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自殺予防マニュアル【第2版】
地域医療を担う医師へのうつ状態・うつ病の早期発見と対応の指針
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2008年3月
- 書店発売日
- 2008年2月21日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2011年8月26日
紹介
年間の自殺者が9年連続3万人超の日本。自殺の動機としてうつ病の割合が高いとされるが、本書は精神科以外の医療関係者も「うつ」を理解し自殺減少を目的とした実務書である。「自殺対策基本法」成立「自殺総合対策大綱」決定に伴い2004年版を大きく改訂。
目次
刊行にあたって(唐澤祥人)
まえがき(天本宏)
はじめに(高橋祥友)
1 自殺の現状
2 自殺予防は医療者全体の問題
3 自殺の危険因子
(1)自殺未遂歴
(2)精神疾患の既往
(3)事故傾性(accident proness)
(4)周囲からサポートが得られない状況
4 「自殺したい」と打ち明けられたら
まとめ
コラム1 海外における自殺予防対策(アメリカ)
1.うつ病とはどんな病気なのか(神庭重信)
1 うつ病とはどのような病気なのでしょうか
(1)うつ病の原因と分類
(2)うつ病の症状
(3)うつ病は再発しやすい
2 うつ病を見落とさないための重要な知識:うつ病の鑑別診断
(1)身体症状
(2)症状の日内変動
(3)行動の変化:性格の障害との鑑別
(4)精神病症状(妄想や幻覚など):統合失調症との鑑別
(5)不安障害との合併
(6)一般疾患との合併
(7)高齢者・脳の器質的な障害が疑われる場合
(8)アルコール依存が疑われる場合
(9)月経前や更年期の症状
(10)産後うつ病
(11)重症のうつ病の場合
(12)慢性化している場合
(13)躁症状が出現した場合
3 うつ病を診断するための面接
(1)抑うつ気分
(2)興味または喜びの喪失
(3)食欲の減退または増加
(4)睡眠障害(不眠または睡眠過多)
(5)精神運動機能の障害(強い焦燥感あるいは逆に精神運動機能の制)
(6)疲れやすさ・気力の減退
(7)強い罪責感
(8)思考力や集中力の低下
(9)自殺への思い
コラム2 海外における自殺予防対策(フィンランド、スウェーデン)
2.うつ病の治療(中村純)
はじめに
1 精神療法の原則
(1)話を聞くこと
(2)うつ病は治る病気
(3)休養が第一
(4)病気だから薬が必要
(5)うつ病の治療過程と重要な症状
(6)精神療法で重要なこと
(7)自殺念慮を訴える人への注意
2 認知療法
(1)うつ病患者の認知
1)恣意的推論
2)二分割的思考
3)選択的抽出
4)拡大視・縮小視
5)極端な一般化
6)自己関連づけ
7)情緒的理由づけ(取り越し苦労)
(2)認知の歪みをどのように修正するか
3 リラクゼーションの技法
4 薬物療法
(1)SSRI
(2)SNRI
(3)スルピリド
コラム3 海外における自殺予防対策(イギリス、オーストラリア)
3.専門医へ紹介するタイミング(中村純)
はじめに
1 専門医へ紹介したほうがよい場合
(1)診断に苦慮する場合
(2)SSRI、SNRI、スルピリドを投与しても症状が改善しない場合
(3)うつ病が重症の場合
(4)産後うつ病
(5)躁状態
(6)自殺念慮が強いうつ病
2 専門医と一般診療医あるいはかかりつけの医師との連携
おわりに
4.自殺未遂が起きた時の具体的な対応(高橋祥友)
1 自殺未遂に対しては厳重な警戒を
2 治療の原則
3 群発自殺
まとめ
参考文献
資料 自殺総合対策大綱(平成19年6月8日 閣議決定)
あとがき(西島英利)
(版元注:「刊行にあたって」唐澤祥人氏の祥は、正しくは「示」へんに羊)
前書きなど
刊行にあたって(日本医師会会長:唐澤祥人)
わが国では、高齢化の進展に伴う認知症、うつ病患者の増加と中高年男性の自殺者の激増、さらには、実母などによる児童虐待、少年による凶悪犯罪などの思春期の問題など、すべての世代において、こころの健康が課題となっています。
とくに自殺の問題は深刻で、年間の自殺者が9年連続で3万人を超えております。男性が約70%であり、年齢別では、60歳以上が全体の約35%を占めています。また、遺書があった自殺者の約40%が「健康問題」を動機としております。この結果を見ますと、今後、団塊の世代の人たちが退職され、地域を中心とした生活を始められることになりますが、こういった方々を地域で支えていくことが必要ではないか、と痛感しているところであります。
日本医師会では、西島英利小倉蒲生病院理事長の監修、神庭重信九州大学大学院教授、高橋祥友防衛医科大学校教授、中村純産業医科大学教授のご執筆により、『自殺予防マニュアル』を平成16年に刊行いたしましたが、平成18年6月に「自殺対策基本法」が成立、公布され、さらに、平成19年6月、「自殺総合対策大綱」が閣議決定されたことなどを踏まえ、このたび、第2版として、『自殺予防マニュアル――地域医療を担う医師へのうつ状態・うつ病の早期発見と対応の指針』を作成いたしました。
本マニュアルは、精神科以外の地域医療を担う医師にも、うつ状態・うつ病について正しく理解していただき、うつ病を早期に診断、治療するとともに、必要に応じて専門医に紹介することにより、自殺者の減少に資することを目的としておりますので、ぜひご活用いただくことを切にお願いしたいと思います。
上記内容は本書刊行時のものです。