発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 640ページ 上製
定価:8,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2657-3 C0047
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年10月 書店発売日:2007年10月26日
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システム・オブ・ケアは、子どもを中心とし家族に焦点をあてる、地域を基盤とする、文化的適合性をもつことを中核とした、子どもの精神保健に取り組むための方法論である。本書は米国におけるその理論と実践を包括的に解説、わが国でも有用な参考書である。
目次
日本語版への序文
序 文
まえがき
謝 辞
第1部 システム・オブ・ケアの基礎理論
第1章 子どもの地域精神保健の歴史
第2章 システム・オブ・ケア——子どもの精神保健ケアの枠組み
第3章 システム・オブ・ケアにおける家族支援の発展
第4章 システム・オブ・ケアの中の多職種、多機関の協働
第5章 児童精神保健のシステム・オブ・ケアにおける文化的適合性
第2部 システム・オブ・ケアの中のさまざまな臨床形態
第6章 臨床的視点の強化
第7章 子どもの精神保健のシステム・オブ・ケアにおける薬物療法
第8章 エビデンスに基づいた地域を基盤とする介入
第9章 ケースマネージメント——地域を基盤としたシステム・オブ・ケアの基軸
第3部 さまざまな集団と状況でのシステム・オブ・ケア
第10章 乳幼児期のシステム・オブ・ケアの概念
第11章 少年司法システムの中の若者
第12章 学校を基盤とした精神保健サービス——贅沢品ではなく必需品としてのサービス
第13章 併存障害のある子どもたち
第14章 プライマリーケアとの協力——統合されたシステム・オブ・ケアにおけるリスク、目標、転帰の共有
第15章 児童福祉システムの里子たち
第4部 システム・オブ・ケアの運営と評価
第16章 システム・オブ・ケアと連邦、州、地方政府との関係
第17章 システム・オブ・ケアとマネージドケア——これらは両立するものなのか
第18章 法的義務の下でのシステム・オブ・ケア
第19章 システム・オブ・ケアの実証プロジェクト——改革、評価、継続可能性
第20章 システム・オブ・ケアにおける転帰の役割——質の向上とプログラムの評価
第21章 システム・オブ・ケアのための児童青年精神科医と児童精神保健専門家の研修
索 引
監訳者あとがき
前書きなど
日本語版への序文(抜粋)
この本が米国で出版された後、地域を基盤としたシステム・オブ・ケアにおける児童青年精神科医の臨床的役割とリーダーシップの重要性も大きくなってきています。今日では児童青年精神科医が責任者となっているシステム・オブ・ケアのプログラムが数多くあり、その他にも多くのプログラムで児童青年精神科医が中心的な臨床的および指導的役割を担っています。米国児童青年精神医学会American Academy of Child and Adolescent Psychiatry (AACAP)は最近、システム・オブ・ケアのモデルの重要性と、その根拠となるエビデンスを認識する大きなステップとして、地域におけるシステム・オブ・ケアの中での児童青年精神保健の診療基準を公式に採択しました。これはこの分野に関わる人たち全般への指針としても、システム・オブ・ケアの中で働いている児童青年精神科医に対する指針としても重要な意味を持つものです(AACAP, 2006)。
ますます多くの州の子どもサービス機関はシステム・オブ・ケアの原則を厳守していることを表明するようになり、地域を基盤とした介入にも資金を出すようになってきました。しかし、統合された行動保健、発達的、支援的サービスを提供するほんとうに柔軟な方法を目指して、多機関によるシステム・オブ・ケアのモデルを採用し、機関の間の障壁を除去し、混合的資金を使えるようにシステムを完全に改革をした州や地方自治体は、たとえあったとしてもほんのわずかしかありません。米国連邦政府と州政府の予算で運営されるメディケイド制度は(米国でのほとんどすべての公的な精神保健サービスと子どもの精神保健サービスの大半はここから資金が出ている)、まだこのモデルを本格的には採用しておらず、私たちが1990年代にAACAPのシステム・オブ・ケア小委員会で提言したような真の地域を基盤としたサービスの連続体に対する資金と給付は確立されていません(AACAP, 1996; Pumariega, et al., 1997)。これは米国で今後達成されなければならない課題ですが、それを困難にしている大きな問題は、真の精神保健ニーズのレベルに対する考え方の違い、この国での精神疾患に対する相当なスティグマ、既存の精神保健システムの既得権を持った利害関係者(政府機関、民間の保険会社など)と彼らの変化への抵抗などがあります。
日本の臨床家の皆さんがシステム・オブ・ケアのモデルを日本の臨床に取り入れ、日本独自の文化とエコロジーのニーズに合わせて適用し発展させていくことを、私たちは切実に願っています。そうすることによって、皆さんは自動車産業やその他の製造業において成功したように、地域を基盤としたシステム・オブ・ケアを達成することができるものと思います。日本は日本のためだけでなく世界の人々のために、非常にアメリカ的と考えられた制度(しかし停滞して変化に抵抗していた)を取り入れ、アメリカ人(デミング)〔訳注:統計学者のエドワード・デミング(1900−1993)は品質管理の父と言われ、日本の製造業に多大な影響を与え、先進工業国としての基盤を作るのに貢献した〕の概念的原則を修正して応用し、その過程、品質、成果を変えてきました。私たちは本書の日本語版が、地域を基盤としたシステム・オブ・ケアを変革しようとする人たちの創造性を刺激することに役立つことを願っています。日本の子どもたちとその家族、そして米国も含めた世界中の子どもたちとその家族は、皆さんの改革の受益者となることでしょう。
2007年6月
アンドレス・J・プマリエガ
ナンシー・C・ウィンタース
著者プロフィール
アンドレス・J・プマリエガ(プマリエガ,アンドレス・J)
イーストテネシー州立大学、ジェームス・H・キレン医科大学の児童青年精神医学主任教授を経て、2006年よりペンシルバニア州のリーディング病院医療センターの精神科部長。テンプル大学医学部精神科教授およびニュージャージー医科歯科大学カムデン校精神科臨床教授を兼務。1994年より米国児童青年精神医学会(AACAP)システム・オブ・ケア小委員会の初代委員長、1999年から2001年まで共同委員長。現在はAACAPの地域精神医学委員会の委員長。システム・オブ・ケアおよび多文化精神医学の領域で数多くの論文を発表し、それに対して数々の賞を受賞している。
上記内容は本書刊行時のものです。ナンシー・C・ウィンタース(ウィンタース,ナンシー・C)
オレゴン保健科学大学の児童青年精神医学および小児科の准教授、児童青年精神医学研修医プログラム部長。米国児童青年精神医学会の地域を基盤としたシステム・オブ・ケア小委員会の創設メンバーの一人で、1999年からは共同委員長を務めている。システム・オブ・ケア以外にも幅広い領域の研究に関心を持ち、多くの論文を発表している。
上記内容は本書刊行時のものです。小野 善郎(オノ ヨシロウ)
児童青年精神科医。医学博士。日本児童青年精神医学会認定医。1984年和歌山県立医科大学卒業。国保日高総合病院精神神経科医員、和歌山県立医科大学助手(神経精神医学)を経て、1995年より和歌山県子ども・障害者相談センターに勤務。現在、総括専門員兼子ども診療室長。和歌山県立医科大学非常勤講師。
著書として、『子どもの福祉とメンタルヘルス——児童福祉領域における子どもの精神保健への取り組み』(編著、明石書店、2006年)、『異常行動チェックリスト日本語版(ABC-J)による発達障害の臨床評価』(共著、じほう、2006年)、訳書として、キャスリーン・W・ジョーンズ『アメリカの児童相談の歴史——児童福祉から児童精神医学への展開』(明石書店、2005年)、マイケル・ラター、エリック・テイラー『児童青年精神医学』(共訳、明石書店、2007年)がある。
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