カンボジア 王の年代記
坂本 恭章:訳, 上田 広美:編
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 608ページ 上製
定価:15,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2270-4 (4-7503-2270-9) C0022
在庫あり
奥付の初版発行年月:2006年02月 書店発売日:2006年02月13日
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紹介

18世紀以降王の命により編纂されてきた年代記は建国神話に始まり,アンコール王朝がシャムとベトナムの間で翻弄される歴史が綴られる。これを全訳し詳細な訳注,人名辞典,事項辞典,系図を付加した。カンボジア史を研究する上で重要かつ有用な資料である。

目次

 まえがき
 はじめに
 凡 例
 注意 年の数え方について
王の年代記
 第一部
 第二部
 注
人名辞典
 1(第一部と第二部の07203まで)
 2(第二部の07204以降)
付 録
 1 本文中に使用されているクメール語の解説
 2 訳語の原語リスト
 3 付録2の原語からのリスト
系 図
 1(第一部と第二部の07203まで)
 2(第二部の07204以降)

前書きなど

まえがき
 『カンボジア 王の年代記』は、18世紀以降、数代の王の命によって編纂されたもので、数多くのテキストがあり、建国神話に始まり19世紀に至るまでのカンボジア史を記述している。
 この『王の年代記』は、カンボジア史、特にポスト・アンコール期を研究する上で重要な資料であるが、40種類以上が確認されているテキストのうちカンボジア国内に保存されていた写本の多くは、1970年以降20年以上にわたって続いた内戦期に所在不明となった。国外では主にフランスでテキストが保存されている。ポスト・アンコール期の研究は、海外資料や碑文を除くと、利用可能な資料が少ないことが障害となっており、研究者の数も少ない。この『王の年代記』は、後代に編纂されたものであることを考慮して扱わなくてはならない資料であるとはいえ、近年の研究で批判の多い「フランス植民地期に構築されたカンボジア史」以前の国内資料として貴重であることにかわりはない(詳しくは、北川香子「カンボジア年代記」池端雪浦他編、早瀬晋三・桃木至朗編集協力『岩波講座東南アジア史〈別巻〉東南アジア史研究案内』岩波書店、2003年を参照)。
 本書は、この『王の年代記』のテキストのうち、1878年にnava rataneyya王子によって編纂されたnava rataneyya本の、バンコクにあるタイ国立図書館所蔵の写本を全訳した後、訳者によって、詳細な訳注、人名辞典、事項辞典、及び系図を作成し、付加したものである。
 本書の原本は、nava rataneyya王子が、過去の年代記に対し、神話部分及び各事項の細部を加筆することによって、神話時代と歴史の双方をおさめた完全な年代記を編纂しようとしたものである。テキストは、建国神話に始まり、アンコール王朝がシャムに滅ぼされ、その後シャムとベトナムの間で翻弄される歴史を述べている。
 原書は手書き写本であり、文字そのものが判読しがたい上に正書法も不統一で、カンボジア人を含む大多数の研究者にとって、利用しやすい資料であるとは言いがたい。本書は、先に訳者の手でテキストと共に刊行した『カンボジア年代記KWIC索引』(坂本恭章編、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、1995年)も参照しながら、あくまでも原文に忠実な翻訳を行った後、訳注、本文をもとに作成した人名辞典、事項辞典(日本語からと原語からの双方)、系図を用意することにより、本書を資料としたカンボジア研究が可能となるようにしたものである。本書の価値は第一に正確な翻訳にあるが、カンボジア国内にもカンボジアに関する事典が存在しない現状では、本書の翻訳文以外の部分によって、たとえば、訳注から、クメールの暦について、国名「カンボジア」の語源について知ることができ、人名辞典から、カンボジアでは広く知られた物語で映画の題材にもされている「マクワウリ王(Taa trasak ph?aem)」についての伝承を検索することができるなど、本書はカンボジアに関する有用な資料を、歴史研究者に対してのみならず、広く一般に提供することとなった。
 本書は、独立行政法人日本学術振興会の平成17年度科学研究補助金(研究成果公開促進費:学術図書課題番号175083)の助成を得て出版に至った。出版を可能にしてくださった同会、翻訳と出版をお許しくださったタイ国立図書館、同館との連絡調整を引き受けてくださったタイ国立カセサート大学人文学部外国語学科助教授ソイスダー・ナラノーン先生、常に有益な助言をくださった東京外国語大学の岡田知子先生に心より感謝申し上げる。

2006年1月
編 者

著者プロフィール

坂本 恭章(サカモト ヤスユキ)

1935年、台北市生まれ。東京大学文学部言語学科卒業。東京外国語大学名誉教授。元共立女子短期大学教授。
専攻:言語学(モン・クメール語族)
【主要著書】
『カンボジア語入門』(大学書林、1989年)、『タイ語入門』(大学書林、1989年)、『カンボジア語辞典』(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2001年)など。
【主要論文】
“a et a de khmer ancien”(『アジア・アフリカ言語文化研究』第7号、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、1974年)、“e de khmer ancien”(『アジア・アフリカ言語文化研究』第3号、1970年)、“sur quelques voyelles de khmer ancien”(『アジア・アフリカ言語文化研究』第4号、1971年)、“The sources of Khmer /me/,” Mon-Khmer Studies VI, Hawaii University Press, 1971.、“i,i,ya,y a de khmer ancien”(『東南アジア研究』7巻4号、京都大学東南アジア研究センター、1970年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

上田 広美(ウエダ ヒロミ)

1966年、静岡県生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士前期課程修了。東京外国語大学助教授。
専攻:言語学(カンボジア語)
【主要著書】
『CDエクスプレスカンボジア語』(白水社、2002年)、『東南アジア大陸部諸言語に関する調査研究』(編著、大阪学院大学情報学部「環太平洋の言語」成果報告書『文部科学省特定領域研究環太平洋の「消滅に瀕した言語」にかんする緊急調査研究』2003年)
【主要論文】
「現代クメール語の『行く・来る』」(『東南アジア大陸部諸言語の「行く・来る」』、慶應義塾大学言語文化研究所、2003年)、「クメール語の随意動詞の連続構造」(『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』第33号、慶應義塾大学言語文化研究所、2001年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。
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