発行:明石書店
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A5判 272ページ 上製
定価:3,900円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2503-3 C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年03月
書店発売日:2007年03月01日
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今日,東アジアでは著しい経済成長とともに市民社会の興隆と民主化が大きく進展している。本書は日本,台湾,韓国の東アジア3国におけるその実態とダイナミクスを調査分析し,またこれからの課題と方途を展望する,各国研究者たちによる気鋭の論集である。
目次
序 説 東アジアの市民社会と民主化(西川 潤)
第1部 日本における参加型社会と市民メディア
第一章 市民社会と公共空間(西川 潤)
第二章 参加型社会の展望——生活クラブ生協の経験から(横田克己)
第三章 市民メディアの可能性(永井 浩)
第2部 台湾における新社会運動と民主化
第四章 民主化の経験とは何だったか?(蕭 新煌)
第五章 新社会運動——NPOと社区の発展(徐 世栄/蕭 新煌)
第六章 民主化の担い手としての社区運動——歴史的発展の分析と諸類型(簡 子晏)
第七章 環境保護運動——民衆の抗議運動から制度化へ(紀 駿傑/蕭 新煌)
第八章 メディアと民主主義の強化(彭 文正)
第3部 韓国における市民社会と民主化
第九章 市民社会と民主化(金 仁春)
第一〇章 ITと民主主義(曹 和淳)
あとがき(西川 潤)
資料・東アジア民主化と市民社会年表(西川 潤/金 ■錫)[■は火偏に癶+糸]
索 引
執筆者・訳者紹介
前書きなど
あとがき
この『東アジアの市民社会と民主化——日本、台湾、韓国にみる』は早稲田大学台湾研究所による最近三年間の研究成果をまとめた台湾研究叢書の最初の出版物である。本書は日本、台湾、韓国の各国で市民社会がどのような状況にあるか、そこでの課題は何か、また、国の民主化とどのような関係にあるかを探っている。日本と台湾の市民社会研究を、東アジアの変化というコンテキストの中で理解しようとする試みである。
グローバリゼーションの進む現代世界において、その引き起こす経済変動、庶民生活に及ぼす影響、貧困や地域格差等の社会問題や生態系変化といった環境問題、これらに対応する市民社会の役割等について、次第に多くの人々の関心が集まるようになっている。また、従来、国家主導の下で高い経済成長を実現してきたアジア諸国で起こっている民主化等の政治変動、工業化を軸とした経済変動、都市化に関連した社会変動、そして、これらの行方についても、大きな関心が寄せられつつある。
台湾や韓国の事例は、こうしたアジアでの最近二〇年間にわたる大きな社会変動を先取りしたものと考えられる。これら変化の社会科学的解明を日本での社会変化と突き合わせながら、アジア社会の将来像を占う材料を提供したいというのが、本研究プロジェクトの目的である。
本叢書第2巻には本書の続編として、同じく西川潤、蕭新煌編による『東アジアの社会運動と民主化』が刊行される。これは東アジア、東南アジアにおいて都市中間層をベースとして起こっている社会運動がどの程度政治社会の民主化と関わっているかを、日本、台湾、韓国、カンボジア、タイの事例で検証したものであり、東アジア研究を東南アジア研究とつなぐ試みである。また、そのあとに予定している西川潤編著『アジアの市民社会』は、東南アジア、東アジアの市民社会発展の現状、相互の交流によるアジア市民社会の形成に関する、日本、台湾をはじめとする各国研究者の分析を集めた論集であり、グローバル化時代のアジア市民社会発展に関する最初の包括的な研究、即ちアジア市民社会白書である。
このように、台湾研究所では、日本−台湾関係の研究を主軸としながらも、台湾をアジア研究のコンテキストの中で理解しようと努力している。つまり、頭から台湾を「中国の一部」として、その抱えている歴史的、地勢的、経済社会的、また文化的な問題に目をつぶるのではなく、また、アジアの「孤児」として「特殊事例」扱いするのでもなく、むしろアジア共通の問題を持ち、経済的にも発達した有力な隣国として、その特徴を理解していく必要があるという立場に立つものである。そこからは、台湾の直面している中国との間の政治的問題(いわゆる「両岸問題」)、また、日本と大幅に共通する対外投資や「空洞化」の問題、知識集約化等の経済的問題、そして、自らのアイデンティティを追求している二三〇〇万人の人口を持つ多文化国家としての側面が浮かび上がってくるだろう。もちろん、日本と台湾の深い歴史的絆が相互に及ぼす意味の検証も重要なテーマである。
台湾研究所では、台湾の持つこのような複合的な国家像・国民像を、日台関係のコンテキストの中で立体的に分析するような研究を行っている。
二〇〇七年二月
早稲田大学台湾研究所所長
西川 潤
著者プロフィール
西川 潤(ニシカワ ジュン)
1936年台湾台北生れ。早稲田大学政治経済学部及びパリ大学高等学術研究院卒。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。早稲田大学台湾研究所長。
[主な著書]
『世界経済入門』第3版(岩波新書)、『人間のための経済学』岩波書店、『社会科学を再構築する』明石書店、等。
蕭 新煌(シャオ シンファン)
1948年台湾生れ。国立台湾大学社会学科及び米国ニューヨーク州立Buffalo 大学社会学修士、博士。台湾大学社会学科教授。中央研究院アジア太平洋地域研究センター所長。国家文化芸術基金会理事。
[主な著書]
『台湾社会文化典範的転移:台湾大転型的歴史和宏観記録』台北:立緒文化、『新台湾人的心』台北:月旦出版、等。The Changing Faces of the Middle Classes in Asia-Pacific (editor), Taipei: CAPAS, Academia Sinica.
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