日本軍「慰安婦」関係資料集成
鈴木 裕子:編, 山下 英愛:編, 外村 大:編
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 1666ページ 上製/函入
定価:35,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2434-0 (4-7503-2434-5) C0021
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年12月 書店発売日:2006年12月01日
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紹介

植民地下の朝鮮で「慰安婦」はどのように集められたのか。国際連盟からも注視され日本が関与を疑われていた婦女売買や背景に存在した公娼制度の実態,さらに戦時下の女性動員の動向を示す資料を韓国・日本で度重なる収集を行い,編集した総合資料集。【上下二分冊:分売不可】

目次

〈上巻〉
第1編 日本軍「慰安婦」・労務「慰安婦」関係資料(鈴木裕子)
 第一章 前 史
 第二章 慰安所政策導入期(一九三一〜一九三六年)
 第三章 慰安所政策展開期(一九三七〜一九四一年)
 第四章 慰安所政策拡大期(一九四二〜一九四七年)
 第五章 「労務慰安婦」関係資料
第2編 朝鮮公娼制度(山下英愛)
 第一章 朝鮮における公娼制度
 第二章 周辺地域の売春取締り
〈下巻〉
第3編 東洋婦人児童売買実地調査団と国際連盟における婦人児童売買問題(鈴木裕子)
 第一章 東洋婦人児童売買実地調査団と日本
 第二章 国際連盟における婦人児童売買問題
 第三章 国際連盟東洋婦人児童売買調査委員会報告書概要
第4編 植民地朝鮮における女性と戦時動員(鈴木裕子)
 第一章 戦時動員と婦人啓発運動
 第二章 戦時女性動員と女性教化運動
第5編 戦時女性労務動員と女子勤労挺身隊(外村 大)
 第一章 女性労務動員への強化宣伝
 第二章 戦時女性労務動員と女子勤労挺身隊
解説編
第1編 日本軍「慰安婦」・労務「慰安婦」関係資料(鈴木裕子)
    ——「天皇の軍隊」の軍紀風紀と「慰安所」政策・戦時暴力を主に
第2編 朝鮮における公娼制度の実施とその展開(山下英愛)
第3編 東洋婦人児童売買実地調査団と国際連盟における婦人売買問題(鈴木裕子)
    ——「婦女禁売」問題と日本政府の対応を中心に
第4編 植民地朝鮮における女性と戦時動員(鈴木裕子)
    ——朝鮮女性に対する「皇民化」政策と在朝日本女性の加担を主に
第5編 戦時下朝鮮人女子労務動員の実態(外村 大)

前書きなど

あとがき
 いわゆる日本軍「慰安婦」問題は、性差別・階級差別・民族差別を根底にした、女性への暴力への極致と位置づけられる問題です。加えて日本軍「慰安所」政策は、日本軍みずから企画・導入・展開し、日本政府機関が直接、関与した国家犯罪です。上記の事実は、この資料集成をご覧いただければ容易に理解していただけるでしょう。
 「慰安婦」問題は、奥の深い問題としてわたくしたちの前にあります。
 「東洋婦人児童売買実地調査団と国際連盟における婦人児童売買問題」から窺われるように、日本政府は「婦人児童売買禁止」の国際条約(いわゆる「婦女禁売」条約)を熟知しながら実際は日本の「公娼制度」(貸座敷制度)は、「娼妓」の「自由意思」に基づくもので何ら問題はないと開き直っています。この基本姿勢を受けて、国際連盟において外務・内務当局は、隠蔽・歪曲工作にふけり、時として矮小化すべく図っています。とはいえ、のちに「慰安所政策」が導入・展開されることにともない、この「婦女禁売」条約の存在を外務・内務当局はもとより軍当局さえ意識せざるを得ませんでした。
 「植民地朝鮮における女性と戦時動員」では、まず朝鮮女性の「皇民化」に狙いを定め、そのうえで侵略戦争への「動員」「戦力化」を図ったことが読み取れます。(中略)
 なお、最初は閲覧可能であった公文書が、校正時においては、たとえば「防犯資料」(本書所収)のようにまるごと袋綴じになったりして、事実上、閲覧禁止処分に付せられているものも少なくありません。この機に際し、わたくしは日本政府に対し、関係諸機関が所蔵する歴史資料の公開を強く求めたいと思います。
 この「資料集成」〈上下〉が、いまだに未解決のままおかれている、いわゆる「慰安婦」問題、女子勤労挺身隊、および「強制連行・強制労働」問題の解決促進に少しでも寄与・貢献できることを願っています。(抜粋)

著者プロフィール

鈴木 裕子(スズキ ユウコ)

1949年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程日本史学専攻修了。
主な単著に『広島県女性運動史』(ドメス出版、1985年)、『フェミニズムと戦争』(マルジュ社、1986年、増補新版1997年)、『水平線をめざす女たち』(ドメス出版、1987年、増補新版2002年)、『昭和の女性史』(岩波ブックレット、1989年)、『女性史を拓く』(1〜4)(未来社、1989〜1996年)、『朝鮮人従軍慰安婦』(岩波ブックレット、1991年)、『女工と労働争議』『女性と労働組合(上)』(れんが書房新社、1989、1991年)、『従軍慰安婦・内鮮結婚』『「従軍慰安婦」問題と性暴力』『女たちの戦後労働運動史』(未来社、1992、93、94年)、『フェミニズムと朝鮮』(明石書店、1994年)、『戦争責任とジェンダー』(未来社、1997年)、『天皇制・「慰安婦」・フェミニズム』(インパクト出版会、2002年)、『自由に考え、自由に学ぶ〜山川菊栄の生涯』(労働大学、2006年)
主要編著に『山川菊栄集』全11巻(岩波書店、1981〜82年)、『堺利彦女性論集』(三一書房、1983年)、『山川菊栄女性解放論集』全3巻(岩波書店、1984年)、『湘煙選集』1・2・4巻(不二出版、1985〜86年)、『資料 平民社の女たち』(不二出版、1986年)、『女・天皇制・戦争』『おんな・核・エコロジー』(近藤和子と共編。オリジン出版センター、1989、1991年)、『山川菊栄評論集』(岩波書店、1990年)、『女性 反逆と革命と抵抗と』(社会評論社、1990年)、『日本女性運動資料集成』全11巻(不二出版、1993〜1998年)、『平和を希求して—「慰安婦」被害者の尊厳回復へのあゆみ』尹貞玉著、鈴木裕子編〈解説〉(白澤社、2003年)、『ジェンダーの視点からみる日韓近現代史』(編集責任。梨の木舎、2005年)、『金子文子 わたしはわたし自身を生きる』(梨の木舎、2006年)

上記内容は本書刊行時のものです。

山下 英愛(ヤマシタ ヨンエ)

1959年生まれ。津田塾大学国際関係学研究科、梨花女子大学女性学研究科(韓国)で学ぶ。専門分野は韓国女性学。論文に「日本軍による性的暴力の諸相とその特徴」(『アジア・太平洋戦争5』岩波書店、2006年)、「韓国における女性法曹養成教育の歴史と現状」(『青丘学術論集』第25号、2005年)、訳書に、韓国女性ホットライン連合編『韓国女性人権運動史』(明石書店、2004年)、権仁淑『韓国の軍事文化とジェンダー』(御茶の水書房、2006年11月)など。現在、立命館大学非常勤講師。

上記内容は本書刊行時のものです。

外村 大(トノムラ マサル)

1966年生まれ。早稲田大学オープン教育センター非常勤講師。朝鮮近現代史専攻。著書に、『在日朝鮮人社会の歴史学的研究—形成・構造・変容—』(緑蔭書房、2004年)、論文に、「日本史・朝鮮史研究と在日朝鮮人史研究—国史からの排除をめぐって」(宮嶋博史・金容徳編『近代交流史と相互認識—1945年を前後して』慶応義塾大学出版会、2006年7月)、「帝都東京の在日朝鮮人と被差別部落民」(『部落解放研究』第171号、2005年8月)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。
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