グローバル問題とNGO・市民社会
馬橋 憲男:編著, 高柳 彰夫:編著
発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 328ページ 並製
定価:2,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2621-4 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年09月
書店発売日:2007年09月05日
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紹介

貧困、人権、緊急人道援助、環境、ジェンダーなど、国家間で解決が困難なグローバルな問題に、NGO・市民社会の果たす役割とは? これまでの成果、浮かび上がる課題、政府・国際機関との連携など、最前線での事例報告も踏まえ全体像を多面的にとらえる。

目次

 序 章 拡大するNGO・市民社会の役割(高柳彰夫・馬橋憲男)
 [コラム]世界社会フォーラム(毛利聡子)
第1部 グローバル問題とNGO・市民社会の役割
 第1章 貧困・開発とNGO——世界の現状と北のNGOの活動(高柳彰夫)
 第2章 貧困・開発とNGO——台頭する南のNGO(斎藤千宏)
 [コラム1]都市スラムにおけるNGOの活動(高柳彰夫)
      ——タイ・プラティープ財団を中心に
 [コラム2]南のアドボカシーNGO(高柳彰夫)
      ——Focus on the Global Southの事例
 第3章 緊急人道援助とNGO(熊岡路矢・下田寛典[寛は儿に点])
 第4章 地球環境とNGO(毛利聡子)
 第5章 人権とNGO(川村暁雄)
 第6章 ジェンダーとNGO(織田由紀子)
 [コラム1]インドの貧しい自営女性のためのNGO—SEWA(喜多村百合)
 [コラム2]NGOから見たトラフィッキング(武藤かおり)
第2部 政府・国際機関とNGO・市民社会
 第7章 NGOとODA(重田康博)
 第8章 NGOと国連(馬橋憲男)
 [コラム1]地域統合体EUとNGOの関係(登石優子)
 [コラム2]アジア太平洋の地域的枠組みにとってのNGOの意味(椛島洋美)
第3部 日本におけるNGO・市民社会の課題
 第9章 日本社会とNGO——国境を超える市民組織(伊藤道雄)
 [コラム]「フェアトレード」にホットな大学生(馬橋憲男&フェリス・フェアトレード(FFT))
 第10章 地域おこしと市民組織(NGO)(西川芳昭)
 [コラム1]越境する地域づくり(松尾康範)
 [コラム2]アジアと日本の農村を結ぶ(西嶋克司)
      ——土つくり カンボジアと日本の地域開発を結ぶ視座
あとがき

前書きなど

序章 拡大するNGO・市民社会の役割(高柳彰夫・馬橋憲男)
1 はじめに
 NGOをはじめ市民社会の活動はますます活発になり、グローバルな課題にさまざまな形で取り組んでいる。本書の執筆が進められていた二〇〇六年の終わりには、貧しい女性のマイクロクレジットを通じた貧困解消の活動を行うバングラデシュのグラミン銀行と、創始者で総裁のムハマド・ユヌスがノーベル平和賞を受賞した。過去一〇年間のノーベル平和賞受賞者には、地雷廃絶国際キャンペーン(ICBL)とジョディー・ウィリアムス代表(一九九七年)、国境なき医師団(一九九九年)、ワンガリ・マータイ(二〇〇四年)とNGOや活動家が含まれている。一方で、シアトルのWTO(世界貿易機関)会議(一九九九年)、ジェノア・サミット(二〇〇一年)のときのように、デモが暴力や騒乱に発展したことから、NGO・市民社会は批判された。NGOや市民社会は誰を代表するのか、その活動の正当性はどこにあるのかも問われるようになっている。
 いずれにしても、NGO・市民社会について取り上げられる機会はますます増えている。日本の状況としては、一九九八年末に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行され、従来はほとんどが任意団体としての活動を強いられてきた日本のNGOや市民社会の諸団体は、法人格を得ることができるようになり、社会的な認知度も高まった。大学における社会科学の教育・研究や、社会教育などでNGO・市民社会はますます取り上げられるテーマになっている。
 NGOのグローバルな諸問題を取り上げた書籍として『ハンドブックNGO』(馬橋憲男・斎藤千宏編著、明石書店)が一九九八年に出版された。本書は、その後のNGO・市民社会の活動の拡充と取り巻く環境の変化、このテーマに関する研究の蓄積を踏まえ、NGO・市民社会のますます幅広くなる活動と、現在直面する諸問題についての理解を深め、あるいは考える素材を提供することを目的としている。

(中略)

6 本書の概要
 本書は三つの部に分かれている。第1部では、貧困と開発(1−2章)、緊急人道援助(3章)、環境(4章)、人権(5章)、ジェンダー(6章)のグローバルな諸課題におけるNGO・市民社会の役割を検討する。それぞれの問題領域におけるNGO・市民社会の現場での実践活動とアドボカシー活動、二つの活動の相互の関係に触れられている。また、いくつかの章ではコラムで特徴のある団体を紹介している。
 NGOは非政府組織であるが、それは政府や政府間国際機関と関係を持たずに活動することを意味しない。前節で見たようにNGO・市民社会と政府や国際機関との連携も進んでいる。第2部では、NGO・市民社会とODA機関(7章)、国連(8章)との関係に注目し、後者との関連でヨーロッパとアジア太平洋圏の地域統合体との関係もコラムで取り上げている。
 日本はNGO・市民社会の発達が遅れてきた国と言われてきた。第3部では、日本のNGO・市民社会を検討しつつ、私たちの社会でNGO・市民社会の活動を活性化する課題を考える。国際的な問題に取り組むNGO・市民社会の現状を紹介(9章)するとともに、「グローバルに考え、ローカルに行動する」(think globally, act locally)の観点から国際的な視野を持ちつつ地域の問題に取り組むNGO・市民社会の役割にも注目した(10章)。後者では地域の問題に取り組みつつ国際的に活動する実践例二つをコラムで紹介する。

著者プロフィール

馬橋 憲男(ウマハシ ノリオ)

フェリス女学院大学国際交流学部教授。
<主要な著書・論文>
『国連とNGO——市民参加の歴史と課題』有信堂、1999年
『新しい国連——冷戦から21世紀へ』(共編著)有信堂、2004年

高柳 彰夫(タカヤナギ アキオ)

フェリス女学院大学国際交流学部教授。北九州市立大学外国語学部国際関係学科助教授を経て現職。
<主要な著書・論文>
『カナダのNGO——政府との「創造的緊張」をめざして』明石書店、2001年
『私たちの平和をつくる——環境・開発・人権・ジェンダー』(共編著)法律文化社、2004年

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