明治初期-1992年9月日本の移民研究 動向と文献目録1
移民研究会:編
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 276ページ 上製
定価:4,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2701-3 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2008年01月
書店発売日:2008年01月11日
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紹介

本書は『日本の移民研究 動向と目録(1994年)』の改訂増補版である。明治以降1992年9月までに出版された移民に関する文献を幅広く収録するとともに、その解題および評価を行った。移民研究はもとより、社会学・文化人類学等々に携わる研究者必携の書。

目次

 刊行に寄せて
 はじめに
 概要

第1部 研究史整理
 Part 1 出移民 送り出し国に関する諸問題
  第1章 基本的理解
  第2章 地域的背景
  第3章 移民斡旋(移民会社、金融機関、輸送機関)
  第4章 移民思想・教育
  第5章 母国・母村への影響
  第6章 からゆきさん
  第7章 沖縄県における移民史研究の現状

 Part 2 日系人 受け入れと定着に関する諸問題
  第8章 アメリカ合衆国本土
  第9章 ハワイ
  第10章 カナダ
  第11章 ブラジル
  第12章 中南米
  第13章 大洋州
  第14章 文学・ノンフィクション

 Part 3 国際関係のなかの移民
  第15章 総説
  第16章 明治初年
  第17章 日布関係
  第18章 日米関係
  第19章 日加関係
  第20章 日豪関係
  第21章 国際会議

第2部 文献目録
 凡例
 文献目録

索引

前書きなど

概要

 日本人の海外移民の歴史は長い。明治元年に政府の許可を得ずにハワイへ渡ったいわゆる「元年者」に端を発し、ハワイへの官約移民や移民会社を通しての自由移民、アメリカ合衆国とカナダへの移民、そして南米への移民。明治初期にオーストラリアへ向かった移民もいる。1930年代には満州への国策移民もあった。規模の点ではイタリアや中国ほど大きくはないものの、日本の移民の歴史は、1960年代まで連綿と続いてきたのである。この歴史における、移民送出のプッシュ要因、移民先での異文化との接触と定着過程、移民が帰国した場合は彼らの帰国後の体験、移民の母村への影響、日本と移民先の国との外交関係、さらには現在の日本における「日系人問題」など、研究テーマは多様性に富み、同時に研究材料はきわめて豊富である。
 移民に関する研究は、これまで地理学、経済学、政治学、社会学、歴史学、文化人類学、宗教学、言語学など多岐にわたる分野で行われてきた。最近では、女性学や医学、さらには老人問題や社会福祉の分野でも移民を扱った研究がなされている。しかし、分野は多様であっても、研究はそれぞれの分野で個別的に行われることが多く、学際的な研究は、これまで少なかった。現在の日本の移民研究は、各種文献目録にも独立した項目として立てられることがほとんどなく、文献の収集が困難であり、研究の到達水準の把握すら、難しい状態である。移民研究史の整理も、すでにいくらかなされてはいるものの、一部の地域、時期、事項に関する研究にとどまり、学際的研究の特質を反映していない。
 そこで、われわれ移民研究会は、これまで多方面で個別に進められてきた研究を収集し、キーワードで分類し、各項目別に研究の到達水準を把握することにしたのである。幸い、日本証券奨学財団より研究調査助成がいただけることになり、われわれの決心を実行に移す重要なきっかけとなった。
 まず第一に行ったのは文献の収集である。国立国会図書館の雑誌記事索引に記載されていない文献も、種々の方法で入手を心がけた。これまでそれぞれの分野で移民研究をしてきた各会員であったが、それでも、日本人移民および日系人関係の文献を網羅的に収集することはかなり大変な作業であった。収集範囲としては、移民の出先国で出版された研究は含めず、日本で出版された研究に限定した。また、日本の植民地・勢力圏への移民は、その背後に対等な国際関係がなかったという理由で対象外とした。時期の範囲は、明治期以降、1992年9月現在までに出版された研究を収録範囲とした。雑誌記事に関しては、ニュース解説的に扱ったものまで含めることはスペース上も無理であり、研究として重要と思われるもののみに限定した。
 こうして収集し、読んだ文献を、キーワード化し、分類することが次の仕事であった。各文献に三つ前後のキーワードを付し、電算機に入力する作業である。その間に、研究会会員で研究全体に関する理論的討議も行った。現状の動向から遊離することなく、移民研究の体系化を目指すためである。
 これらの作業によって作成された分類項目を整理し、大項目としては、1. 移民送出側、つまり日本の状況に関する研究、2. 移民受け入れ側、つまり移民が定着した国の状況に関する研究、3. 送出国である日本と受け入れ国との関係に関する研究、を設けた。これらが、目次に見られる、第1部のPart 1 出移民 送り出し国に関する諸問題、Part 2 日系人 受け入れと定着に関する諸問題、Part 3 国際関係のなかの移民、となったのである。
 第1部の内容構成は次のようである。出移民に関しては、文献・研究史整理、移民の概念などの基本理解に続き、県史などに示される地域的背景、移民政策、思想、教育といった具体的なテーマを小項目とした。移民が母国、母村に及ぼした影響も、ここに含めた。日系人の研究の項では、受け入れ先として、アメリカ合衆国(以下、アメリカ)、ハワイ(アメリカの一部となる前のハワイは移民に関しては日本と特別な関係にあったことから、別項目にした)、カナダ、ブラジル、中南米、大洋州と、移民の多い国々を項目として設定した。もっとも移民数の多いアメリカの場合は、さらに小さい項目を設定し、各項目に関する解題および評価を担当者が原稿にした。その際、以上の研究・調査から明らかになった、移民史における課題を、おのおの、提示することにした。国際関係の項では、日本と諸外国との外交関係に影響を及ぼした、また逆に外交関係の影響を受けた移民・日系人に焦点をあてた研究を取り上げている。ほかの項と重複する部分もあるが、移民を国際化の一環と見る最近の傾向をも反映させて、独立した項とした。文学・ノンフィクションは、量的に膨大であり、研究の性質がやや異なるうえ、国ごとの項目には分類しにくいものが多いため、独立した項目としてPar t 2に含めた。
 第2部は移民研究の文献目録である。すべてを、著者の名前で五十音順に並べた。各項で扱った文献はその文献目録の著者名と出版年で表してある(例:麻田貞雄〔1973〕)。最後に索引をつけた。
 各項目の執筆者は移民研究会会員である。このような研究は、多様な分野の研究者が共同で作業にあたったからこそなしえたことと、研究会会員みながチームワークのよさを自負している。ただし、できるだけ多数の会員が執筆することを意図したため、足並みのそろわなかった部分もある。項目として欠けている点、不適当な点もあるかもしれない。また、網羅したつもりでも、落ちている文献があるかもしれない。ご指摘、ご批判をいただければありがたい。
 最近の日本は、アジア諸国からの労働者や南米諸国からの日系人の出稼ぎ者を受け入れる立場にあり、また日本から世界各地への、いわゆる「企業移民」も増加している。この現実から生まれる問題を理解するためにも、日本の海外移民の歴史を振り返ることはきわめて重要である。われわれの次の目標としては、やはり移民に関する基礎研究の一部として、移民年表、移民事典、移民を通して見た日本人の国際化といった成果につなげていくことを考えている。

著者プロフィール

移民研究会(イミンケンキュウカイ)

移民研究会は、1975年、アメリカ合衆国への日本人移民に関して研究中であった数人が、佳知晃子(元津田塾大学教授)を中心にして始めたきわめてインフォーマルな勉強会がもとになって発展したものである。現在、飯野正子(津田塾大学学長・教授)を中心に、会員も増え、活発な活動が続いている。月1回の研究発表会は30年以上続いており、会員の積極的な貢献によって支えられている。国内外の研究者や専門家を講師として招く機会も多い。移民研究会は、日本人移民・日系人に関するさまざまな分野にわたる研究を国内外に発信してきており、今後も意欲的に学術成果を示していきたいと考えている。

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