発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 312ページ 上製
定価:3,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2716-7 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年02月
書店発売日:2008年03月06日
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紹介
バングラデシュの開発論は盛んに取り上げられてきたが、大半が農業・農村開発に関するもので、都市にはあまり目が向けられてこなかった。本書は首都ダカで行った現地調査に基づいて環境問題解決への包括的な接近方法がどうあるべきかを、社会学の視点から論じている。
目次
はじめに
1 本書の目的
2 ダカ市の都市環境論に関する先行研究の紹介
3 本書の特長
4 本書の構成
第1部
第1章 ダカ市の都市拡大と都市環境問題
はじめに
第1節 バングラデシュの地理的概況
第2節 ダカ市の都市拡大
第3節 都市環境問題の現状と法制・システム整備の遅れ
むすびにかえて
第2章 屎尿処理の歴史と下水処理問題
はじめに
第1節 イギリス植民地期における下水道導入前のダカ市の屎尿処理方法の変化
第2節 下水道の敷設
第3節 今日の下水道関連の諸問題
むすびにかえて
第2部
第3章 廃棄物管理システムの現状とその課題
はじめに
第1節 ダカ市の公益サービス改善のための国際協力
第2節 廃棄物管理の現状
第3節 廃棄物管理の課題と留意点
第4節 今後の改善策について──第一次収集に焦点を絞って
むすびにかえて
第4章 社会配慮的視点からの廃棄物管理へのアプローチ
はじめに
第1節 清掃業・清掃人の歴史・社会文化的背景
第2節 ウェイストピッカー・有価廃棄物回収業者への対応
第3節 廃棄物管理における住民参加の重要性
第4節 廃棄物関連教育・公共意識の醸成
第5節 最終処分地における住民との合意形成
むすびにかえて
第5章 清掃労働者の実態
はじめに
第1節 JICA報告書に見る清掃労働者
第2節 バングラデシュの清掃労働者に関する文献紹介
第3節 グルシャンの清掃労働者コロニーの諸特徴
第4節 ダカ市の清掃労働者コロニーの諸特徴──筆者の個人調査を通して
むすびにかえて
第6章 環境保全・廃棄物管理への取り組み──NGOの視点から
はじめに
第1節 バングラデシュのNGOの動向と環境・廃棄物管理NGO
第2節 環境NGO・廃棄物管理NGOの事例紹介
第3節 廃棄物管理NGO「ウェイスト・コンサーン」のリサイクル関連活動の展開
むすびにかえて──環境NGO・廃棄物管理NGOの成果と課題
第3部
第7章 都市部の地域開発と国際協力——ダカ市コッランプル地区における雨水排水施設整備プロジェクトを通して
はじめに
第1節 ダカの都市拡大と洪水への対策案
第2節 ダカの洪水対策と日本政府の援助
第3節 コッランプル地区雨水排水対策事業後の成果と問題点
第4節 コッランプル地区の開発動向と「地域開発」のあり方
むすびにかえて
第8章 都市環境および廃棄物管理に対する地域住民の意識と行動
はじめに
第1節 厨芥類のコンポスト化作業に関する中間層・高所得層居住区住民の認識
第2節 地域社会内・地域社会間における環境共生の可能性の検証──ミルプール地区における「環境意識・行動に関する地域住民簡易調査」を通して
むすびにかえて
第9章 都市住民の隣人関係──中間層と低所得層の比較を通して
はじめに
第1節 地域社会の隣人関係の表象──小学校教科書より
第2節 バングラデシュの大都市中間層の隣人関係──新聞記事を通して
前書きなど
はじめに:4 本書の構成
本書は3部構成になっている。まず、第1部では、様々な環境問題が発生してくる背景、都市問題の諸事例を扱った。第1章では、開発途上国で一般的な傾向として捉えられる大都市への移動とそれによる人口の急激な増加の現象を扱い、どのように都市環境に影響を及ぼしているのかを検討した。具体的には、1971年独立以降のバングラデシュの開発戦略の特徴、それを背景にした農村から都市へ、小中規模の都市から大都市への移動を通しての首都ダカの急激な人口増加を説明した。次に、人口増加にインフラ整備が追いつかない中で発生してきた様々な都市環境問題のうち、大気汚染問題、電力需給問題と関係諸法令の未整備を簡単に扱った。
第2章では、都市問題の中で屎尿処理・下水問題の分析を試みた。本章の特徴はその分析を歴史的社会的観点から行い、同時に問題解決のために国際協力事業団(現在の国際協力機構)=JICAが無償資金協力として支援している事業の紹介、ならびにそれに対する筆者の事後評価(主に社会経済分野)を行ったことである。
第2部では、都市環境問題の中でも筆者が最大の関心を抱いている廃棄物管理問題に焦点を絞り、様々な側面に対して調査研究を進めた。まず第3章では、ダカ市の廃棄物管理システムの現状とその課題を追究した。現在、ダカ市役所とJICAが共同で行ったダカ市のマスタープランの作成が終了し、実施の段階に入った。マスタープラン作成にあたっては様々な調査が行われ、最新のデータが発表されている。それらのデータを利用しつつ、現状の説明、課題や今後の展望を述べた。
第4章には廃棄物管理に関する研究視角の多様性が書かれている。特に、その視角の中でもいままで開発学関係の学会、環境関係(社会科学系)の学会ならびにJICA内でもあまり研究がなされなかった社会配慮的視点の内容について詳しく述べた。理論的には説明しやすいものの、政策ならびに事業としてどのように展開・推進していくかを考えた場合には途端に難しくなる。
第5章は、廃棄物管理の現場でその中心的な作業を担っている清掃労働者の社会的属性・生活・労働に研究の焦点をあてた。本章では触れていないが、清掃労働者は、過去、労働条件の改善を求めてストライキを実施している。その際、ダカ市の道路の至るところに廃棄物が堆積し、日を追うごとに腐敗臭が漂い、ハエがおびただしい数で群がったといわれている。不衛生極まりない状況である。適切な都市管理にあたって、ストライキが始められるたびに清掃労働者の存在理由がクローズアップされた。ただし、ダカ市の清掃労働者と一口でいわれるが、実際、彼らは様々なエスニック上の特徴を持っている。バングラデシュの人口構成と同様、もちろんダカ市の人口の大半がムスリム(イスラーム教徒)であるが、清掃労働者の中には数多くの非ムスリム(大半がヒンドゥ教徒、ヒンドゥ教徒の場合、最下位のカースト集団)や非ベンガル人である人々がたくさんいる。彼らがなぜ存在するのか、また、人権の観点からどのような扱いを受けてきたのかなどを含め、彼らの生活や労働の実態を報告する。
第6章では、廃棄物管理システムを改善するにあたって重要なアクターである環境保全・廃棄物管理に関係するNGOの活動を取り扱った。バングラデシュは、隣国のインド同様、NGO大国と呼ばれている。一般に、国際NGOや地元のNGOは独立直後から様々な活動に従事していた。しかし、分野別に見て環境分野や廃棄物管理を専門とするNGOの進展は1990年代になって以降といっても過言ではない。本章では、環境分野へのNGOの参入が後発になった理由ならびにそれらの具体的な活動内容を紹介した。
以上、第2部の第3章から第6章までは廃棄物関係を扱ったが、次の第3部では地域社会に関わる都市環境の課題を捉えた。すなわち、ダカ市内の西
著者プロフィール
三宅 博之(ミヤケ ヒロユキ)
北九州市立大学法学部政策科学科教授
1957年、兵庫県生まれ。大阪外国語大学(現、大阪大学)インド・パキスタン語科卒業、東京外国語大学大学院地域研究研究科修士課程修了、インド・カルカッタ大学大学院留学(2年間)、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学、北九州大学(現、北九州市立大学)法学部講師、助教授を経て、1999年現職。
専門分野は、社会地理学、南アジア地域研究、環境教育学。
[著書・論文]
『バングラデシュの海外出稼ぎ労働者』(共編著、明石書店、1993年)、『現代インドの展望』(共著、岩波書店、1998年)、『アジア環境白書2006/2007』(共著、東洋経済新報社、2006年)など。
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