規律ある市場経済の創造をめざして〈OECD対ロシア規制改革審査報告書〉ロシアの経済と行政
OECD:編著, 平井 文三:訳
発行:明石書店
この版元の本一覧
B5判 232ページ 並製
定価:3,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2709-9 C0033
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年01月
書店発売日:2008年02月05日
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紹介

BRICsの一角を占め、最大の市場経済移行国であるロシアの経済と行政について、質の高い規制をめざして、政府の改革能力、競争政策、市場開放、電力と鉄道部門における改革など幅広い視点から、学際的な手法により包括的かつ詳細な分析を提示する。

目次

 前文
 謝辞
 概要

第1部 ロシアにおける規制改革

 第1章 規制改革の実績と評価
  はじめに
  第1節 マクロ経済上の文脈と不完全な改革の遺産
  第2節 規制改革:これまでの貢献
  第3節 規制改革:これからの挑戦
  注
  参考文献

第2部 規制政策とその成果
 第2章 規制のガバナンス
  はじめに
  第1節 行政の質を改善する最近の取り組み
  第2節 連邦当局と連邦構成主体の協調
  第3節 質の高い規制を新たに作るロシアの能力
  第4節 規制インパクト分析
  第5節 規制機関を確立する
  第6節 規制改革のための結論と勧告
  注
  参考文献
 第3章 競争のための法と政策
  はじめに
  第1節 これまでの競争政策の長所と短所
  第2節 新しい競争法の立案における優先事項
  第3節 反独占サービスを強化するために何をしなければならないか
 第4章 規制改革を通じた市場開放の推進
  はじめに
  第1節 経済関係:貿易と投資
  第2節 政策枠組み:6つの基本原理
  第3節 透明性:情報への等しいアクセス
  第4節 無差別:中核的な概念
  第5節 不要な貿易制限:回避可能な弊害
  第6節 国際的に調和した基準と適合性評価手続.
  第7節 未来の政策のための選択肢
  注
 第5章 鉄道改革
  はじめに
  第1節 交通市場
  第2節 鉄道の業績
  第3節 政府の鉄道改革案
  第4節 規制に関する主要な挑戦
  第5節 概要と結論
  注
 第6章 電力改革
  はじめに
  第1節 ロシアの電力部門:その文脈
  第2節 ロシアの電力部門:リストラクチャリング
  第3節 市場構造と所有権
  第4節 電力部門への投資
  第5節 効率的な価格シグナル
  第6節 ガバナンス、規制及び組織
  第7節 電力改革の実施
  注

 訳者あとがき

前書きなど

 OECDによるロシアに対する規制改革審査報告書は、1997年のOECD閣僚理事会の決議に対応し、OECD規制改革プログラムの下で行われた国別報告書シリーズの1巻である。
 1997年以後、OECDは21加盟国の規制政策に対して評価・勧告を行ってきた。規制改革審査は、政府が規制の品質を改善すること——すなわち、競争、技術革新、経済成長及び重要な社会上の目的を推進するための規制改革——を助けるためのものである。これは2つの重要な根拠となる文書に基づいている。すなわち、政府規制の品質の改善に関する1995年OECD閣僚理事会勧告と、規制改革に関する1997年OECD報告である。
 国別審査は、多くの学問分野を用いるアプローチに従い、政府が規制改革を運営する能力、競争政策とその実施、市場開放、及び中期的なマクロ経済情勢の背景に対する個別部門の規制枠組みに焦点を当てている。
 全体として言えることは、各国の審査報告書は充実した構成になっており、そこで示された規制改革プログラムは、経済成長の加速と社会福祉の向上に大きく役立ち得るものである。経済成長、雇用創出、技術革新投資及び新たな産業は、効果的な規制改革で加速され、その結果、消費者に対して、より大きな価格の低下と選択の多様化をもたらす。包括的な規制改革は、個別的・断片的なアプローチよりも早い結果を生む。そして、包括的な規制改革は、各国が、情勢の変化や外的ショックに対し、より素早く、より容易に適応することを助ける。同時に、バランスのとれたプログラムは、社会的な関心も考慮に入れる。部門によっては改革のための調整が苦痛を生んできたものもあるが、経験からは、改革が、積極的な労働市場政策のような支援施策とともに行われれば、改革の費用を小さくできることが分かっている。
 規制を減らし、改革することが規制改革の幅広いプログラムの重要な要素ではあるが、経験からは、より競争の激しい、効率的な市場においては、新たな規制や制度が、公共部門と民間部門の諸目的の整合性を確保するために必要となる場合があることも分かっている。これは、特に、保健・医療、環境及び消費者保護の分野に当てはまる。持続的で一貫した政治的リーダーシップは、改革の成功のためのもう1つの不可欠な要素であり、改革の便益と費用に関して透明性のある十分な情報を提供した上での国民との対話は、幅広い国民の支持を確立するために必要である。
 審査報告書において提示された政策の選択肢は、各国に挑戦を課すものである。しかし、審査報告の奥行が深い性質と、幅広い範囲の利害関係者との協議をなす努力は、提示された政策の選択肢が、各国の個別の文脈と政策の優先順位の範囲内での重要性と実現可能性の確保を、OECDが強調していることによるものである。
 本審査報告書は2部構成である。第1部は、マクロ経済上の文脈における、幅広い政策分野(公共部門の品質、競争政策、市場開放、電力・鉄道のような重要部門)にまたがる規制に関する実績と今後の挑戦に関する、総合的な評価である。第2部は、これらの政策分野の個別のものについて準備された、詳細かつ包括的な背景の審査報告を要約し、対象国における更なる作業及び政策開発のための分野を特定するための検討対象の政策上の選択肢をまとめている。ロシアに対する背景となる文書は、OECDのウェブサイトwww.oecd.org/regreform/backgroundreportsに掲載されている。

著者プロフィール

OECD(オーイーシーディー)

 経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)は、民主主義を原則とする30ヶ国の先進諸国が集まる唯一の国際機関であり、グローバル化の時代にあって経済、社会、環境の諸問題に取り組んでいる。OECDはまた、コーポレート・ガバナンスや情報経済、高齢化等の新しい課題に先頭になって取り組み、各国政府の新たな状況への対応を支援している。OECDは各国政府がこれまでの政策を相互に比較し、共通の課題に対する解決策を模索し、優れた実績を明らかにし国内及び国際政策の調和を実現する場を提供している。
 OECD加盟国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国である。欧州委員会もOECDの活動に参加している。
 OECDが収集した統計や、経済、環境、社会の諸問題に関する研究成果は、加盟各国の合意に基づく条約、指標、原則と同様にOECD出版物として広く公開されている。

平井 文三(ヒライ ブンゾウ)

1965年北海道生まれ。88年東京大学法学部卒業後、総務庁入庁。94年米国ジョージタウン大学公共政策大学院修了(公共政策学修士)。96年から98年まで九州大学法学部助教授(行政学)。現在は、総務省統計局総務課調査官(国際担当)。慶應義塾大学法学部政治学科講師(現代日本行政論)。著書に『行政改革・地方分権・規制緩和の座標』(共著、ぎょうせい、1998年)、『情報社会の公法学』(共著、信山社出版、2002年)、『現代日本政党史録第4巻』(共著、第一法規出版、2003年)、OECD編著『世界の公務員の成果主義給与』(翻訳、明石書店、2005年)、経済協力開発機構(OECD)編著『世界の行政改革 21世紀型政府のグローバル・スタンダード』(翻訳、明石書店、2006年)の他、著書、論文多数。

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