発行:明石書店
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A5判 64ページ 並製
定価:600円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2574-3 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年07月
書店発売日:2007年07月24日
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紹介
ハワイ=観光という明るいイメージ、真珠湾=第二次世界大戦という暗いイメージ。本書はハワイ、真珠湾に対するステレオタイプの見方を捉え直し、多様な視点で歴史、地理、社会事象などを通して、同地域の知られざる魅力を豊富な写真とともにビジュアルに描く。
目次
まえがき(森茂岳雄)
1部 真珠湾へのアプローチ
1 真珠湾の地理
2 1941年12月7日の真珠湾
3 真珠湾攻撃直後の報道
4 ハワイ先住民にとっての真珠湾
5 日系人にとっての真珠湾
6 真珠湾と映画
7 真珠湾の死者を追悼する——USSアリゾナ・メモリアル
8 真珠湾を訪れる人びと
9 真珠湾をめぐる大統領のスピーチ
10 日本の教科書の中のハワイと真珠湾
2部 真珠湾のメモリー
1 日系部隊に参加した兵士 エド・イチヤマさん
2 戦艦ペンシルヴァニア号船上で エヴェレット・ハイランドさん
3 軍事情報局からGHQへ ソウジロウ・タカムラさん
3部 イントロダクション to ハワイ
1 ハワイってどんなところ?
2 ハワイの日系人
3 タパからアロハまで
4 ハワイを食べる
5 ハワイアンを聴こう
6 ボン・ダンスシーズンがやってきた
7 日系人墓地を歩く
おわりに(ジェフリー・ホワイト)
ハワイ・真珠湾関連年表
真珠湾攻撃・ハワイをよりよく知るための参考文献
前書きなど
まえがき
本書は、主に日本の高校生、大学生や一般の読者にハワイや真珠湾について多様な視点からより深く知ってもらうことを目的に書かれました。
みなさんは、ハワイや真珠湾と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。ハワイという言葉でイメージされるのは、リゾート、楽園、ビーチ、常夏といった観光にまつわる楽しく、明るいイメージでしょう。一方、真珠湾という言葉でイメージされるものは、戦争、奇襲、軍の基地といった第二次世界大戦にまつわる暗い記憶ではないでしょうか。
本書は、このようなステレオタイプなハワイや真珠湾のイメージをとらえ直し、多様な視点からハワイや真珠湾について考えていただけるような本にしたいと考えました。歴史・地理等、社会事象を多様な視点からとらえることは批判的で合理的な社会の見方を育てる上で大事なことであると考えたからです。
本書は、2005年8月、ホノルルの東西センター(East-West Center)に日米の中学・高校の社会科系教師38人が集まって真珠湾の記憶を日米の多様な視点からとらえ直し、どう教えるかをめぐるワークショップがきっかけになって誕生しました。東西センターは、合衆国とアジア太平洋諸国の相互理解と連携を強めることを目的に、1960年合衆国議会によって設立された教育・研究機関です。
「歴史と記憶:真珠湾をめぐる多様な物語」と題したこの教員ワークショップでは、参加者は真珠湾攻撃に関係する史跡やアリゾナ記念館への見学の他、生存者等の当時の個人の記憶を生の声として聞いたり、日系人や先住民にとっての真珠湾はなんであったかについての講義を受けたりして、多様な視点から歴史としての真珠湾について考えました。そして、ディスカッションを通して日米の教師が協同、連携してプロジェクトを立ち上げ、その後日米間で双方向的な授業実践が行われました。著者の3人はそのワークショップに日本側スタッフとして参加しました。その時、若い世代や教師が読むことができるハワイや真珠湾に関する適当な図書があったらということが話されました。本書は、このような要請に応えてアメリカ研究、ハワイ研究を専門とする矢口と国際理解教育、社会科教育を専門とする中山、森茂の共同作業によって作られました。
本ワークショップに講師として参加した歴史家エミリー・ローゼンバーグ(Emily S. Rosenberg)氏は、「パールハーバー」という用語は、「第二次世界大戦後のアメリカ人の生活において、最も強力で感情に訴えかける象徴の一つであり続けている」(『アメリカは忘れない——記憶の中のパールハーバー』2007年)と述べています。それに対し、私たち日本人にとって人々の感情を揺り動かす象徴は、今も「ヒロシマ」であり、「ナガサキ」です。それは当然のことですが、国家が創り出す「記憶」とそれを伝える歴史教育の内容の違いによっています。また、ある歴史事象に対する「記憶」は国家によって異なるとともに、個人によっても異なっています。本書を通して、読者の中に多様なハワイや真珠湾についての認識が生まれて下さるなら幸いです。
本書は、原則として見開き2ページで一つの項目が読めるよう簡潔な記述に努めました。どうぞ興味のある項目からお読み下さい。文章中の他の項目と関連ある箇所については、クロス・リファレンス(▲)で関連するページを示しました。途中でそこに飛んで読んでいただいてもかまいません。さあ、本書を片手にもう一つのハワイや真珠湾を発見して下さい。
本書のきっかけとなったプロジェクトは、東西センター、全米人文学基金(National Endowment for the Humanities)、アリゾナ・メモリアル・ミュージアム協会(Arizona Memorial Museum Association)と国立公園局(National Park Service)の協力と支援のもと、今年度(2007)以降も継続して行われることになっています。
著者を代表して
森茂岳雄
著者プロフィール
矢口 祐人(ヤグチ ユウジン)
東京大学大学院総合文化研究科准教授
専攻:アメリカ研究
主要著書
『ハワイの歴史と文化——悲劇と誇りのモザイクの中で』(中公新書、2002年)
『ハワイ研究への招待——フィールドワークから見える新しいハワイ像』(分担執筆、関西学院大学出版会、2004年)
『フラとハワイの歴史物語』(イカロス出版、2005年)
『現代アメリカのキーワード』(共編著、中公新書、2006年)
森茂 岳雄(モリモ タケオ)
中央大学文学部教授
専攻:多文化教育、国際理解教育、社会科教育
主要著書
『多文化社会アメリカにおける国民統合と日系人学習』(編著、明石書店、1999年)
『多文化主義のアメリカ——揺らぐナショナル・アイデンティティ』(共著、東京大学出版会、1999年)
『国立民族学博物館を活用した異文化理解教育のプログラム開発』(編著、国立民族学博物館、2005年)
『越境する民と教育——異境に育ち地球で学ぶ』(共著、アカデミア出版会、2007年)
中山 京子(ナカヤマ キョウコ)
京都ノートルダム女子大学心理学部専任講師
専攻:多文化教育、国際理解教育、社会科教育
主要著書・論文
『多文化社会アメリカにおける国民統合と日系人学習』(共著、明石書店、1999年)
『子どもとともにつくる総合的な学び——願いが広がる低学年の体験活動』(共著、東洋館出版、2000年)
『授業をデザインする「技」』(共著、ぎょうせい、2006年)
「真珠湾と広島の記憶をめぐる日米共同単元開発——ロサンゼルス・オマハ・京都の生徒が共に学ぶプロジェクト」日本国際理解教育学会編『国際理解教育』Vol.13(2007年)
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