発行:明石書店
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A5判 408ページ 上製
定価:4,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2477-7 C0339
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年02月
書店発売日:2007年02月09日
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紹介
本講座の最終巻では,世界の先住民族が抱える問題を,言語,文化,経済,政治,環境などのテーマに分けて紹介する。人口の減少に伴い固有の文化やアイデンティティが変容していく現状を明らかにするとともに,今後の「先住民族」の行く末を探る。
目次
序 文 先住少数民族について
解 説(綾部恒雄)
〈言語〉
1 先住民言語・多様な思考の危機(宮岡伯人)
2 森の人・ムラブリ(坂本比奈子)
〈コスモロジー・精神世界〉
3 ラコタ・コスモロジーと精神世界の現在(阿部珠理)
4 ナバホの精神世界としての大地(加藤 薫)
5 ラフ・被征服民族の宗教史(片岡 樹)
〈経済〉
6 イヌイットの経済(岸上伸啓)
7 イフガオ・生業構造の変化とグローバル化(貝沼恵美)
〈政治・法律〉
8 先住権と権原——先住民族の基本的権利について(スチュアート ヘンリ)
9 先住民運動としての「マウマウ」——英領東アフリカ・ギクユ人社会の政治過程(石井洋子)
10 ヴァヌアツにおける「先住民問題」とその史的背景(白川千尋)
〈ジェンダー〉
11 北タイ山地の女性たち(速水洋子)
12 北米先住民・セックス/ジェンダー/第三の性(阿部珠理)
〈民族芸能〉
13 しなやかな先住民バリ島トゥンガナンの芸能(山本宏子)
14 南インド・ダリットの太鼓芸能——タミルナードゥ州の「タップ」文化(黒川妙子)
15 ナバホの砂絵(加藤 薫)
16 ホピ・ジュエリーの歴史的発展過程とホピによる現在の意味付け(伊藤敦規)
〈儀礼〉
17 タイ・クメール人の儀礼——その特質と衰退について(佐藤康行)
〈都市・人口〉
18 北米先住民と都市(スチュアート ヘンリ、岸上伸啓)
〈環境・観光〉
19 サマ・地域資源の利用と環境問題(赤嶺 淳)
20 観光開発と先住民(石森秀三)
〈教育・医療〉
21 タイ山地民の教育(渋谷 恵)
22 カナダ・デネーの教育(新保 満)
23 マヤの医療(吉田栄人)
〈植民地主義〉
24 大国の先住民と弱小国民との分岐点——ハワイとサモア(山本真鳥)
25 ネイティヴの人類学(桑山敬己)
編者あとがき
監修者あとがき
索 引
監修者・編者・執筆者紹介
前書きなど
序文
二一世紀に入り三年目(執筆時)を迎えている。一九九一年のソ連邦の崩壊により、米ソの冷戦構造は終焉を迎え、折から目覚しい発展を遂げてきたIT(情報技術)の時代が、政治的平和とともに華やかに幕開けしたかにみえた。華やかな期待の多くは、人類が構築してきた科学・技術に対するものであった。宇宙科学、生命科学、ナノ・テクノロジーの驚異的進歩は、ITの発展とともに、人類の古来からの夢の多くを実現させていくかにみえたのである。
しかし他方で、地球の自然、人間の環境は恐るべき勢いで荒廃してきている。空気や水の汚染、地球温暖化による氷河・氷山の溶解と海面水位の上昇、森林の破壊による砂漠化の広がり、エネルギー資源の枯渇、人口の増大と食糧不足、そして貴重な動植物の種の絶滅、狂牛病の発生、HIVやSARSのような新型ウイルスの出現も、人類による自然の秩序破壊と無関係ではないと思われる。
こうした人類文化の変化・発展と地球環境の荒廃の中で、そのマイナス面のしわ寄せを最も苛酷に被っているのが一般的に当該国民国家の中で少数民族と呼ばれている人びと、なかでも先住少数民族と呼ばれる多くの孤立的集団であろう。
先住少数民族が他の少数民族と最も異なっている点は、彼らが自らの自由な意思や合意の確認がないままに当該国家に組み込まれた人びとだということである。したがって、先住少数民族の場合、「民族自決権」が留保されていると考えることができる。先住少数民族に民族自決権が残されているということは、彼らには土地権や資源権も留保されているということであり、極めて重要な属性であるといわねばならない。国家が各自の主権と国境を不可侵のものとし、他方で、多くの国家がいくつかの政治・経済連合へと向かう動きを示しつつある現代世界で、先住少数民族の問題は、基本的人権思想をもちだすまでもなく、人類史に残されてきた深刻な未解決の課題であろう。
本シリーズは、このような二一世紀初頭における先住少数民族の状況を、国連の議決から一〇年を経た今再確認し、より多くの人びとにその情報を届け、少しでも早く、先住少数民族の社会、経済、文化的状況を、彼らの主体性において改善していく上での一助になることを願って企画されたものである。
IT革命、グローバル化が加速度的に進む現在、貴重な文化を育てて来たこれらの人びとの苦難を救っていくことこそ人類の最も緊急な責務ではなかろうか。(序文より抜粋)
著者プロフィール
綾部 恒雄(アヤベ ツネオ)
国連ユネスコ企画専門員、九州大学、筑波大学、京都文教大学教授(副学長)。この間スタンフォード大学、ペンシルベニア大学、マサチューセッツ大学、マッギル大学などの客員教授などを歴任。現在、城西国際大学人文学部客員教授。筑波大学名誉教授。文学博士。
主な単著
『アメリカの秘密結社——西欧的社会集団の生態』中央公論社、1970年
『タイ族——その社会と文化』弘文堂、1971年
『クラブの人類学』アカデミア出版会、1988年
『東南アジアの論理と心性』第一書房、1992年
『現代世界とエスニシティ』弘文堂、1993年 その他
主な編著
『アメリカ民族文化の研究——エスニシティとアイデンティティ』弘文堂、1982年
『文化人類学15の理論』(中公新書)中央公論社、1993年
『カナダ民族文化の研究——多文化主義とエスニシティ』刀水書房、1988年
Nation State, Identity and Religion in Southeast Asia. Singapore Society of Asian Studies, 1998.
『文化人類学のフロンティア』ミネルヴァ書房、2003年
『よくわかる文化人類学』(桑山敬己と共編)ミネルヴァ書房、2006年
『文化人類学20の理論』弘文堂、2006年 その他
主な監修
『図説 世界の先住民族』ジュリアン・バージャー著、明石書店、1995年
『世界民族事典』弘文堂、2000年
『結社の世界史』(全5巻)山川出版社、2005〜2006年 その他
主な翻訳
『通過儀礼』A・ファン・ヘネップ著(綾部裕子と共訳)弘文堂、1977年
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