発行:明石書店
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A5判 296ページ 上製
定価:5,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2624-5 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年10月
書店発売日:2007年09月28日
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紹介
1945年から1952年までの戦後占領期に、アメリカ占領軍は日本人の思想を改良するための再教育を企てた。その最良手段として選んだのは放送。本書は、放送が占領政策に果たした役割を、NHKのラジオ番組「婦人の時間」の分析などから詳細に描き出す。
目次
はじめに
本書で使われる主要な組織・団体の正式名称
序
何について書くのか?
どのような言葉で語るのか?
それぞれの章は何を目指すのか?
海外の先行研究はどこまで進んでいるか?
第1章 SWNCC文書:「再教育・再方向付け」プログラムの分析
1−1:SWNCC162シリーズ
1−2:SFE116覚書
第2章 CIEと放送メディア
2−1:ソフト・ポリシーと放送
2−2:CIEとその使命
2−3:ラジオ班とその使命
第3章 CIEによる放送指導と実践
3−1:アメリカの放送技術の導入
3−2:新番組と「再教育・再方向付け」の実践
第4章 PPB/CCDとラジオ・コード
4−1:ラジオ・コード
4−2:検閲の実際
4−3:検閲の問題点
第5章 「婦人の時間」:ケース・スタディー
5−1:女性と1946年総選挙:占領の短期目的
5−2:女性のための社会教育:占領の長期目的
5−3:聴取者の反応
第6章 「婦人の時間」:テーマと台本
6−1:テーマの分析
6−2:ラジオ台本の分析
第7章 オーラル・ヒストリー:放送と女性
結 論
あとがき
参考文献
資 料
前書きなど
はじめに
連合国軍の日本占領期(1945〜1952年)に、GHQ/SCAP(連合国軍最高司令官総司令部)内に設立されたCIE(民間情報教育局)は、民主化あるいは「日本人再教育・再方向付け」プログラムと呼ばれる政策を実行した。それは学校教育や社会教育を通じて、日本人の全思想・文化を改良することを目指すものであった。本研究は、この政策に焦点を合わせたものである。
CIEは、日本の一般大衆に到達し指導する最良の手段として放送に注目していた。ラジオによる終戦の詔勅のように、実際に放送メディアは日本歴史上、重大な役割を果たした。メディア先進国アメリカの占領軍はその政策遂行にあたって、放送という手段を最大限活用した。日本占領とその後の国際政治の政治文脈において、これほど重要な位置を占めてきた放送メディアでありながら、これまで学問的注目をさほど浴びずにきた。日本研究の第一人者の一人であるメイヨーは、「近年、占領研究は興隆をみて、その裏面に光が当てられるようになった。日本の新聞、文学、映画への検閲については研究されてきたが、ラジオ放送に関しては、指導と検閲の大部分が見過ごされた」と述べる。
研究が注目を浴びずにきた最大の理由の一つとしては、CIEの放送メディアへの介入が極秘活動であったことが挙げられる。また、歴史学が伝統的に政治や立法、あるいは経済、労働問題や、せいぜい教育問題に主な焦点を絞る傾向があって、メディアに関する研究は比較的新しい学問分野に属しているという事情もこの分野の研究のとぼしさの理由の一つとして挙げられる。本研究は、こうした諸々の理由から占領史に生まれた学問的ギャップを埋めることに貢献することを意図するものである。
日本人はこれまで占領について書いたり、語ったりすることを忌避する傾向があった。それがどれほど日本の進歩を阻んだことであろうか。忌避したり、やみくもに占領政策を批判したり、あるいは賛美するのでなく、占領の事実を客観的に直視し、自らの歴史としてそこから学ぶ勇気を持つことが肝要である。占領は過去ではなく、現在であり、その時に持ち込まれたり、あるいは形成されたディスコースは今に生きて、時代と会話している。過去は消せない。それは、生きる。過去の真実の像を、ありのままに知る気迫と大胆さのみが、真に新しい時代を生み出す力となるはずである。そして、その像について声を大にして発言することは、真に民主的な行為であろう。私の研究が日本の民主主義の一つの小さな証となれば幸いである。
本研究は2005年5月に完成し、翌年5月にケンブリッジ大学の論文審査をパスした。博士論文の論題は「The Informal Education in Democracy of Japanese Women through Broadcasting during the Occupation 1945-1952」である。この著書はその論文からの抜粋に加筆したものである。
2007年9月
岡原 都
著者プロフィール
岡原 都(オカハラ ミヤコ)
1948年、山口県生まれ。ニューヨーク大学修士課程修了(比較哲学)、ケンブリッジ大学博士号取得(歴史学)。
現在、オックスフォード大学客員研究員。
主要著書・論文・発表
『あなたにやさしいタオのメッセージ』(1997年、PHP研究所)、‘An Essay on Walt Whitman's Passage to India’(1995年、比較思想学会誌論文)、‘Orientalism and Japonism’(2000年、オックスフォード大学生涯教育学部講演)、‘The Informal Education in Democracy of Japanese Women 1945-1952’(2003年、ケンブリッジ大学主催教育史学会発表)など。
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