発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 120ページ 並製
定価:1,200円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2696-2 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年12月 書店発売日:2007年12月28日
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ごく一部の金持ちと企業に優しく、生活者に厳しい格差社会。その現実を、労働相談やタクシードライバーの労働の現場から赤裸々に明らかにしつつ、格差を変えるために、政治に求められるもの、私たちにできることを考える。一人ひとりの尊厳を大切にするために。
目次
まえがき
1.社会から格差をなくすために
はじめに
1 格差は隅々にまで広がっている
2 格差はなぜ生じたのか
地域格差—地域から、鉄道が、病院が、学校が、郵便局が消えていく
所得格差—富める者はますます豊かに、そうでない者は……
福祉格差—「自立支援」という名の弱者切り捨て
健康格差—医療の沙汰も金次第
教育格差—親の財布の中身で教育の機会が決められる
3 格差を是正するために
税制を変える
働くための法律を変える
●わたしが提案する解決策
1.正社員化への道をつくる
2.均等待遇の実現
3.パート派遣・契約労働者とフルタイム労働者との間の非差別原則の実現
4.労働者派遣法の改正
5.有期契約の規制
6.割増賃金のアップ
7.残業の規制
8.最低賃金の引き上げ
2.チャレンジすらできない労働構造—非正規雇用の現実(鴨桃代×福島みずほ)
「やりがい」という名の過剰労働
変わらない「フルタイムのパート」という矛盾
「社員その二」と呼ばれて
仕事の現場で、「できること」の積み上げを
どこの家にも非正規労働者がいる
労使関係をごまかす偽装請負
生活する権利を踏みにじる非正規労働
「もの言わぬ人」を強いる仕組みをどうするか
自分を大切に生きるための知識を伝えたい
〈コラム〉若者就労支援の現場から(綿引幸代)
3.仕事への誇りも安全も奪う規制緩和—タクシードライバーの現実(待鳥康博×福島みずほ)
始まりは規制緩和
過剰労働を生む基盤がつくられている
仕事への誇りも安全も奪う規制緩和
決して諦めない。それが、流れを変えていく
格差社会の構造が隅々にまで広がっている
資料 労働関係法制の流れ
前書きなど
まえがき
「フリーターの人たちのなかには、なまけている人もいるのではないの」
という声を聞いたことがある。
わたしたちのまわりには多くの若者がいる。また、メディアから流される若者の情報がある。
確かにいろんな人がいる。誰だって完璧ではない。
しかし、すでに今は、個人的な努力で何とかなるという段階ではまったくないのではないか。
わたしが学校を卒業する時は、正社員になるのがあたりまえという時代だった。一九八〇年代に労働者派遣事業法ができ、一九九九年に続いて、二〇〇三年に改悪され、製造業も含めて派遣が可能となった。全労働者のうち、非正規という形で働く人は、三人に一人。女性では二人に一人、二四歳以下の男女では二人に一人が非正規雇用になっている。
多くの契約社員の人たち、働く期間に定めがある人に会ってきた。日雇い派遣、スポット派遣の人たちにも会ってきた。
自分が明日どうなっているかわからない。みんなが抱える不安である。
一年後、三年後、五年後どうしているかわからないという精神状態。生活面では、人生の設計もなかなかできない。仕事の不安定さは、心の不安定さにもなっている。
正社員で過労死した人も多い。その遺族にも話を聞いてきた。
正社員の労働条件は良くて、非正規で働く人の労働条件は悪いという話でもないのだ。
正社員にも非正規雇用で働く人にもさまざまな労働条件がある。楽でいいという人ももちろん双方にいる。
ただ一般的には、正社員はとことんこき使われ、非正規雇用はとことん安くこき使われているという実態がある。
そして、それが、個人の問題というのではなく、法律や制度によってつくられていることが問題である。でも、法律や制度によってつくられた格差は、逆に法律や制度を変えることによって是正できる。格差は、天然現象や自然現象ではなく、法制度の結果なのだから、変えられるということを声を大にして、わたしは言いたい。
今から約一二〇年前、一八八六年に「人間らしい暮らし」「一日八時間労働」を訴えてメーデーが起こった。もう一度「人間らしい暮らし」を目指して、力を合わせるべき時ではないか。
競争や努力や個人差を否定しているのではまったくない。労働や生活の破壊を食い止め、変えていこうと言いたいのだ。
このブックレットは、現状と問題点もさることながら、流れを変えていこうという実践的な取り組みや提言をまとめたものである。ブックレットという性格上コンパクトになっているので、エッセンスをぜひぜひ共有して欲しい。
一人でも入れるユニオン、全国ユニオンの会長の鴨桃代さん、そして、タクシーの規制緩和とタクシーの運転手さんたちの平均年収の低下という実態を語ってくれたタクシーの組合の書記長である待鳥康博さん。それぞれの方との対談をぜひ読んでください。「現場からの発言」はいつも本当に迫力があります。また、「ヤングジョブスポット」に寄せられる相談などについて、綿引幸代さんに書いていただきました。本当にありがとうございます。
先の見えない生活の先に光がさしこんでくるといいなあと思い、このブックレットをつくりました。ぜひ読んでください。
二〇〇七年一二月
福島みずほ
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著者プロフィール
福島 みずほ(ふくしま みずほ)
1955年宮崎県生まれ。東京大学法学部卒業。社会民主党党首、参議院議員、弁護士、学習院女子大学客員教授。弁護士として、ドメスティック・バイオレンス、選択的夫婦別姓制度や婚外子差別、外国人差別、セクシュアル・ハラスメントなどの問題に取り組む。また、ドメスティック・バイオレンス防止法・改正法と児童虐待防止法の制定、女性の人権問題、有事立法反対と平和問題、盗聴法防止、外国人の人権擁護など、国会内外で幅広く活躍。
編著書に『憲法学校』『憲法を手に格差と戦争をくいとめよう』『憲法は誰のもの』『みんなの憲法二四条』『使いこなそう! ドメスティック・バイオレンス防止法』『楽しくやろう夫婦別姓』『戦争と憲法危機の時代に政治をあきらめない』『福島瑞穂のいま会いたい いま話をしたい』『福島瑞穂の新世紀対談』『女性が政治家になって何が変わるか』(以上、明石書店)、『あれも家族これも家族』(岩波書店)、『裁判の女性学』(有斐閣)ほか多数。
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