発行:明石書店
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A5判 296ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2645-0 C0322
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年10月
書店発売日:2007年10月09日
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韓国の初等学校(小学校)社会科教科書(2006年版、歴史分野6-1)とその副読本『社会科探究』を合本した翻訳書。韓国史を多くの写真・イラスト・地図でわかりやすく紹介。教科書と副読本双方の内容に対応した参照ページも示し使いやすい構成となっている。
目次
1 わが民族と国家の成立
1 一つにまとまった民族
はじめてたてられた国、古朝鮮(コヂョソン)
力を競って成長した三国
三国を統一した新羅(シルラ)、高句麗(コグリョ)を受けついだ渤海(パレ)
2 民族を再び統一した高麗(コリョ)
高麗の建国で変わった政治
逆境にうち勝って花開いた高麗文化
3 儒教を政治の根本とした朝鮮(チョソン)
政治改革で新しい国を
文化の発達と民衆の生活のようす
二度の戦乱の克服
2 近代社会へ進む道
1 新しい社会への動き
社会変化のための庶民の努力
豊かに暮らす民、豊かで強い国へ
幸福を祈り、平等な世の中を願って
2 外勢の侵略とわが民族の対応
斥和碑(せきわひ)を建てた理由
朝鮮、どこへ行くべきか
大韓帝国を宣布した意味は
3 大韓民国の発展
1 国を取りもどす努力
銃とペンをとって戦った先祖たち
大韓独立万歳(マンセ)、韓国光復軍万歳
2 大韓民国の樹立と発展
分断を踏みしめて成立した大韓民国
民主市民が勝利した日々
漢江(ハンガン)の奇跡から統一へ
索引
翻訳を終えて
※本書は、韓国の初等学校〔日本の小学校にあたる〕で使用されている教科書『社会』6-1と、副読本『社会科探究』6-1を合本したものである。本書2〜143ページまでが『社会』、144〜280ページまでが『社会科探究』に当たる。
前書きなど
翻訳を終えて
本書は、韓国の初等学校〔日本の小学校にあたる〕6年生が現在学んでいる教科書『社会』6−1と副読本『社会科探究』6−1の全訳である。いつも思うことだが、一部分ではなく全訳を通してこそ、韓国の小学生がどのような歴史を学んでいるかがわかる。すぐ隣の国でどのような歴史を教えているのか、あるいは学んでいるのかを理解することは、日本と韓国のこれからを考えるうえで大切なことだろう。
教科書にどのようなことが、どのように記述されているかを探っていくと、おのずと隣国でありながらも、その考え方や見方が違うことに気づかされる。私たちは、その違いにこそ価値を見いださなければならない。違いを違いとして認め合い、それを前提にしなければ友情は深まらないからである。読者のみなさんにはぜひこの点を念頭に置きながら、読みこんでいただければ幸いである。
今回の『社会』教科書は前回のもの(翻訳は石渡延男監訳/三橋ひさ子、三橋広夫、李彦叔訳『わかりやすい韓国の歴史——国定韓国小学校社会科教科書』明石書店、1998年)とは構成がかなり変化している。
まず、韓国の歴史を原始・古代から現代に至るまで、1冊にまとめている。前回は、「6年生で使う『社会科1』の教科書は韓国史を内容とする歴史教科書で、古朝鮮の建国から1945年までの韓国史を扱っている。『社会科2』は現代社会を内容としていて、1945年以降の歴史は政治・経済・社会と併せて総合的に記述されてい」(同、あとがき)たため、1945年までの韓国史しか翻訳されていない。つまり、1998年当時の韓国社会科教科書では、韓国現代史は歴史としてというよりも、政治や経済・文化といっしょに扱われていたことがわかる。
さらに前回は、朝鮮王朝までの歴史を、「1 わが民族と国家の発展」に見られるように、人物を通して学ぶようになっていた。なかでも、「歴史が長い私たちの国」で檀君王倹(タングンワンゴム)、広開土大王(クァンゲトデワン)、文武王(ムンムワン)、王建(ワンゴン)、李成桂(イソンゲ)ら、古朝鮮(コヂョソン)以来のそれぞれの王朝の始祖について学んだあとで、「国を守った先祖たち」で乙支文徳(ウルチムンドク)、姜邯賛(カンガムチャン)、李舜臣(イスンシン)らの軍人のことを学んだ。テーマごとにまとめて人物について学習するため、時代が前後して理解しにくいという批判もあった。
一方、本書は、2000年より実施されている第7次教育課程〔日本の学習指導要領にあたる〕に基づいた初等学校社会科教科書である。
本書では、原始・古代から現代までの韓国史を通史的に、そしてそれぞれの時代では、支配者ばかりでなく、民衆の歴史についても述べている。文化などもかなり具体的に写真や挿し絵などで示しながら、説明している。
朝鮮後期の記述では、「社会変化のための庶民の努力」のなかで、興夫歌や鳳山仮面劇(ポンサンタルチュム)を紹介し、支配階級であった両班(ヤンバン)を皮肉りながら文化の発達を通して民衆が成長していったことが書かれている。
韓国近代史のなかで大きな影響をもった東学農民運動についても、以前はたんに宗教活動としてしか扱われていなかったが、今回は、東学教徒たちの初期の主張と後期の主張の違いなどにもふれながら、当時の韓国の民衆が何を求めていたのかをはっきりと書いている。
そして、1945年の解放後に朝鮮半島に分断と6・25戦争〔朝鮮戦争〕という悲劇がもたらされながらも、民主主義を求める動きが続けられたことが強調されている。特に、5・18民主化運動と6月民主化抗争について記述し、「6・29民主化宣言の内容をみて、わが国の政治がどのように変わったか比べてみよう」という課題を提示している。この二つが、韓国の民主主義実現のための運動として評価され、それを子どもたちが学ぶことはこれからの韓国のあり方を大きく左右するものである。
そして、各中単元の「選択学習」と各単元の「単元の整理学習」にも特徴がある。
例えば、「外勢の侵略とわが民族の対応」のところでは、自動車、電話機、汽車、電灯、映画などを取り上げて、これらのものが初めて伝えられたときには何と呼ばれたか、そして、なぜそう呼ばれたかを考える、という課題が示されている。これなどは、日本の教科書にも取り入れてみたい学習である。
歴史学習の最後の「単元の整理学習」では、「4・19革命、5・18民主化運動、6月民主抗争を比べ、共通してなしとげようとしたことは何か調べてみよう」として、「なぜおきたか、どのようなことがおきたか、共通してなしとげようとしたこと」について表にまとめさせている。この活動を通して、韓国の人々が求めてきた、あるいは求めていることは何かを子どもたちにつかませようというのである。
ただ、檀君の学習では、「檀君物語」として『三国遺事』の記述であることが明記されたものの、まだ神話の部分と史実の部分が曖昧である。やはりこの「檀君物語」は『三国遺事』が書かれた高麗(コリョ)時代の学習として扱うことが望ましいと私は考える。そのように扱うことによって、『三国遺事』の著者である一然(イリョン)がなぜそうした話を歴史書として書き表したか、子どもたちなりに考えることができ、その学習を通して子どもたちの歴史への関心が深まるからである。
さらに、朝鮮通信使の記述も、「選択学習」の一つとなってしまった。韓国の子どもたちが韓日交流の歴史を考えるうえでも、本文などで取り上げてより深い学習が展開できるようにするべきではないだろうか。
2009年から順次実施される新しい教育課程でどのようになるか、期待したい。
2007年9月
翻訳者 三橋広夫
著者プロフィール
三橋 広夫(ミツハシ ヒロオ)
1951年生まれ。
早稲田大学教育学部卒業。
早稲田大学講師。
<主要著書・訳書>
『これならわかるベトナムの歴史Q&A』(大月書店、2005年)
『これならわかる韓国・朝鮮の歴史Q&A』(大月書店、2002年)
『韓国・台湾に向き合う授業』(日本書籍、1999年)
『向かいあう日本と韓国・朝鮮の歴史——前近代編』(共著、青木書店、2006年)
『韓国の高校歴史教科書——高等学校国定国史』(翻訳、明石書店、2006年)
『韓国の中学校歴史教科書——中学校国定国史』(翻訳、明石書店、2005年)
『躍動する韓国の歴史——民間版代案韓国歴史教科書』(監訳、明石書店、2004年)
『韓国伝統文化事典』(共訳、教育出版、2006年)
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