社会福祉と人権問題
松本 峰雄:著
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 232ページ 並製
定価:2,300円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2180-6 (4-7503-2180-X) C0036
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奥付の初版発行年月:2005年09月 書店発売日:2005年09月18日
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紹介

私たちの生活の中にはさまざまな人権侵害があり,それがいとも簡単に見過ごされてしまっている。もっと日常生活に密着した人権問題を考える必要があるのではないか。社会福祉の原点は人権擁護であるという著者の信念からポイントを網羅した社会福祉の入門書。

目次

はじめに
序章 私と人権問題
第1章 現代社会と社会福祉の意義
 第1節 人間の生活と福祉
  1 人間の生活
  2 人間の生活周期(ライフサイクル)と福祉
  3 人間の幸福と社会の福祉
 第2節 社会福祉とは
  1 社会福祉の意義
  2 社会福祉の定義
第2章 基本的人権について
 第1節 人権とは何か
  1 人権とは
  2 人権の定義
  3 だれが人権をもっているのか
 第2節 人権の歴史
  1 欧米における人権獲得の歴史
  2 国際連合と人権
 第3節 差別について
  1 差別とは
  2 差別に関するさまざまな見解
  3 差別の正体とは何か
第3章 社会福祉の対象
 第1節 福祉の対象のとらえ方
  1 福祉の対象のとらえ方
 第2節 家庭生活と福祉
  1 子どもと家庭
  2 家庭は児童の生活の場
  3 家庭崩壊のなかの子どもたち
  4 核家族化と福祉
  5 ひとり親家庭の福祉
  6 家族解体と福祉
  7 保育・不就学児童の問題
 第3節 学校教育と福祉
  1 子どもと学校
  2 いじめ・体罰と子どもたち
  3 青少年福祉問題の特徴
  4 学校教育現場での差別
 第4節 女性と福祉
  1 女性の地位の問題
  2 女性と職業
  3 母子の問題
  4 非婚の母の問題
 第5節 高齢者と福祉
  1 高齢者の健康問題
  2 老後の生活の問題
第4章 社会福祉の法と制度
 第1節 社会福祉事業の法制
  1 社会福祉法制の基本理念
  2 社会福祉法による事業の分類
 第2節 社会福祉の諸分野
  1 生活保護
  2 子ども・家庭福祉
  3 ひとり親家庭の福祉
  4 高齢者福祉
  5 障害者福祉
  6 低所得者の福祉
  7 婦人保護
  8 地域福祉
  9 部落差別(同和問題)
第5章 社会福祉行政のしくみ
 第1節 国の社会福祉のしくみ
  1 中央省庁再編の経緯と厚生労働省の発足
  2 厚生労働省の内部部局
  3 地方公共団体の社会福祉のしくみ
 第2節 社会福祉の財政
  1 国の福祉財政
  2 地方公共団体の福祉財政
  3 民間社会福祉事業の財政
 第3節 社会福祉制度の改革
  1 社会福祉ニーズの変容
  2 社会福祉サービスの評価と情報提供
 第4節 社会福祉活動の動向
  1 少子高齢社会への対応
  2 在宅福祉・地域福祉の推進
  3 ボランティア活動の推進
第6章 社会福祉の担い手
 第1節 社会福祉専門職に求められる資質
  1 社会福祉援助の特徴と倫理の必要性
  2 社会福祉専門職に求められる資質
  3 専門職団体と独自の倫理綱領
 第2節 他職種・他機関の協働(チームワークとネットワーク)による業務
  1 チームワーク
  2 ネットワーク
第7章 社会福祉に求められる対人援助
 第1節 社会福祉援助技術(ソーシャルワーク)の成立過程
  1 社会福祉援助技術とは
  2 ソーシャルワークの基本事項
  3 ソーシャルワーカーの仕事の本質
 第2節 ケースワーク
  1 ケースワークの意義
  2 ケースワーカーの基本的態度
 第3節 グループワーク
  1 グループワークの意義
  2 グループワークの適用分野
 第4節 コミュニティワーク
  1 コミュニティワークとは
 第5節 その他の社会福祉援助
  1 アドミニストレーション(administration)
  2 ソーシャルワーク・リサーチ(social work research=社会福祉調査)
  3 ソーシャル・アクション(social action)
  4 ケアマネジメント
第8章 新時代の福祉・人権とは
 第1節 差別を見抜くために
 第2節 差別をなくすために
あとがき

前書きなど

はじめに
 現代の国際関係は、平和・環境・人権・福祉を抜きにして語ることはできないと言われています。このうち、人権や福祉について日本ではあまり重視されていないためか、いまだ十分に理解されていません。
 私たちの最も基本的な生活がなされている家庭でも、江戸時代から続く儒教の教えがいまだ色濃くさまざまな場面で生きているせいか、“血のつながりとしての子ども”という捉え方が強いあまり、“社会の子ども”としての認識が多くの人に欠如しています。
 例えば、わが子の子ども部屋に入るとき、何人の親がノックなどして子どもの許可を得て入室しているか。また、長子尊重の意識が親等に強く現れていて、わが子のお祝い時に、長男や長女には金額の張るプレゼントをしていながら、次男・三男や次女・三女には、簡単なもので済ませている現実。
考えてみてください。次男・三男や次女・三女は、自らの意志で次男・三男や次女・三女に生まれてきたわけではありません。長男や長女にしてもしかりです。この生活慣習は、福祉や人権尊重が標榜されている現代にも、現実に生きているのです。
 さらに、社会福祉の原点は人権尊重だと多くの書物に書かれていながら、人権と福祉のかかわりについての記述はほとんどなく、同和問題をはじめとする差別問題に多くの人が触れたがりません。しかし現実には、家庭生活や福祉の現場では、わが子や福祉の入所対象(利用)者に対する体罰等が多発し、人権侵害の例が跡を絶ちません。
 このように、私たちの生活の中にはさまざまな人権侵害がありますが、それがいとも簡単に見過ごされてしまっているというのは、日本人の人権感覚がいまだに弱いという結論に達するのではないでしょうか。
 人権尊重を強く訴えている人の中にも、強烈な学閥意識があったり、学歴を強固に意識したりということは、まさに人権が、生活の中で生きていないという現れなのです。
 このような日常生活を見つめる中で、このままの人権感覚では困る、もっと日常生活に密着した人権問題を意識する必要があると考え、福祉サイドから人権問題を考えてみようと思い、この本を出版することにしました。
 出版に際し、社会福祉の原点は人権擁護であるという私の信念から、この本を保育士養成や介護福祉士養成のテキストとしても活用できるように配慮しました。社会福祉の入門書として活用していただければ幸いです。
 最後になりましたが、出版にご理解をいただいた明石書店の石井昭男社長と、稚拙な文章を支えてくださった編集部の皆さんに敬意を表するとともに、言葉足らずで、あるいはご叱責を受ける箇所もあるかと存じます。ご一読の後、ご意見等を賜ることができますならば幸いです。

 2005年9月

著者プロフィール

松本 峰雄(マツモト ミネオ)

神奈川県生まれ。
1969年東洋大学大学院社会学科研究科修士課程修了
1987年千葉明徳短期大学教授
1991年育英短期大学教授
1999年千葉敬愛短期大学教授
2001年同短期大学教務部長
主な著書
『現代社会と社会学』(共著、誠信書房、1988年)
『子どもの教育と福祉の辞典』(編著、建帛社、2000年)
『子どもの養護』(編著、建帛社、2001年)
『福祉と人権』(明石書店、2002年)
『社会福祉の方法──社会福祉援助技術』(共著、建帛社、2003年)
『子どもの福祉』(編著、建帛社、2004年)
『まるごと覚える保育士試験』(監修・著、新星出版社、2005年)

上記内容は本書刊行時のものです。


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