
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 296ページ 並製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2282-7 (4-7503-2282-2) C0036
品切・重版未定
奥付の初版発行年月:2006年03月 書店発売日:2006年03月23日
あらかじめご了承下さい。
紹介
性に関する従来の枠組みに対し,セクシュアルマイノリティの当事者が,その現実と多様な性のあり方,社会への展望を語った旧版の改訂増補版。レズビアンの項を追加し,ガイドライン第3版や特例法,海外事例など最新情報も網羅し,平易に説明した格好の入門書。
目次
はじめに
序章
第一部 生物の多様な性とインターセックス
第1章 生物の多様な性
1 はじめに
2 メス・オスの定義
3 性決定はメス・オスだけでない
4 性転換をする生物
5 同性間にもある性行動
6 多様な性とともに生きるために
第2章 インターセックスと呼ばれる人々
1 戸籍性別の決定と半陰陽という例外
2 性分化の成り立ち
3 インターセックスとはどんな人々か
4 肉体的な特徴から見て性別のあいまいな人々
5 インターセックスの遺伝子を持つ人々
6 インターセックスは病気か?
第3章 インターセックスの人々をとりまく問題
1 医師たちの苦悩──医療現場がなしてきたこと
2 親たちの苦悩
3 当事者たちの苦悩
4 社会制度の問題点
5 現代医療の進展とともに発生してきた問題
6 これからの社会に望まれること
第二部 心の性と性同一性障害
第1章 心の性
1 セックスとジェンダー
2 心の性(性自認)
3 多様な性のなかでのトランスジェンダー
4 トランスジェンダーも多様
5 性のゆらぎ
コラム タイのトランスジェンダー
第2章 性同一性障害とは何か
1 性同一性障害とは何か
2 GIDの診断と治療
第3章 GIDの人たちをとりまく環境
1 GID当事者のおかれた状況
2 GID当事者が生きやすい社会をつくっていくために
第4章 GIDをめぐる法的諸問題
1 書類上の性別記載をめぐって
2 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」について
コラム 戸籍の性別変更ができれば問題は解決されるのか
第5章 性別二元制を超えて
1 トランスジェンダーをめぐるさまざまな考え方
2 「らしさ」からはずれることの困難
3 性別二元制を超えて
第三部 同性愛と性的指向
第1章 同性愛と性的指向
1 同性愛と性的指向
2 性的指向とはどのようなものか
3 同性愛者は人口の何%存在するのか?
4 ゲイとレズビアン
5 レズビアンとは何か
第2章 同性愛をめぐる様々な視点
1 同性愛は病気か?
2 同性愛の原因
3 同性愛は罪でしょうか?
コラム オスカー・ワイルド
第3章 同性愛嫌悪と差別
1 同性愛嫌悪とは
2 内面化された同性愛嫌悪
3 同性愛者はどこにいる?
4 性的指向はプライバシーか?
5 相談コーナー
6 カミングアウト体験記
7 差別はどのようにして顕在化するのか
コラム 「オカマ」は差別か
オカマの語源
第4章 同性愛者の未来
1 “パレード”“ドラァグ”“レインボー・フラッグ”
コラム 実行委員長おかべよしひろが語るパレード
2 同性愛者が求める法的権利
3 多様なライフスタイルをめざして
第5章 HIV感染症の予防
1 エイズをとりまく現在
2 減らない新規患者・感染者
3 どうすれば感染しないのか
4 患者・感染者が暮らしやすい社会を
5 自分の健康を守る
コラム 長谷川博史さんにきく——エイズと共に暮らす社会
おわりに 多様な性が認められる社会
基本用語集
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
執筆者が薦める図書のリスト
セクシュアルマイノリティ教職員ネットワークのメンバーが執筆した本
セクシュアルマイノリティ団体の紹介
セクシュアルマイノリティ教職員ネットワークについて
前書きなど
はじめに
『セクシュアルマイノリティ』は性教育、人権教育の一環としてのセクシュアルマイノリティ教育にふさわしいテキストとして編集されました。インターセックス、トランスジェンダー、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルなどのセクシュアルマイノリティ(性的少数者)と呼ばれる人たちが抱えているさまざまな問題を網羅的に解説したテキストはこれまでありませんでした。教育関係者のみなさんには、ぜひこのテキストを使ってセクシュアルマイノリティ教育をすすめていっていただきたいと思います。
これまで性的少数者が抱える問題が人権問題として認識されることはありませんでした。しかし、ごく最近になって人権問題としての理解がようやくひろまりつつあります。性的少数者が悩む社会的な差別や偏見を取り除き、その意識を変革していくねばりづよい努力はまず教育を通じてなされねばならないと思います。その努力の一助に本書がなれば幸いです。
本書の最大の特徴は、執筆者全員がセクシュアルマイノリティの当事者であるという点です。時として、書き手の実体験が顔を出すこともあります。高校生から一般の初学者にわかりやすいようなるだけ平易で明快に記述するよう心がけました。
人間の性が多様であるように、性をめぐる問題もさまざまに異なった見解や立場があり、時としてそれは激しい論争を巻き起こすこともあります。執筆者たちはセクシュアルマイノリティの代表者のような顔をして語るつもりはありません。できる限りいろんな見解を盛り込もうと努力しました。しかしそれは執筆者各人に何の立場や主張もないことを意味するものではありません。また本書の記述はセクシュアルマイノリティ教職員ネットワークの団体としての統一した見解ではありません。同じ問題であっても立場が異なればその視点は自ずと異なることもあり、あえて執筆者同士で考え方をすりあわせて一つの見解にまとめるということをしていません。ですから、内容や文章上の最終的な責任は各原稿の執筆者にあります。
わたしたち執筆者一同は、次の世代を担う若い人たちが本書を手にとることで、セクシュアルマイノリティがどのような人たちであるかをよく理解してほしいと思います。そうすることで、差別や偏見のない、多様な性を認め合うことのできる社会が築かれることを期待しています。
第2版のために
本書は2003年の出版以来好評をもって迎えられ、このたび、改訂第2版を出す運びとなりました。読者の皆様には心より感謝いたします。第2版への変更点は、第2部で「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」の成立と施行に対応して法律関係の記述を刷新したことと、「治療と診断のガイドライン」第3版に応じて記述を改めたことです。また第3部では、当会のロニー・アレキサンダーを新たにレズビアンの執筆者として迎え、レズビアンに関する記述を加えたことなどです。それでも同性愛の章は大部分が主に男性執筆者によって書かれており、アレキサンダーの指摘を待つまでもなく完全に男/女対等の視点で記述されているとはいえず、これは今後に課題を残したといえます。また長谷川博史さんにエイズ啓発の話を聞いたり、他にもいくつかコラムを加えて、おもしろい読み物としていっそうのパワーアップをはかりました。今後ともセクシュアルマイノリティ研修・教育の手引きとしてご活用ください。
セクシュアルマイノリティ教職員
ネットワーク(STN21)代表
高取 昌二
関連リンク
著者プロフィール
セクシュアルマイノリティ教職員ネットワーク(セクシュアルマイノリティキョウショクインネットワーク)
京都の府立高校教員である高取昌二の呼びかけにより、セクシュアルマイノリティ当事者の教職員を中心として2001年1月に結成されました。その目的は、セクシュアルマイノリティ当事者の教職員が相互につながりを持つことで、現場でのさまざまな実践や情報を共有しあうというものです。会員は、教育に携わる関係者、学生、有志ら50名以上で構成され、活動は年2回の学習会、ニュースレターの発行、メーリングリストを通じた情報の交換が中心です。
連絡先
高取 昌二
〒611-0002 京都府宇治市木幡御蔵山39-853
TEL./FAX. 0774-32-0763
E-mail : stn21@nifty.com
http://homepage3.nifty.com/stn/
ロニー・アレキサンダー(アレキサンダー,ロニー)
1956年生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科教授(平和研究・国際関係論)。イエール大学(77年・心理学)卒業直後、北米YMCA同盟に奉職し日本へ派遣される。広島YMCAに82年まで勤務。国際基督教大学大学院(行政学修士)、上智大学大学院(文学博士)。89年に神戸大学法学部助手、90年に同助教授。93年から現職。研究テーマは、広い意味での「内発的安全」、平和とジェンダー、セクシュアリティ、太平洋島嶼国の安全など。平和運動・社会運動にも幅広く参加する。
上記内容は本書刊行時のものです。池田 久美子(イケダ クミコ)
1964年、大阪府生まれ。大阪府立大学総合科学部卒。90年より大阪府内の私立女子高校の生物教諭。97年に同性愛者であることを表明して以来、人権教育・性教育の視点で活動している。99年に『先生のレズビアン宣言』(かもがわ出版)を出版。
上記内容は本書刊行時のものです。おかべ よしひろ(オカベ ヨシヒロ)
1963年、大阪市生まれ。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。大阪府立高校教員、出版社勤務等を経て現在東京都立高校教員。HIV/AIDSの啓発イベントであるVOICE(ぷれいす東京主催)には初回から関わり、東京レズビアン&ゲイパレード2005では実行委員長をつとめるなど、コミュニティ内で多様に活動している。
上記内容は本書刊行時のものです。木村 一紀(キムラ カズノリ)
1962年、京都市生まれ。同志社大学大学院文学研究科英文学専攻修了。京都府立定時制高校教諭を5年、短大非常勤講師1年、宮崎県の私立大学専任講師を8年、塾、予備校非常勤講師(いずれも英語担当)を2年勤めた後、現在ニューヨーク州立大学バッファロー校大学院在学。専門は英語学、日本語学、言語学。ハンドルネームは「豊作」。
上記内容は本書刊行時のものです。黒岩 龍太郎(クロイワ リュウタロウ)
1957年生まれ。山口県出身。アテネ・フランセ フランス語本科中退。93年より経営・経済関係の文筆業(専門はフィランソロピー)。元トランス・サポート・グループ(TSG)FTM代表。都蘭西[とらんす]亭(自助グループ)・亭主。
上記内容は本書刊行時のものです。高取 昌二(タカトリ ショウジ)
1962年生まれ。京都府出身。大阪大学文学部文学科国文学専攻卒業。85年より京都府立高校教員(担当国語)。94年より、ゲイ・フロント関西およびHIVと人権・情報センターで活動。97年に職場で、1999年には生徒に対してもカミングアウト。『同性愛者として coming out の軌跡』(きょうと教組)を2000年に出版。01年、セクシュアルマイノリティ教職員ネットワークを設立、代表を務める。
上記内容は本書刊行時のものです。土肥 いつき(ドヒ イツキ)
1962年生まれ。京都府出身。同志社大学工学部卒。85年より京都府立高校教員(担当数学)。2004年、「いつき」に改名。現在は、「不完全フルタイムトランスジェンダー」として、日常生活を送っている。『部落解放』2002年5月号の座談会にトランスジェンダーとして参加。2003年『トランスジェンダリズム宣言』(社会批評社)に執筆者として参加。2004年『性同一性障害 30人のカミングアウト』(双葉社)、『婦人公論』2005年7月7日号などでとりあげられた。京都のミックス系グループ「玖伊屋(くいや)」スタッフ。全国在日外国人教育研究協議会事務局員。
上記内容は本書刊行時のものです。宮崎 留美子(ミヤザキ ルミコ)
九州男児とされる熊本の生まれ。戸籍の性である「男らしさ」になじめず、また、思春期のころには、自分の性別に違和感を感じ始めた。親元から離れ、北海道大学(農学部・農業経済)に入学。学業のかたわら、歓楽街であるすすきのでニューハーフとしてのアルバイトをする。接客業が自分に合わないと感じ東京都立高校教員(担当公民)になる。自分の性のありようはずっと隠し続けてきた。98年に埼玉医大で性別適合手術が行われたのを機に生徒にカミングアウト。2000年末には、『私はトランスジェンダー』(ねおらいふ)という本を出版する。
上記内容は本書刊行時のものです。コメントとトラックバック »
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