OECD医療の質指標プロジェクト報告書医療の質国際指標
OECD:編著, 岡本 悦司:訳
発行:明石書店
この版元の本一覧
B5判 176ページ 並製
定価:3,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2473-9(4-7503-2473-6) C0047
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年12月
書店発売日:2006年12月28日
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紹介

全世界において関心が高まる医療の質について,科学的合理性,データの入手可能性,重要性の観点から取りまとめられた国際比較可能な指標を収録。第1次OECD医療の質指標プロジェクト(HCQI)による取り組みの成果。

目次

日本語版刊行によせて
はじめに
概要
第1部 プロジェクトの概要と結果
 プロジェクトの目標
 これまでの経過:プロジェクトの歴史、概念構成そして手法
  プロジェクトの歴史
  医療の質をめぐる概念構成
  プロジェクトの手法
 結果
 本報告書の活用法:データはどのように用いられるべきか?
 今後の方針
  一次指標の国間格差の原因の究明
  一次指標の更新
  追加指標の開発
第2部 データ比較可能性に関する分析
 データ比較可能性に関する分析の要約
  年齢補正における基準人口の選定
  欠損値の扱い
  ワクチン予防可能な疾患の届出
  傷病分類(コーディング)の相違の影響
  個人識別情報の有無の影響
第3部 指標の定義と結果
 データ入手可能性と比較可能性
  1 乳がん5年生存率
  2 マモグラフィー受診率
  3 子宮頸がん5年生存率
  4 子宮頸がん検診受診率
  5 結腸直腸がん5年生存率
  6 ワクチン予防可能な疾患罹患率
  7 2歳児における基本的予防接種率
  8 5−39歳喘息死亡率
  9 心筋梗塞入院後30日以内死亡率/院内死亡率
  10 脳卒中入院後30日以内死亡率/院内死亡率
  11 65歳以上高齢者の大腿骨頸部骨折後手術までの待ち時間
  12 糖尿病患者に対するヘモグロビンA1c検査実施率
  13 糖尿病患者における血糖コントロール不良者の割合
  14 糖尿病患者に対する眼底検査実施率
  15 糖尿病患者における下肢切断率
  16 65歳以上高齢者インフルエンザワクチン接種率
  17 喫煙率
付録 第二段階への候補指標
訳者あとがき

前書きなど

概要
 OECD医療の質プロジェクト(以下、本プロジェクト)は2001年にスタートした。その目標は、一国の医療の質を指標化し、加盟国間の医療の質を比較し、その原因解明と改善のためのさらなる研究を刺激することにあった。指標作りにあたっては、科学的合理性を有すること、医療現場というミクロレベルと一国の医療政策というマクロレベルの双方に重要性を有すること、データが大半の国で入手可能であること、そして国と国とを共通に比較可能であること、を前提とした。もう1つの前提は、本プロジェクトで作る指標は加盟国の「格付け」や「ランク付け」を目的とするものではない、ということである。これら指標の目的は、先に述べたように、なぜ国と国との間に違いがあるのか原因を解明するきっかけを与え、それを基に全加盟国の医療の質を向上させることにある。
 本プロジェクトには2つの先駆者がある。1つはニューヨークのコモンウェルス財団による国際共同研究(5カ国)、もう1つは北欧諸国大臣会議医療の質評価ワーキンググループ(6カ国)であった。それが4年たって、23カ国が参加するプロジェクトに発展した(途中1カ国が抜けて最終的には22カ国になった)。
 本プロジェクトは二段階に分けられる。今回公表されるのはその第一段階にすぎない。第一段階は医療の質と有効性を測定できる重要かつ容易に入手できる17指標から成っている。この17指標のうち、1カ国を除くすべての参加国が5以上の指標データを提供することができ、15カ国は12以上の指標を提供することができた。今後進められる第二段階では、より幅広い医療分野と医療の質を測定できる指標を開発してゆく予定である。
 本報告書の第1部は、本プロジェクトの目的と経緯、そして採択された指標の定義と得られた結果を総括する。
 本報告書の第2部は、2004年12月パリでの専門家会合で提示された医療の質指標に関する5つの課題について、2005年春から夏にかけてプロジェクト事務局が行った詳細分析の結果を要約する。これら5つの課題はデータの国際比較可能性をめぐる以下のようなものであった。

●年齢補正のための基準人口には、どの人口を用いるのが適当か?
●欠損値の扱いをめぐる参加国間の方針の違いは、結果にどのような影響を及ぼすか?
●ワクチンで予防可能な疾患の届出制をめぐる参加国間の方針の違いは、結果にどのような影響を及ぼすか?
●傷病分類のしかた(たとえば喘息)をめぐる参加国間の方針の違いは、結果にどのような影響を及ぼすか?
●死亡率比較において、個人を区別できる個人識別情報を使うか否かは、結果にどのような影響を及ぼすか?

 第3部は、候補にあがった17指標の科学的合理性、重要性、入手可能性そして国際比較可能性について詳細な検討を行う。同時にまた、当初は候補にあがったが第一段階の13指標に採択されなかった4指標についても検討した。すなわち全候補指標について第一段階指標に採択すべきとされたものとそうでないものの両方を扱う。ただし、第一段階に採択されなかったからといって、第二段階指標に採択する可能性を除外するものではない。候補にあがった指標はいずれも科学的合理性は十分であったが、現時点では国際比較に堪えるだけの数の参加国からデータが集まらなかったため、とりあえず第一段階では採択保留とした、という意味である。
 第一段階で採択されたのは以下の13指標である。

●乳がん5年生存率
●5−39歳喘息死亡率
●マモグラフィー受診率
●心筋梗塞入院後30日以内死亡率
●子宮頸がん5年生存率
●脳卒中入院後30日以内死亡率
●子宮頸がん検診受診率
●65歳以上高齢者の大腿骨頸部骨折後手術までの待ち時間
●結腸直腸がん5年生存率
●65歳以上高齢者インフルエンザワクチン接種率
●ワクチン予防可能な疾患罹患率
●喫煙率
●2歳児における基本的予防接種率

著者プロフィール

OECD(オーイーシーディー)

 経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)は、民主主義を原則とする30ヵ国の先進諸国が集まる唯一の国際機関であり、グローバル化の時代にあって経済、社会、環境の諸問題に取り組んでいる。OECDはまた、コーポレート・ガバナンスや情報経済、高齢化等の新しい課題に先頭になって取り組み、各国政府の新たな状況への対応を支援している。OECDは各国政府がこれまでの政策を相互に比較し、共通の課題に対する解決策を模索し、優れた実績を明らかにし国内及び国際政策の調和を実現する場を提供している。
 OECD加盟国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、英国、米国である。欧州委員会もOECDの活動に参加している。
 OECDが収集した統計や、経済、環境、社会の諸問題に関する研究成果は、加盟各国の合意に基づく条約、指標、原則と同様にOECD出版物として広く公開されている。

 本書はOECDの事務総長の責任のもと発行される。本書で表明されている意見や主張は必ずしもOECDまたはその加盟諸国の公式見解を反映するものではない。

岡本 悦司(オカモト エツジ)

1957年 大阪府生まれ。
1983年 近畿大学医学部卒業。
1985年 大阪大学法学部卒業。
1985年 UCLA公衆衛生学部修士課程修了。
現在、国立保健医療科学院経営科学部経営管理室長。専門は、レセプト情報の医療技術評価、医療の質測定への活用。
著書に、『ケアエコノミクス——医療福祉の経済保障』医学書院、2001年。
Public Health of Japan 日本公衆衛生協会、2001年より各年版を刊行。
訳書に、『保険医療の財政と供給——OECD諸国の比較分析』共訳、社会保険研究所、1991年。
論文に、「レセプト傷病分析の原理とシミュレーションによる妥当性の検討」(『日本公衆衛生雑誌』、2003年12月号)。「昭和ヒトケタ男性の寿命——世代生命表による分析」(『厚生の指標』、2006年11月号)。

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