特集 メディアと権力現代の理論 07夏 [vol.12]
『現代の理論』編集委員会:編
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 224ページ 並製
定価:1,143円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2571-2 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年07月
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紹介

第4の権力ともいわれる日本のマスメディア。ニュースをショー化させてしまったテレビ,調査報道という本来の役割を果たせない新聞…,日本のメディアに権力を批判する姿勢と力量はあるのか。「群れて,媚びる」「みなさまの」ではない,メディアの本質とは…。

前書きなど

特集のことば
 「みなさまの〜」「ジャーナリスト宣言」「群れない、媚びない」……。最近のテレビ、新聞各社の視聴者、読者向けの宣伝文句を、デザイン処理された画面やポスターから切り離して読んでみよう。これらの歯の浮くようなフレーズから、受け手の側にあるマスメディアに対する不信感を振り払おうとしてあがいているメディアの姿が目に浮かんでくるのではないだろうか。しかし、今回の特集で明らかにしたように、現実のメディアはむしろ、権力に「媚び」て、「群れ」る存在であり、権力者のために「みなさまの」世論調査の結果すら操作して発表する機関である。
 権力の行きすぎに警鐘を鳴らすという意味で使われる「社会の木鐸」とは使い古されたことばだが、本来木鐸とは、古代中国では権力者から発せられる法令などを触れ回るときに使われた木の鈴であったという。この国のメディアはいままさに本来の姿に戻ってしまったのか。
 「ジャーナリストは権力の不正を暴き、弱者のために闘う存在であるべきだ」というような少々説教じみた教えにしがみつくのは、もはや終わりにするべきなのかもしれない。「ジャーナリスト宣言」には、誰もが信じられなくなった古くさい信条にしがみつこうとした後ろ向きの姿が白々しく映る。そもそも活字や映像は真実を伝える道具でもあると同時に嘘をつく道具でもある。その自覚から出発しなければ、メディアの信頼は早晩崩壊するにちがいない。
 こんにち、デジタル技術の普及で送り手と受け手の双方向コミュニケーションが可能になった。いまやジャーナリズムは専門家の専有物ではない。肝心なことはジャーナリストが送り出す情報を一方的に享受する単なる受け手で終わることなく、情報の真実と嘘を見抜く技法の獲得であり、その価値を洗い直す議論が成立する公共的空間の確立ではないのか。
 ところで本誌もまた活字のメディアである。真実を述べているか、嘘をついているか、読者と公共空間の議論にその判断をまかせることとしよう。

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