国際政治経済学と地域研究知と実践の平和論
石原 享一
発行:明石書店
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四六判 308ページ 上製
定価:2,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2655-9 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年10月
書店発売日:2007年10月31日
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紹介

戦争はなぜ起きるのか? 戦争はなくすことはできるのか? そのためになすべきことは何か? 世界の政治経済を動かしている制度と構造を検証しながら、社会、文化、歴史に根ざした安定と発展の道を探る。重層的に平和構築の道を追求した平和論。

目次

まえがき
第1章 国際関係論のリアリズムとアイディアリズム
第2章 テロと戦争——憎しみの連鎖は断ち切れるか
第3章 南北問題——途上国と先進国との構造格差
第4章 開発と環境
第5章 資本主義と社会主義の限界
第6章 戦後の日米中関係と超大国のヘゲモニー
第7章 国際政治経済の構造と権力
第8章 平和の制度構築——国際政治経済学のディシプリン
第9章 地域実践型の平和構築——地域研究の視座
第10章 反戦非戦の連帯
あとがき

前書きなど

まえがき
 本書の執筆を決意する直接のきっかけとなったのは、2002年秋に神戸大学で開催された国際シンポジウムである。「“文明の衝突”と国際交流」と題するこのシンポジウムは、米国同時多発テロ後の世界情勢を踏まえた企画だった。当時、アフガニスタン空爆、パレスチナ・イスラエル紛争の激化、さらにはイラク攻撃に向けた準備など、世界はよりきな臭い方向に動いていた。
 S・ハンチントンはその著『文明の衝突』においてイスラムと西欧との間に相容れない文明の対立があるという論を展開した。彼の主張は、社会主義圏の崩壊によってイデオロギーの対立に基づく国民国家間の戦争が起こりにくくなったという点では的を射ているかのように見える。しかし、このように文明圏でひとくくりにして対比するグローバルな見方は相当に粗っぽい議論であり、それぞれの社会や文化が持つ特徴や多様性への深い洞察を欠いているのではないか。むしろ、それぞれの地域の社会や文化の独自性に根ざした地域研究の視座に立って、武力衝突や文化摩擦の問題に対して国際社会がどのように対応していくべきかを考えてみたい。これが、先のシンポジウムにおける筆者の問題提起であった。
 シンポジウムには学外から4人の講師をお迎えし、市民や学生の皆さんにもたくさん集まっていただいた。各講師の話は熱のこもった、聴衆を魅了する内容で、アンケート結果もおおむね好評であった。その中に1つだけ、「昨今の国際政治の情況は利権主義ともみられ、悲観的なもので、私はいわゆる解決法を求めてきたので、明快な答えが出ていなくて残念でした」という意見があった。これには筆者自身にも大きな責任がある。今にして思えば、シンポジウムの企画段階において、それぞれの地域研究ならではの視点から戦争を回避するにはどうしたらよいか、戦争によっては何も解決しないことをもっと強く打ち出していただくよう要請すべきであった。その後のイラク戦争の勃発と経過は読者の皆さんもよくご存知のとおりで、イラク情勢はますます悲惨と混迷を深めていった。
 本書を貫徹しているテーマは、国際交流・国際協力と相互理解の促進によって平和な関係を構築し、いかに地域社会の安定と発展を実現していくかにある。「知」とは歴史と国際社会の現実をしかと見極めようということ。「実践」とは平和への思いを陶冶し、地域と現場の視点を大切にしようということ。いずれも筆者にとっての努力目標である。

著者プロフィール

石原 享一(イシハラ キョウイチ)

神戸大学大学院国際文化学研究科教授。
1977年一橋大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。神奈川大学、学習院大学の講師を経て、1982年からアジア経済研究所に勤務。その間、1984〜86年在中国・日本大使館専門調査員、1992〜93年香港大学アジア研究センター客員研究員、1993〜94年カリフォルニア大学バークレー校東アジア研究所客員研究員、1995〜96年一橋大学経済研究所客員教授。1996年から現職。社会学博士。1990年度「発展途上国研究奨励賞」受賞。
著書:China's Conversion to a Market Economy, Institute of Developing Eco-nomies, 1993(単著)。『中国経済の多重構造』アジア経済研究所、1991年(編著)。『「社会主義市場経済」をめざす中国』アジア経済研究所、1993年(編著)。『大陸・香港・台湾からみた中国経済』アジア経済研究所、1994年(共編)。『原典中国現代史 第3巻経済』岩波書店、1994年(共編)。『中国経済の国際化と東アジア』アジア経済研究所、1997年(編著)。『途上国の経済発展と社会変動』緑蔭書房、1997年(共編)。『中国経済と外資』アジア経済研究所、1998年(編著)。『現代中国事典』岩波書店、1998年(共編)。『21世紀中国の課題』東方書店、2005年(共編)など。

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