地域社会・自治体は多言語社会をどう迎えるか外国人住民への言語サービス
河原 俊昭:編著, 野山 広:編著
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 272ページ 並製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2463-0 C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2007年01月
書店発売日:2007年01月26日
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紹介

日本で働く外国人,定住する外国人の急増にもかかわらず,彼らへの母語による行政サービスはいまだ十分なものとは言えない。多言語社会を迎える今,「郷に入りては郷に従え」式ではない,外国人住民の立場に立った言語サービスとは何かを問う意欲作。

目次

まえがき(河原俊昭)
発刊に寄せて(野山 広)
第1部 言語サービスとは
 第1章 外国人住民への言語サービスとは(河原俊昭)
  ——外国人住民との共生社会をめざして
第2部 関東・甲信越・東北地方
 第2章 集住地域の言語サービス(野山 広)
  ——群馬県太田市・大泉町の場合
 第3章 共同作業としての言語サービス(猿橋順子)
  ——川崎市の事例から
 コラム 駅における言語サービス(井上恵子)
 第4章 支援基盤と支援者の言語意識の問題について(山川智子)
  ——千葉県の例
 コラム 常総市のブラジル人とレディングの日本人(飯田 毅)
 第5章 長野県における官民協働ネットワーク化の取組み(春原直美・熊谷 晃)
  ——現場ニーズから生まれた言語サービスの展開
 第6章 秋田県における外国人住民へのサポート(藤田美佳)
第3部 北陸・関西地方
 第7章 金沢(石川)の国際交流の歴史と現状(辻 建一)
 第8章 災害時の多言語サービスネットワーク:神戸から(大原始子)
  ——外国人と日本人による構築に向けて
 第9章 多言語コミュニティ放送と災害情報提供(樋口謙一郎)
  ——FMわぃわぃの事例から
 コラム 外国人妻と日本語(近藤 功)
 第10章 京都府精華町における外国人への言語サービス(榎木薗鉄也)
第4部 中国・四国・九州地方
 第11章 言語サービスの充実に向けて(仙田武司)
  ——島根県における外国人支援の取り組みを例に
 第12章 香川県の言語景観(小野原信善)
  ——国際化と言語サービス
 第13章 北九州市の言語教育サービス(仲 潔)
 第14章 宮崎県における国際化と外国語による言語サービスの現状と課題(徳地慎二)

前書きなど

まえがき
 この本のタイトルは、『外国人住民への言語サービス』である。この本はどのような意図から書かれたのか、そして、なぜ現在、このような本が必要であるのか、という点から説明していきたい。
 昔、単一民族・単一言語神話(日本列島に住んでいる住民は日本人だけであり、話されている言語は日本語だけである)が信じられていた時期があった。しかし、近年の外国人の増大という現象を前にして、改めてそんな神話は過去のものであることを再認識したい。
 この本では、日本列島は多民族・多言語社会である事実を出発点とする。そして、とりわけ、多言語社会である点に注目をしていく。多言語社会を我々はどのように迎えるのか。日本語を十分に理解し得ない人々が急速に増加していく事実をどのように受けとめるべきか。このことは我々が取り組まなければならない大きな課題である。
 外国人は急速に増えていくだけではなくて、彼らの定住化が進み、彼らを示すのに「外国人」から「外国人住民」という表現がふさわしくなっていく。彼らは、定住していくなかで、日本語が不自由であるということからさまざまな不利益を被っている。彼らが言語に関することで、不利にならないように、何か支援をしていきたい。その支援の具体的な現れとして、言語サービスが存在するのである。
 言語サービスとは何であろうか。詳しくは、第1章「外国人住民への言語サービスとは」を読んでいただきたいが、簡単に述べると、町の公共の掲示を多言語化する、外国語によるパンフレットを制作する、日本語教育を提供する、母語保持教育に財政支援をする、等々が含まれる。そして、これらの活動にはそれぞれ理念や方法論のしっかりとした裏づけがなければならない。
 このような支援を行うのに最も貢献しているのは、自治体関係者、各種ボランティア、NPO/NGO、公共交通機関で働く人々である。この本では、各地域・地方自治体における取り組みを紹介していきたい。
 この本の執筆者たちは、以上のような問題意識をながらく抱いていたのである。執筆者たちの切り口はさまざまである。ある者は言語景観や防災サービスを調査したり、ある者は日本語教育に焦点をあわせたり、またある者は母語保持教育に関心を示している。それぞれが独自の立場から考察をしているのである。いろいろな視点から考察が行われているので、外国人住民への言語サービスに関しては、かなりの部分が網羅されていると自負している。読者の方が、この本を読まれて、外国人住民への言語サービスの必要性を深く理解してもらえばと強く願う次第である。

河原俊昭

著者プロフィール

河原 俊昭(カワハラ トシアキ)

 京都光華女子大学教授。東京大学文学部卒業、金沢大学教育学部修士課程修了、金沢大学社会環境科学研究科博士課程修了、博士(社会環境科学)。専門は言語政策、社会言語学。編著書に『世界の言語政策──多言語社会と日本』(くろしお出版)、『自治体の言語サービス──多言語社会への扉をひらく』(春風社)、『多言語社会がやってきた──世界の言語政策Q&A』(共著、くろしお出版)などがある。

野山 広(ノヤマ ヒロシ)

 国立国語研究所日本語教育基盤情報センター整備普及グループ長。早稲田大学大学院及び豪州・モナシュ(Monash)大学大学院修了。国内外の日本語教育機関の講師や、文化庁文化部国語課の専門職(日本語教育調査官)を経て、国立国語研究所に出向・異動。主任研究員、第二領域長を経て本年度から現職。文化庁時代は、担当調査官として、地域の日本語教育活動や支援活動の充実に関するさまざまな事業に携わった。専門は、多文化・異文化間教育、日本語・国語教育、社会言語学、言語計画・政策研究等。共編著に『現代のエスプリ 432 マルチカルチュラリズム──日本語支援コーディネータの展開』(至文堂)ほか。

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