発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 208ページ 上製
定価:2,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2704-4 C0021
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年01月
書店発売日:2008年01月31日
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紹介
大庄屋記録や願書・届書などの公文書を通じて、近世民衆、主に唐津藩の民衆とその生活について、その生の姿を浮き彫りにする。これまでの行財政史的通史に偏りがちであった研究史の穴を埋める、画期的労作。
目次
はじめに
第一章 唐津藩域の石高設定
一 「太閤検地」の具体相
二 慶長期の石高と慶長国絵図
三 元和検地
第二章 唐津領域の支配
一 地方支配の制度
二 元和検地——土地制度の固定化
第三章 唐津藩藩政の推移
一 大久保領時代
二 松平領時代
三 土井領時代
四 水野領時代
五 小笠原領時代
第四章 松浦郡佐志組の歴史的諸相
一 寺沢時代以降の漁村と農村
二 虹の松原一揆
三 「郡奉行演説書」について
第五章 年貢徴収の諸相
一 年貢負担について
二 楮栽培と専売制
三 赤子養育政策
第六章 小笠原藩の被差別部落
一 近世中後期の皮革生産
二 皮革生産と「穢多」給扶持米
三 小笠原藩初期の被差別部落
四 出火など
第七章 天保・弘化・嘉永期の社会状況
一 喧嘩
二 「穢多頭」の抵抗——役儀返上
三 生業をめぐる争い
第八章 皮座仕組の企みと被差別民衆の抵抗
一 安政期の皮座仕組強化策
二 被差別民衆の生活と支配
三 皮座仕組施行の挫折
史料紹介「御武具方御役所ニて皮座御仕組一件」
結びに代えて
あとがき
前書きなど
はじめに
九州を廻る一つの結節点として、玄海にのぞむ唐津藩は譜代藩がもつ一つの性格として、領主の交代が頻繁になされた。そのことは隣藩の佐賀藩と比較するとき明らかな差異をもたらしている。佐賀藩は幕政当初以来藩政の交代を見ることはなく、民衆にたいする規制は非常に厳しいものがあり、鹿児島藩などとともに西南雄藩の極北としての一角を形作っていた。それに比べて唐津藩は、領主の交代が激しく、したがって在地の支配は藩政担当者の武士階級であるよりも、在郷役人の大・小庄屋や名頭などが大きな影響力をもっていたと言えよう。
それにもかかわらず、従来唐津藩の研究では行財政史的通史の叙述が多く、近代以前では民衆の日常生活にかかわる部分は少ないところがあった。そのことは単に史料の残存度が少ないということではなくて、民衆史に対する関心の希薄さが指摘されよう。唐津藩では支配者の交代とともに、藩政史料は新しい赴任先へ持ち去られ、残されているのは在郷支配のための地方史料であるという歴史的事情が働いているが、しかしながらそれにもかかわらず地方史家の関心は専ら藩政の推移にあったといっても過言ではなかろう。
もちろん民衆自身の記録は少ない。しかし膨大に残されている大庄屋記録から民衆の姿を透視することは可能であり、また願書や届書などの公文書を通じて、民衆の生の声を聞くこともできよう。
著者プロフィール
松下 志朗(マツシタ シロウ)
1933年鹿児島県に生まれる。1967年九州大学大学院文学研究科中退。1986年九州大学経済学部教授、1996年福岡大学商学部教授、2003年退職。
(主な著書)
1985年『九州被差別部落史研究』(明石書店)
2004年『近世九州の差別と周縁民衆』(海鳥社)
2006年『奄美史料集成』(南方新社)
2007年『南西諸島史料集(1)』(南方新社)
(共著)
1991〜97年『宮崎県史』(史料編 近世1〜6、宮崎県)
2000年『宮崎県史』(通史編 近世上・下、宮崎県)
2001〜06年『都城市史』(史料編 近世1〜5、都城市)、他
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