ほがらかにくらすための私たちのやりかた私と娘、家族の中のアスペルガー
リアン・ホリデー・ウィリー, ニキ リンコ:訳
発行:明石書店
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四六判 296ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2496-8 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年03月
書店発売日:2007年03月14日
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紹介

著者と末娘はアスペルガー症候群。夫と上二人の娘は「ノーマル」。アスペルガー症候群ゆえにぶつかる出来事や悩みに向き合い,どうすれば楽しく暮らしていけるかを模索する家族の日常をウィットに富んだ筆致でつづる。アスペルガー流子育てのヒントも満載。

目次

はしがき(パメラ・B・タンゲイ)
はじめに
第1章 アスピィ
第2章 NTのルールは難しい
第3章 自分にもわかる部分だけにしがみついて
第4章 心乱すものたちからのがれて
第5章 ちがってたって堂々と
第6章 健やかなるときも、病めるときも
第7章 シーソーのように
第8章 ぐるぐる
第9章 いいところにも目を向けて
おわりに
付録
 アスペルガー症候群豪州版スケール/初心者のためのアスピィ入門/アスピィ本人のための自己アファーメイション文例/アスピィを育てる親のための自己アファーメイション文例/雑談という謎にいどむ
訳者あとがき

前書きなど

はしがき
 この人の頭に入って、中を見てみたい。AS〔アスペルガー症候群〕の身内がいる私たちなら、何度思ったことでしょう。こちらとしてはやはり、理由を知りたくもなるというものです。なぜ、私たちの喜ぶ言葉を——「だいすきだよ」とか——言ってくれないの? 愛をこめて抱きしめても、どうして喜んでくれないの? ちょっと肩の力を抜いて、成りゆきにまかせるだけでいいのに、それしきのことがなぜ大変なの?
 子どもを持つ親なら、たえず気をもんでいるものです。この子は将来、ちゃんと独り立ちできるのかしら? 仕事につけるのかしら? 結婚は? この子もいつか親になるの? 自分たちの育てかたは、これでいいの? ところが、ASやその近縁の障害がある子どもの将来となると、疑問ばかり多くて、答えはほとんど見えないのです。
 リアン・ホリデー・ウィリーさんは立派に自立した方で、ちょっとほかにはいないという方です。心理言語学で博士号を取得し、著書を出し、講演活動もされています。結婚して、お子さんも三人います。そんな彼女のどこがそんなに「ほかにいない」のかというと、ご本人がアスペルガー症候群だという点です。また、お嬢さんのうちの一人が、やはり同じアスペルガーです。
 最初の著書、『アスペルガー的人生』は、アスペルガー症候群をかかえて育つとはどんな体験なのか、ご本人の立場から語ってくれたものでした。リアンさんは本当に文章がお上手で、おかげで私たちも、ASの目を通して世界を見ることができました。混乱、誤解、とまどい。どれも、ASと切っても切れない要素ばかりでした。リアンさんはそんななか、子どもから大人へと成長していったのです。
 その著者が、今度はASの大人としての視点から、二冊目の本を書きました。心ひそかに考えていること、怖れていることなども勇気をもって打ち明けてくれるばかりか、神経系の障害に悩みながら結婚し、子どもを育てるとはどういうことなのか、教えてくれます。読者である私たちは、ASの親が同じASの子どもを育てる大変さも、ニューロティピカル〔定型脳、ありがちな脳の人。NTと略される〕の子どもを育てる難しさもうかがい知ることができます。また、家庭を切り盛りしていくなか、日常的な用事の数々がもとで、しじゅうペースを乱されてしまうリアンさんのようすも説明されています。そして、そんな彼女も、お連れ合いも、子どもたちも、リアンさんとお嬢さんのASを埋め合わせるすべを学んできたさまが描かれています。著者はそのみごとな筆力を駆使し、独特のウイットと知恵もたっぷり加えて、私たちを啓発してくれます——つまり、私たちが彼女の世界を、そして、彼女と同じASの人たちの世界を理解できるよう、導いてくれるのです。
 この物語には、大いに勇気づけられますが、さらに心強いのは、これが実話だということです。わが子が大人になったときのくらしはどうなるのだろうか、また、この子がいつか自立でき、だれかと親密な関係を築けるように備えをするなら、何をしてやればいいのかと考える上で、すばらしいヒントになってくれるからです。リアンさん、お連れ合い、そして子どもたちは、自分たちに合った家庭環境とライフスタイルを、自分たちであみ出しました。それは、私たちが「ふつうの」と考えるようなものでしょうか? でも、いったいだれがそんなことを決められるというのでしょう? 大切なのは、本人たちが満足していること、全員のニーズが満たされていることでしょう。リアンさん一家は家族であり、互いを頼りにしているのです。
 リアンさんはご自分の物語を語ることで、私たちに贈り物をくれました。ASをかかえた人生を生きるとはどういうことなのか、見せてくれたのです。こうして学んだことは、いつか大人になる子どもたちをよりよく育てるために、役立つことでしょう。
 わざわざ名乗りを上げ、体験を打ち明けてくれたリアンさんに、私たちは大いに感謝しなくてはなりません。彼女はもともと、身内だけでひっそりすごしたい人ですから、本当なら、もっと目立たないくらしを選ぶことだってできたのです。でも、お子さんのASの件がありました。どんな親だってそうですが、彼女も、わが子の住む世界をよりよい場所にしたいと願っています。理解が広がれば、よりよい世界になるでしょう。だからリアンさんは、本を書くことで、また、講演などの場に出ることで、私たちがASをよりよく理解できるよう、大きな助けになってくれているのです。

パメラ・B・タンゲイ

著者プロフィール

リアン・ホリデー・ウィリー(ウィリー,リアン・ホリデー)

教育学博士。著作家、研究者として、心理言語学、学習スタイルの違いなどを専門に扱う。よき夫、明るい三人の子どもたち、熱意ある両親に恵まれ、友人たちとも積極的に交際している。末の娘と共に、アスペルガー症候群の当事者である。アスペルガー症候群と共に生きた半生をつづった前著『アスペルガー的人生』(東京書籍)は国内外で広く読まれ、書評でも好評を博した。「アスピィ」をテーマに各地に講演に招かれ、アスペルガーにまつわる諸問題について、熱心に啓発、権利擁護の活動を行っている。

ニキ リンコ(ニキ リンコ)

翻訳家。訳書にソルデン『片づけられない女たち』、ポントン『なぜ10代は危険なことをするのか』(ともにWAVE出版)、ペルザー『許す勇気、生きる力』(青山出版社)、デンテマロ、クランツ『キレないための上手な怒り方』、ギルマン『「これだ!」と思える仕事に出会うには』(ともに花風社)など。

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