発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 384ページ 並製
定価:2,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2619-1 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年09月
書店発売日:2007年09月06日
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紹介
子どもを間近に見ていて、「ちょっとおかしいな」と感じ始めた親が、まず子どもの様子から「問題に気づき、見極め」て、次に「その原因を探り」、最後に子どもに必要な「支援」について学ぶことができるよう歯に衣着せぬ率直さで述べた「親の味方となる本」。
目次
はじめに
1 子どもに見られる5種類の精神的な問題について学ぶ
2 精神障害とその原因について学ぶ
3 子どものために必要な支援を得る方法について学ぶ
第1部 子どもの精神的な健康状態を理解する
第1章 精神的な問題はどのように見えるの?
1 破壊的な行動
2 気分の変動
3 恐怖と不安
4 学習上の障害
5 発達の躓き
6 子どもの問題についてさらに学ぶ:次の段階
第2章 健康なのか、病的なのか:日常的な問題は、いつ「障害」に変わるの?
1 子どもの問題を評価する:親を対象とする予備的アセスメント
2 あなたの子どもの問題を診断する:専門家の評価
3 子どもの精神医学的診断をめぐる誤った通念
第3章 何が精神的な問題を引き起こすの?
1 原因についてわかっていることとわかっていないこと:概論
2 原因に関する知識をどのように役立てるか
3 精神的な問題と脳
4 あなたの子どもが障害を発症する可能性はどのくらいあるか?
第2部 診断と障害
第4章 破壊的な行動
1 注意欠陥/多動性障害(ADHD)
2 反抗挑戦性障害(ODD)
3 行為障害(CD)
4 物質使用障害
第5章 気分の変動
1 大うつ病
2 双極性障害
第6章 苦悩と不安
1 恐怖症
2 分離不安障害
3 パニック障害
4 広場恐怖
5 外傷後ストレス障害(PTSD)
6 全般性不安障害
第7章 学習障害(LD)
第8章 発達の躓き
1 自閉症
2 アスペルガー症候群
3 レット障害
4 小児期崩壊性障害
5 広汎性発達障害のある子どもにはどのような未来が待ち受けているか?
第9章 強迫性障害・トウレット障害・摂食障害
1 強迫性障害
2 トウレット障害
3 摂食障害
第3部 専門家の支援を得る
第10章 メンタルヘルスを評価する
1 スクリーニング、あるいは最初のアセスメント
2 メンタルヘルス評価の分析
3 メンタルヘルス面接
4 心理アセスメント
5 診断から何が期待できるか?
6 治療を始める……が、まずは子どもの長所を把握しよう
第11章 診断をもとに適切に対応する:わが子に応じた正しい治療を見つける
1 子どもの治療に関して親が知っておくべき原則
2 提案された治療計画を評価する方法
3 どのような種類の治療が受けられるか?
4 子どもの治療を観察する
第12章メンタルヘルスケア・システムを利用する
1 民間のメンタルヘルスケア・システムを利用する
2 公的なメンタルヘルスケア・システムを利用する
3 子どもの学校と協力する
解 説(田中康雄)
前書きなど
解 説(田中康雄:一部抜粋)
1.
本書は、ハーバード大学医学部精神科の臨床教授で児童精神病理学を研究しながら、マサチューセッツ総合病院で小児精神薬理学研究の責任者を務めているスティーブン・V. ファラオーネ博士が、家族、特に親のために著したと思われる「Straight Talk about Your Child's Mental Health, what to do when something seems wrong, 2003」の全訳です。
本書の特徴は、なんといっても、歯に衣着せぬ率直さ(Straight Talk)にあります。徹底的に、子どもの様子について、親が主体的に関わる手立てを述べています。それは、「ひじょうに完璧な、親の味方となる本」とか、「子育てに難しさを感じている全ての親にとって必読の書」という書評に偽りなしと思われるほど徹底しています。
2.
本書は、はじめから通読することをお勧めします。必要な箇所を、という思いがあるかもしれませんが、子どもの全体像と、その支援の概要を把握するためにも、ボリュームはありますが、ぜひ「はじめに」から読み進めてください。本書の構成は、3部からなっております。子どもを間近に見ている親が、まず子どもの様子から「問題に気づき、見極め」て、次に「その原因を探り」、最後に子どものために必要な「支援」について学ぶことができるように書き進められています。
著者は、そもそも子どもたちが示す言動が、深刻な心配をするべきものなのか、しばしの時を味方につけることで消失してしまうものなのか、その判断はとてもむずかしいものであるということを大前提にしています。
そのため最初の気づきのところで、著者は、子どもの言動を破壊的な行動、気分の変動、不安、学習上の躓(つまづ)き、発達の躓きという日常的な言葉として表現できうる5つの分野に沿って説明をしています。
この分類は、「診断名から理解する」という動きを封じ込めるよい提案だと思います。本書のなかでも著者は「5つのカテゴリーに分けることは単純すぎると思われるかもしれません」と述べた後、しかしこうした分類は、「自分の子どもを正確に評価しようとする時につきまとう混沌(こんとん)とした不安から、親を救出するものになります。親は結論をひとまず棚上げして、もう一度基本から、つまり、子どもはどのような行動をとっているのかという問いからスタートする必要」があると述べています。
(…後略…)
3.
第2部は、6つの章からなっています。第1部で述べた5つのカテゴリーに沿って第4章から8章まで、丁寧に記述してくれています。
ここでは、このカテゴリーを示す言動から類推できる医学的な障害について、障害の特性と、基本的な治療計画について、率直に述べています。ある情報からもっとも正しいと思われる医学的障害へ近づき、同時に考えられる限りの鑑別を行い、ある障害の可能性が高いという結論を得た場合は、もっとも定評のある治療方法を述べるという手順を取っています。
(…後略…)
4.
第3部は、専門家の判断から支援を組み立てるプロセスについて、詳述しています。特にこの第3部は、親側の視点で書かれています。私自身専門家として、これまでの臨床態度や医療哲学を振り返り、冷や汗の連続といった部分でした。
医師が子どもを診察して、「様子をみましょう」と言った時は、親はどうするか、医師がわが子を診察して治療の必要がないと判断した時は、あるいは必要があると判断した時は、といった「臨床場面でよくある風景」に対して、親にこれだけは確認しておきましょう、聴きましょうと、提案します。
私は、監修の時点で何度も、「いやー、それは尋ねられても」と閉口する自分に気づき、これだけの要求水準が「標準」だとすると、なかなか厳しいものだと、これまた率直な感想を抱きながら、「でも、親にしてみれば当たり前のことばかりだ」という思いも強くしました。
(…後略…)
5.
以上のような「率直な提言」に満ちた本書は、まさに親にとって活用してほしいものであり、同時に専門家と称される私たちは、ここで対峙(たいじ)する多くの質問に、どれほどの真実を背景に、どれほどの誠意をもって向き合うことができるだろうかと自問自答していく必要があります。しかし、自虐的にならずに、また本書を責めるようなことにならないように、できるだけ、同僚、あるいは他職種の人達と、学習会などのテキストとして使用してほしいと思います。
専門家たちは、本書でも述べられている「私の(臨床)経験から判断すると」という、一見説得力があるような、しかし議論すら出来ない、権威的な発言に今一度留意し、真にお互いが納得できる「子ども理解」のための言葉を生み出していく努力をするべきなのでしょう。
(…後略…)
著者プロフィール
スティーブン・V.ファラオーネ(ファラオーネ,スティーブン・V.)
ハーバード大学医学部精神科の臨床教授で児童精神病理学を研究しつつ、マサチューセッツ総合病院では小児精神薬理学研究の責任者を務めている。「神経精神病遺伝学(Neuropsychiatric Genetics)」誌共同編集委員、「児童青年精神薬理学ジャーナル(Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology)」誌の統計学方法論担当副編集長。「米国児童青年精神医学会ジャーナル(Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry)」誌の生物統計学方法論顧問委員会委員。米国国立衛生研究所助成金による、注意欠陥/多動性障害の素質と原因を解明するためのいくつもの研究の研究責任者を務め、青少年における双極性障害や物質使用、統合失調症の研究に研究員として参加する。350を超す雑誌記事、論説、共著、著書を執筆。米国科学情報研究所(Institute for Scientific Information)によって、1990年から1999年までの間の精神医学におけるHigh-Impact Paper(その年の分野別の被引用回数が世界で200番以内に入る論文)の執筆者として第8位(心理学者としては第1位)に選ばれる(「サイエンス」誌2000年288号959ページ)。2003年に、注意障害に関する医学的および教育的研究における優れた業績が認められ、注意欠陥障害を持つ子どもと大人の会(CHADD:Children and Adults with Attention Deficit Disorders)の殿堂入りを果たす。
田中 康雄(タナカ ヤスオ)
1958年、栃木県生まれ。児童精神科医・臨床心理士。獨協医科大学医学部卒。国立精神・神経センター精神保健研究所の児童・思春期精神保健部児童期精神保健研究室長などを経て、現在、北海道大学大学院教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター教授。日本児童青年精神医学会評議員・学会認定医。
主な著書として、『ADHDの明日に向かって 増補版』(星和書店、2004年)、『軽度発達障害のある子のライフサイクルに合わせた理解と対応』(学習研究社、2006年)。監修として、『わかってほしい!気になる子』(学習研究社、2004年)。また翻訳監修として、クリストファー・ギルバーグ『アスペルガー症候群がわかる本』(森田由美訳、2003年)、ダイアン・M. ケネディ『ADHDと自閉症の関連がわかる本』(海輪由香子訳、2004年)、エドナ・D. コープランド他編『教師のためのLD・ADHD教育支援マニュアル』(海輪由香子訳、2004年)、ジョージ・J. デュポール他『学校のなかのADHD』(森田由美訳、2005年)、ルース・シュミット・ネーブン他『ADHD医学モデルへの挑戦』(森田由美訳、2006年)、トム・ハートマン『なぜADHDのある人が成功するのか』(海輪由香子訳、2006年)が共に明石書店より刊行。
豊田 英子(トヨダ エイコ)
1952年、東京生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒、東京大学人文科学研究科西洋史学修士課程修了。主に時事英語関連の雑誌翻訳に携わる。
訳書として、OECD編著『世界の児童労働』(2005年)、共訳として、ジョン・フェッファー『アメリカの対北朝鮮・韓国戦略』(2004年)、ブルース・カミングス『北朝鮮とアメリカ 確執の半世紀』(2004年)が共に明石書店より刊行。
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