
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 192ページ 並製
定価:1,900円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2191-2 (4-7503-2191-5) C0037
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年11月 書店発売日:2005年11月02日
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自閉症・アスペルガー症候群のある子どもに対する教育と介入方法はどうすれば意味あるものにできるのか。学校選びから卒業後の進路指導まで,イギリスでの事例を中心として具体的に紹介する。
目次
第1章 自閉症スペクトラムと教育へのかかわり
第2章 評定と診断
第3章 学校選び
第4章 教育介入法
第5章 教育方法と行動マネージメントを計画するためのアセスメント
第6章 おとなと子どもからの支援
第7章 卒業後の人生
[補遺]自閉症スペクトラムの子どもの学校選びを追跡するための書式
参考文献
監修者あとがき
索 引
前書きなど
監修者あとがき
本書の大きな特徴として、次の3点を挙げたい。第一に、今までの研究の蓄積をバランスよく紹介していることである。本書はイギリスで出版されたものであるが、日本の武蔵野東学園で行われている生活療法からアメリカ合衆国ノースカロライナ州で行われているTEACCHプログラム、そしてイギリスでの地域に根ざした取り組みまで網羅している。
第二に、子どもたちへの支援を学齢期だけではなく、一生涯というスパンで考えることの重要性を示している。学校にいる期間は、卒業後の時間に比べるととても短い期間である。その短い期間になすべきことはたくさんあるが、その間に全てを完成させることはできない。学校では、学校卒業後の人生を有意義に送るための基礎作りが行われなければならない。それは、子ども自身が習得するべきことだけではなく、子どもと共に生活していく大人たちが身に付けていくことが望まれる知識や技術や考え方も含まれている。
そして、三番目に、自閉症スペクトラムの子ども本人だけではなく、保護者や兄弟、介助者など、子どもとかかわる人たちが必要としている支援についても触れられている。むしろ、子どもたちを支援する立場にある人たちの目線で書かれているといってもよいであろう。
自閉症が日本に紹介され、教育的対応が実施されるようになってから30年以上経っている。1970年代には、先駆的な情緒障害の通級指導教室で実践的な研究が行われた。また、知的障害養護学校でも、自閉症のある子どもたちへの教育的対応について、研究が積み重ねられてきた。親の会や学会でも自閉症児・者への支援の内容・方法について多くの知見と制度面の整備が進められてきた。2005年4月には発達障害者支援法が施行され、自閉症・アスペルガー症候群・学習障害・注意欠陥多動性障害などの発達障害について人々の理解を促し、地域において発達障害者を一貫して支援していくための国と地方公共団体の役割を定めた。ようやく、支援を必要としながら適切な支援を受けることができなかった人たちへの支援が法のもとに開始されることになったのである。30年の間の研究と実践の蓄積の上にこの法が成立したと考えたい。しかし、実際の教育現場では、まだ自閉症のある子どもたちへの教育的支援が確立しているとは言い難い。なぜだろうか?
30年にわたる日本での研究と実践の積み重ねが纏められていないことがその理由の一つかもしれない。これは本書の監修にあたって気づいたことである。膨大な数の専門書や研究報告書が出版されているが、実際に自閉症のある子どもを初めて担当した教員がそれらをすべて読み込み、自分の力とすることは難しいことであろう。イギリスでの自閉症教育について書かれたものではあるが、本書には、現在日本の自閉症教育で取り入れられているほとんどのノウハウが網羅されている。
本書で紹介されている指導法については、ほとんどのものが日本でも実施されているものであり、より詳しい参考図書も入手することが可能である。検査類についてもほとんどの検査の日本版が作成され、出版されている。校内の支援体制や人的支援の制度についても、参考になる部分が多い。日本の新たな特別支援教育の制度については、イギリスの特殊教育を参考にしている部分が多いからである。したがって、特別支援教育コーディネーターの役割や小・中学校における自閉症スペクトラムの子どもたちへの支援については、参考にして取り入れることができる内容がたくさん述べられている。
同じ障害名が付いていても、子どもは一人ひとり異なる教育的ニーズを持っている。一人ひとりのニーズに合わせて支援を行うためには、既存の指導法や教材だけでは十分ではない。一つの指導法を知っているだけでは、年齢や多様なニーズ、多様な環境にいる子どもたちに対応するためには十分ではない。子どもを目の前にして、困ったとき、あるいは自分が持っている知識や技術だけでは対応できない、と思ったときに、本書を開いて「何か役立つ情報はないだろうか」と探してみてほしい。自閉症スペクトラムの子どもの支援に関する事典として、いつも机の上の手の届く所において活用していきたいと思っている。
2005年9月
緒方明子
著者プロフィール
グレニス・ジョーンズ(ジョーンズ,グレニス)
自閉症の専門家であり、心理士(Chartered Psychologist)として自閉症スペクトラムの子ども、成人に対する教育と介入のための研究・実践を20年以上続けている。現在、英国バーミンガム大学講師。
本書以外にも、リタ・ジョーダン(Rita Jordan)博士との共著としてMeeting the Needs of Children with Autistic Spectrum Disorders (David Fulton, 1999)(邦訳『親と先生のための自閉症講座——通常の学校で勉強するために』ナカニシヤ出版、2000年)などの著書・論文を多数発表しているほか、自閉症スペクトラム障害に関する研究専門誌であるGood Autism Practice (British Institute of Learning Disabilities)の編集にも携わっている。
緒方 明子(オガタ アキコ)
1954年生まれ。筑波大学大学院博士課程心身障害学研究科修了、教育学博士。現在、明治学院大学心理学部教授。
主な編著書・訳書に、『特別支援教育基本用語100』(共編、明治図書出版、2005年)、『教育臨床心理学』(共編、コレール社、2004年)、『学校心理士による心理教育的援助サービス』(共編、北大路書房、2004年)、『障害児教育論』(共編、放送大学教育振興会、2002年)、『LDの領域別指導事例集——集団参加から教科指導まで』(共編、学習研究社、1997年)、『子どもの言語とコミュニケーションの指導』(共訳、東信堂、2000年)など。
海輪 由香子(カイワ ユカコ)
1952年生まれ。東京都立大学人文学部人文学科卒業。翻訳業(心理学・歴史・評論などの分野)。
主な訳書に、『ADHDと自閉症の関連がわかる本』(2004年)『教師のためのLD・ADHD教育支援マニュアル』(2004年)(以上、明石書店)、『おとなのADHD——社会でじょうずに生きていくために』(2001年)『バークレー先生の反抗的な子どもも、8ステップでうまくいく』(2001年)『バークレー先生のADHDのすべて』(2000年)(以上、VOICE出版)など。
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