施設職員の職場環境とストレス児童養護施設におけるレジデンシャルワーク
伊藤 嘉余子:著
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 256ページ 上製
定価:3,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2631-3 C0036
品切・重版未定 へ復刊希望を出す
奥付の初版発行年月:2007年10月 書店発売日:2007年10月04日
タグは版元ドットコム事務局で編集することがあります。
あらかじめご了承下さい。


このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

社会情勢の変化に伴い多機能化が求められている児童養護施設は、今後どうあるべきなのか。レジデンシャルワークの担い手である施設職員を対象に実施した実態調査に基づき、良好とはいえない職場環境のなかでストレスを抱え苦悩する職員の姿を浮き彫りにする。

目次

刊行によせて(高橋重宏)
序 章 研究の意義と問題の所在
 第1節 研究の背景
 第2節 研究の目的と方法
 第3節 研究の意義
 第4節 本書の構成
第1章 児童養護施設におけるレジデンシャルワークとは何か
 第1節 レジデンシャルワークの構成要素と特質
 第2節 ホスピタリズム論と日本における児童養護理論の系譜
 第3節 レジデンシャルワークを担う児童養護施設職員の機能
 第4節 小 括
第2章 児童養護施設職員の職場環境に関する意識調査の方法
 第1節 調査の目的
 第2節 調査の対象
 第3節 調査項目の策定
 第4節 プレ調査の実施
 第5節 分析の視点
第3章 児童養護施設職員の職場環境に関する意識調査の結果
 第1節 回答者と勤務施設の属性
 第2節 職員のストレス認知
 第3節 感じるストレスに対するコーピングと予防策
 第4節 新たに必要と感じるコーピング資源
 第5節 否定的ストレスに影響する因子
 第6節 施設形態と勤務形態によるストレスの差異
 第7節 労働条件:9年前の調査との比較を通して
 第8節 職場内の良好な人間関係とスーパービジョン
 第9節 子どもとのかかわりでの不満や負担感とよろこびや充実感
 第10節 女性が多く働く職場としての問題意識
 第11節 施設外部との関係と地域化
 第12節 子どもへのケアのあり方と職員間連携
 第13節 本調査の限界と今後の検討課題
第4章 児童養護施設機能の専門性とアドミニストレーション
 第1節 施設職員の「働き方」とチームワーク
 第2節 施設の「地域化」と「社会化」の課題
 第3節 「小規模化」の意味する内容の検討
終 章 本研究で残された課題と児童養護施設を含む社会的養護の今後の展望
 第1節 本研究の到達点
 第2節 本研究の限界と意義
 第3節 今後の課題と社会的養護の展望
資料1 調査票:児童養護施設職員の職場環境に関する実態調査
資料2 単純集計結果一覧
資料3 自由記述結果一覧
参考文献
あとがき

前書きなど

刊行によせて
 子ども家庭福祉を追求する学者は多いが、学部の卒業論文(同志社大学)、大学院の修士論文(同志社大学大学院)、博士後期課程での博士論文(日本社会事業大学大学院)と一貫して児童養護を対象とした研究者は、おそらく本書の著者伊藤嘉余子博士が日本で初めてであろう。学部時代から実習生として、ボランティアとして、アルバイトとして、深く児童養護施設にかかわった実績から、それぞれの研究課題を提示し、検証している。
 今年12月には、児童福祉法が制定されて60周年を迎える。孤児院が養護施設となり、平成9年の法改正で児童養護施設と名称が変更され、さらにその目的に「自立支援」が登場した。現在、日本には558か所の児童養護施設があり、約3万人の子どもが生活している。その7割は大舎(20人以上、中には100人を超える)に入所している。加賀美尤祥前全国児童養護施設協議会会長は「我が国の社会的養護システムがまだ戦後の孤児対策としての収容保護パラダイムそのものであることを象徴している」と指摘している。
 先進諸国では、インスティチューション(施設)は廃止され、レジデンシャルケア(里親とグループホーム)に移行した。日本でも厚生労働省の掲げる「子ども子育て応援プラン」が施設の小規模化を掲げているが必ずしも順調には進んでいない。
 本書は、児童養護施設に関する多様な問題が指摘されるなか、詳細な先行研究のレビューと、施設での実践の担い手となる児童養護施設職員のストレスや職場環境に対する意識調査の結果を手がかりとして、近年普及・促進が急がれている児童養護施設の「地域化」と「小規模化」に着目しながら、今後の児童養護施設におけるレジデンシャルワークの展開のあり方について論じたものである。
 伊藤博士は、日本の国内のみならず、アジアで、さらにグローバルに活躍できる人材である。本書をもとに、さらに日本の児童養護がレジデンシャルケア(里親とグループホーム)に移行され、子どものウェルビーイングが促進されるような研究を発展させるリーダーになってほしい。
 伊藤博士が新しいタイプの子ども家庭福祉学、ソーシャルワークの学者としてさらに発展されることを願っている。

2007年8月31日
東洋大学社会学部長・教授
日本社会福祉学会会長
第20期日本学術会議連盟会員
高橋重宏

著者プロフィール

伊藤 嘉余子(イトウ カヨコ)

1975年 愛知県生まれ
1999年 同志社大学文学部社会学科社会福祉学専攻卒業
2001年 同志社大学大学院文学研究科博士前期課程修了
     修士(社会福祉学)
2007年 日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程修了
     博士(社会福祉学)
現 在 埼玉大学教育学部乳幼児教育講座講師
    日本子ども家庭総合研究所嘱託研究員
    社会福祉士、保育士
著 書 『改訂・保育士養成講座 児童福祉』全国社会福祉協議会(共著)、2005
    『保育の場で出会う家族援助論』建帛社(共著)、2005など

上記内容は本書刊行時のものです。


コメントとトラックバック 1件 »

  1. 本書は、児童養護問題に関する研究の中で、比較的手数な施設職員の職場環境にも焦点を当てた点では評価できる。しかし、残念ながら、職場環境に焦点をあてながら、最も基本的な職員の雇用・労働条件のなかで賃金にふれられていない。また、先行研究の指摘の中で養問研のことがふれられ、竹中氏の20年前の本をもとに述べられているが、その後の到達点についてはふれられておらず、それが現在も養問研の理論的支柱になつているかのような誤解を与える内容である。この点は研究者としての姿勢が問われるのではないか。
    また本書の内容・水準に比べて、高橋氏の指摘も、少々持ち上げすぎと感じる。

    コメント by 元・施設職員 — 2008/11/2 日曜日 @ 21:14:34

TrackBack URI : http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7503-2631-3.html/trackback

コメントをどうぞ

お寄せいただいたコメントは、当サイトに掲載されますが、内容によっては削除させていただく場合がございます。なお、コメントへの回答は原則としていたしておりません。当サイト・著者・各版元へのお問い合わせの際は、お問い合わせフォームをご利用下さい

Twitterでのつぶやかれ

▲ページの上端へ