憲法九条は仏の願い
念仏者九条の会:編
発行:明石書店
この版元の本一覧
A5判 160ページ 並製
定価:1,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2456-2(4-7503-2456-6) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年11月
書店発売日:2006年11月28日
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紹介

「すべての者は暴力におびえ,すべての者は死をおそれる。己が身にひきくらべて,殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ」(仏陀)。憲法改悪策動が進められる中,平和憲法の意義を説き改悪に反対する,「念仏者九条の会」12人の論者による,痛切な緊急アピール。

目次

序 言[信楽峻麿]
第一章 仏教と憲法九条(講演要旨)[信楽峻麿]
第二章 憲法の理想は仏の願い[青木敬介]
第三章 念仏者の反戦[菱木政晴]
第四章 日本国憲法・第九条「改正」について[源 淳子]
第五章 軍隊を持ってはいけない10の理由[池戸尚人]
第六章 学徒傷病兵の澄んだ瞳[金谷經生]
第七章 私の戦争体験とその検証[尺一顕正]
第八章 ハンセン病と戦争[棚原正智]
第九章 世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ——慚愧をもって語れ[江見尋真]
第一〇章 殺さしむことなかれ[羽溪 了]
第一一章 侵略的主体の解体にむけて——暁烏敏の場合[神戸 修]
終 章 念仏者九条の会の視座——非戦の伝統に、今、参画するために[小武正教]
資 料 日本国憲法と自民党新憲法草案(主要部分の抜粋比較)

前書きなど

序言
 今日の日本の外交路線は、明らかに世界を視野に入れた、アメリカの軍事戦略に完全に取り込まれている。日本の現政府の、憲法第九条を改定して、日本を戦争のできる国に変更しようという意図は、まさしくそのような政治動向の中で画策されているものにほかならない。かつてアジア太平洋戦争の戦前、戦中、戦後を生きてきた私にとっては、日本が再び危険な道を歩み始めてきたと、直感的に思わずにはおれない。膨大な犠牲と引きかえに新しく創設された平和憲法を、むなしく放棄、改悪して、再び軍隊を復活するという行為は、まことに愚かというほかはない。
 日本は何よりも独自の外交路線を構築しつつ、まず、東アジアにおいて各国との国際的交流を最優先とし、それをいっそう強力に推し進めるべきである。そして、やがてはヨーロッパ連合に対応して、広くアジア連合の形成をめざして進むことが肝要である。それには数多くの障害を伴うであろうが、日本の明るい未来は、この方向を除いては存在しえないと思うことである。
 かつて東アジアにもっとも長く平和が続いたのは、中国の唐の時代、日本の飛鳥・奈良時代から平安時代の中期まで、七世紀から一〇世紀の間であった。その時代は、日本、中国、朝鮮が、ともに唐朝に真似て律令体制をとり、思想的には仏教を中核として、それぞれ文化的価値観を共有していたわけで、それに基づいて、東アジアに深い人的交流が生まれ、平和が形成、維持されていったのである。これからの東アジアもまた、現在では国によってその政治体制を異にしているとしても、やがては共通して民主主義体制に移行していくであろう。思想的には同じ東洋の思想として、中国、韓国・朝鮮は儒教を基盤としており、日本や南アジア各国には仏教が伝統として根づいている。
 儒教、孔子の教言によれば、そこには「和」「仁」「恕」などという人間関係を深く連帯せしめる思想・論理があり、また仏教、釈尊の教言にも、「不殺」「不怨」「慈悲」などという思想・論理が豊かに語られている。ほかにもキリスト教、イスラーム教、ヒンドゥ教、ジャイナ教などの諸宗教が存在するとしても、このような儒教、仏教の思想に対立するものではなかろう。ともあれ、これら東洋の思想は、もともと農耕民族による大地に根ざした一元論を特色とするものであり、アジアの民衆は、その文化的な基盤と長い歴史の歩みを思うならば、多くの困難を伴うとしても、必ずや将来において、アジア連合という新しい共同体をよく形成しうる可能性を秘めていると思われる。
 今の日本は、軍隊を持たず、いっさいの交戦権を否定したところの、世界的にも希有なる平和憲法を持っているがゆえに、この崇高な理念を高く揚げて、まずそのような東アジア共同体の形成をめざして、もっとも強力に先導していくべきであろう。これは、かつての悲惨なアジア太平洋戦争の戦火をくぐってきた私の、日本とアジアの将来にかける熱い夢であり、心からの願いでもある。

念仏者九条の会・世話人代表
信楽峻麿(しがらき・たかまろ)

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著者プロフィール

念仏者九条の会(ネンブツシャキュウジョウノカイ)

念仏者九条の会では賛同人を募集しています。
連絡先:念仏者九条の会・事務局
〒728-0003 広島県三次市東河内町237 西善寺内
TEL/FAX 0824-63-8042 odake@orange.ocn.ne.jp
ホームページ http://www18.ocn.ne.jp/~hongan9/MyPage/
〈執筆者〉
信楽峻麿(しがらきたかまろ)1926年広島県生まれ。龍谷大学元学長。広島県東広島市教円寺住職。著書に『教行証文類講義』全九巻、『宗教と現代社会』他。
青木敬介(あおきけいすけ)1932年兵庫県生まれ。浄土真宗西念寺前住職。「播磨灘を守る会」代表。著書に詩集『海底燐光』、随筆集『大痴魚記』、論集『穢土とこころ−環境破壊の地獄から浄土へ』他。
菱木政晴(ひしきまさはる)1950年金沢市生まれ。京都西山短期大学教授、真宗大谷派僧侶。著書に『浄土真宗の戦争責任』『解放の宗教へ』『非戦と仏教』他。
源 淳子(みなもとじゅんこ)1947年生まれ。関西大学人権問題研究室委託研究員。著書に『仏教と性』『「女人禁制」Q&A』他。「大峰山女人禁制」の解放を求める会(http://www.on-kaiho.com/)共同代表。
池戸尚人(いけどなおと)1961年生まれ。真宗大谷派門徒。「憲法九条を守る一宮市民の会・尾西(びさい)」呼びかけ人。(不定期)個人聞法紙『溜息通信』発行人。
金谷經生(かなやつねお)1920年生まれ。大分県豊後高田市在住。学習塾アソカ・セミナー講師。
尺一顕正(さかくにけんしょう)1929年生まれ。兵庫県在住。浄土真宗本願寺派西楽寺住職。元はりま靖国公式参拝違憲訴訟原告。「たつの九条の会」呼びかけ人。
棚原正智(たなはらしょうち)1961年生まれ。兵庫県姫路市在住。浄土真宗本願寺派僧侶。
江見尋真(えみじんしん)1935年生まれ。浄土真宗本願寺派山口教区都濃西組前住職。
羽溪 了(はたにさとる)1960年生まれ。福井教区若狭組明応寺住職。日本画家・日展会友。神戸女子大学助教授。著書に『子らに育てられ』、絵本・絵『雨上がりのベンチ』、童話・挿絵『サギソウのような女の子』他。
神戸 修(こうべおさむ)1960年大阪生まれ。浄土真宗本願寺派布教使。同派同和教育振興会研究部会員。大阪芸術大学短期大学部講師。
小武正教(おだけしょうきょう)1957年生まれ。広島県三次市在住。浄土真宗本願寺派西善寺住職。「念仏者九条の会」事務局長。

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