グローバリゼーションへの対案連帯経済
西川 潤:編著, 生活経済政策研究所:編著
発行:明石書店
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四六判 296ページ 上製
定価:3,600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2620-7 C0033
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年09月
書店発売日:2007年09月07日
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紹介

「利潤追求」「営利万能」の市場経済が引き起こす社会的な諸矛盾。それを変えていく動きとして、今「連帯経済」が注目され始めている。その概念と政策、カバー領域等、生成しつつある連帯経済の姿を描き出し、オルターナティブを提起する共同研究論文集。

目次

まえがき(西川 潤)
序 章 連帯経済——概念と政策(西川 潤)
第一章 福祉国家転換とソーシャル・ガバナンス
    ——所得保障から参加保障へ(宮本太郎)
第二章 連帯経済論の展開方向
    ——就労支援組織からハイブリッド化経済へ(北島健一)
第三章 ヨーロッパにおける連帯ファイナンス(重頭ユカリ)
第四章 地域協働とコミュニティ・ビジネスの発展
    ——行政とNPO間の連帯(浜岡 誠)
第五章 「企業の社会的責任」(CSR)とステークホルダー参加、社会連帯政策(成川秀明)
第六章 協同組合の連帯経済へのアプローチ(栗本 昭)
第七章 連帯経済の国際的側面(西川 潤)
第八章 グローバル・フェミニズムと連帯経済(羽後静子)
索 引

前書きなど

まえがき
 世界的なグローバリゼーション、市場経済化の流れのなかで、第二次大戦後の数十年間、経済成長を担った政府の役割が小さくなっているとき、市場経済万能主義の引き起こすいくつかの「失敗」にどう対応するかという問題は、どこの国でも深刻に受け止められている。そこから、世界で新たに活動し始めている「市民社会」の役割に注目が集まり、市民社会諸団体の唱える「連帯経済」への関心が高まるようになった。
 本書は、生活経済政策研究所の場で、二〇〇四年秋から二年をかけて取り組まれた「連帯経済」研究会の研究成果をまとめたものである。
 連帯経済はもともと一九世紀の資本主義経済勃興期に提唱された「社会による経済コントロール」の概念に発するものである。この考え方は一九世紀から二〇世紀にかけて社会的経済、非営利経済、協同組合経済等として発達したが、二〇世紀の後半にはケインズ主義の「国家による経済コントロール」の思想に道を譲るようになった。しかし、近年の国家統制主義批判、「小さい国家」が望ましいとする時代風潮のなかで、この考え方が再び、ボランタリー部門、社会的セクター、市民社会(NPO、NGO)セクター等の重視として息を吹き返すようになった。
 そればかりではない。市民社会の運動は政府や公共政策に対する提言、多国籍企業や大企業に対する社会的責任の要請として、新たな経済システム形成の動因として現われることになった。このような市民社会が営利万能の市場経済を変えていこうとする動きが「連帯経済」として国際社会で現われている。それは国内でも同様であり、市民社会は、日本など世界各地で現われている貧富格差や地域格差の増大に際して、貧困や失業、社会分裂を防ぐ動因として、地域社会(コミュニティ)や社会的企業の主体、自治体等との社会的協働の主体として活動するようになっている。
 われわれの研究会では、このように現実が先行しながら理論的な整理、体系化がいまだ必ずしも進んでいるとはいえない連帯経済の論理、倫理、動因、アクター、カバー領域、様態、意義を、ある程度まとめることを意図した。そのため、ポスト福祉国家(ケインズ主義)の時代に現われてきた参加型経済(ソーシャル・ガバナンス)、市民参加による政府・企業主導型経済の変質(ハイブリッド型経済の生成)、連帯金融、地域協働、企業の社会的責任、協同組合運動の変化、国際的な連帯経済の表現、ジェンダーから見たグローバル・レヴェルでの連帯経済の実体化等の諸点から、生成しつつある連帯経済の姿を描き出すことに努めた。
 本書自身が「連帯経済」を体系化するというにはいまだ遠いが、その方向への第一歩としての議論整理はある程度できたのではないか、と考えている。その場合にわれわれが重視したのは、連帯経済の思想の歴史的連続性(一九世紀から二一世紀へ)と、国内の連帯問題と国際的な連帯問題の連続性という「二重の連続性」の視点である。連帯経済という言葉は新聞紙上で昨今見かけるようになったが、一朝一夕に出てきたものではなく、資本蓄積の前に人間性や人間にとって価値ある文化的・環境的資産を商品化していく思想、風潮に対して挑んできた先人たちの長い人間性復興の営みを踏まえたものだということを、本書で理解していただければ、われわれの目的は達成されたことになる。

二〇〇七年七月
「連帯経済」研究会
主査 西川 潤

著者プロフィール

西川 潤(ニシカワ ジュン)

1936年生まれ。早稲田大学名誉教授。早稲田大学政治経済学部、同大学院アジア太平洋研究科で「開発経済学」を2007年3月まで教える。世界経済論/南北問題/社会経済論専攻。主要著書・論文:『人間のための経済学——開発と貧困を考える』岩波書店、2000年。『世界経済入門』第3版、岩波新書、2004年等。

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