大きな意味をもっていたからである。また,その先にあるのはいま一つのキーワードであり,それはせめぎあいからの「共存」と「調和」である。
 都市と農村の関係の再編,差異と地域文化,渾沌と内発的発展という内容は,それらそのものが,新たな東アジアからの発展構想に結びつくものとなっていたといえる。さらにここで特に注意しておきたいことがある。それは,分析視角にかかわる価値前提において総括したことがらについてである。このことについては,脱オリエンタリズムと近代化とのせめぎあい,脱オリエンタリズムのなかでのせめぎあい,という相違がみられていた。この相違は,構想として短期的ないしは中期的なものか,長期的なものかとの異同に拠っていると考えてよい。このことを基準とすれば,われわれは短期的・中期的構想,長期的構想というような実践に即した取りまとめが可能となる。また,これらの両種の構想を貫くような,全体的といってよいものも提起できると思われる。

著者プロフィール

中村 則弘(ナカムラ ノリヒロ)

愛媛大学教授。筑波大学大学院社会科学研究科博士課程修了(社会学博士)
主要業績
『台頭する私営企業主と変動する中国社会』(ミネルヴァ書房,2005年)。
『脱オリエンタリズムと日本における内発的発展—東アジアの視点から—』(東京経済情報出版,2005年)。
『中国社会主義解体の人間的基礎』(国際書院,1994年)。
【執筆者略歴】(執筆順)

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