発行:明石書店
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A5判 144ページ 並製
定価:2,300円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2174-5(4-7503-2174-5) C0033
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年08月
書店発売日:2005年09月06日
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OECD諸国の公務員,業績給政策を包括的に検討し,各国の業績給のメリット・デメリットを詳細に評価。有能で活力に満ちた職員の獲得と保持を目的に,民間との相異など,様々な問題点を各国の具体的な事例をもとに検討。
目次
日本語版序文
序文
概要
勧告
用語集
第1章 より広範なマネジメントの文脈における業績給
1. はじめに
2. 過去20年にわたる業績給の発展
3. 業績マネジメントにおける現状の概観
4. なぜ政府が業績給を導入したのか?
4.1 モチベーションの向上
4.2 有能で活力に満ちた職員の獲得と保持
4.3 経営改革を促す
4.4 業績給は給与支出をコントロールするか?
4.5 説明責任を明らかにする
5. 業績給と人材・予算権限の委譲
6. 結論
注
第2章 OECD諸国における業績給の主要なトレンド
1. 業績給制度の全体設計における一般的なトレンド
1.1 業績給の導入はどのように、またどの程度進んでいるか
1.2 業績給政策の分権化
1.3 業績給の枠組みの分権化と権限委譲が衡平性にもたらす意味
1.4 業績給:個人別アプローチから集団別アプローチへのシフト
2. 業績評価制度:使用されている基準とシステムのトレンドを中心に
2.1 職務目標に基づく業績評価の利用拡大
2.2 業績基準として現在何が使われているか
2.3 柔軟な評点制度か、それとも割当制の評点制度か:ずば抜けた業績を上げる職員を特定する
2.4 コントロールの手段ではなく対話機会としての業績評価
3. 業績給:支給の形態と規模
3.1 成績昇給、それとも一時払い賞与?
3.2 業績給:給与総額のごく一部に過ぎない
4. 結論
注
第3章 業績給の実施と影響:学ぶべき教訓
1. はじめに
2. 設計と実施に関連する問題:学ぶべき教訓
2.1 業績給制度の設計の改善に向けて
2.2 実施上の問題
2.3 業績給政策のマネジメント:目標設定
2.4 マネジメント上、契約上の問題
2.5 業績給制度の設計および実施に関する個別の提言
3. 業績給のインパクト:変革のインセンティブか?
3.1 業績給とそのインセンティブとしての運営
3.2 業績給とマネジメント、組織改革の促進策としての業績給の運営
3.2.1 業績給: 目標設定政策を導入、強化する機会
3.2.2 業績給: 業務編成の変革の「てこ」
3.2.3 業績給と人材獲得
3.3 チームの業績に連動した制度は有効か?
4. まとめ
注
結論
参考文献
付録 OECD12カ国の業績給政策:概要
Boxes
図
表
前書きなど
日本語版序文
本書は、OECD諸国の国家公務員の給与において、業績の反映がどのように行われているか、いわゆる業績給の実態について、OECDの公共ガバナンス委員会が、加盟各国の協力を得て研究を行った結果を取りまとめた報告書である。
我が国の民間企業においては、いわゆる「成果主義」の導入が、1990年代から進んできている。この動きに対しては、近年、さまざまな議論が投げかけられてきた。昨年は、東京大学の高橋伸夫教授による、経営学の観点からの批判である『虚妄の成果主義』(日経BP社)、富士通人事部の元職員である城繁幸氏による、同社の成果主義システムの問題点を告発した『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(光文社)など、成果主義に反対する論調が話題を呼んだ。一方で、民間企業における成果主義の拡大は、とどまる気配を見せない。たとえば、UFJ総合研究所の2003年10−11月の上場企業および非上場優良企業を対象とするアンケート調査では、対象企業の54%が成果主義を導入、32%が導入検討中であった(「人事制度及び人材戦略の動向に関するアンケート」2004年2月)。これが、2004年12月−2005年1月に労務行政研究所が行った東証一部上場企業の労使を対象とするアンケート調査では、経営側、労働側双方とも、約7割が導入していると回答(『労政時報』2005年3月5日号)、2004年11−12月に日本能率協会が全国の上場・非上場双方の企業を対象として行った調査では、8割超が導入していると回答している(「成果主義に関する調査」2005年2月)。給与については、人事院の外郭団体である日本人事行政研究所が2004年10月に東証一部上場企業とこれに準ずる企業を対象にして行った調査によると、実に95.7%の企業が個人の業績を給与(賃金)に反映させていると回答している(「将来あるべき人事管理を考えるための基礎調査(平成16年)」2005年3月)。
日本の国家公務員に対しても、国民は、業績に応じて給与が支払われる成果主義の導入が必要であると考えるようになってきている。たとえば、人事院の平成17年度「第1回『国家公務員に関するモニター』アンケート調査結果」によれば、「給与決定の際に重視する要素」として、約8割の者が「個々の職員の仕事の実績や成果」を挙げている。また、「給与制度の改善方向」として、約5割の人が「昇給や賞与(ボーナス)に成果や実績をもっと反映させる」、「民間で高い給与を支給されるほどの専門性を発揮する人材にはそれに見合った給与を支給する」を挙げている。
実際は、国家公務員の給与制度においても、本書38ページにも記載があるように、早くから業績給的要素が盛り込まれている。勤務実績を測定するための勤務評定制度は1951年から行われ、これに基づき、勤務実績に応じていわゆるボーナスを増減する勤勉手当は1952年から開始、俸給月額(民間企業でいう基本給)の昇給を勤務実績に応じて行う特別昇給は、一般職給与法には1950年の制定当初から規定が置かれ、1953年には実際に活用できるように人事院規則の改正が行われている。
では、なぜ国民の目には、国家公務員の給与は業績に依っていない、年功主義の代表例のように映るのであろうか。人事院が主宰した「地域に勤務する公務員の給与に関する研究会」基本報告(2003年7月)では、この理由を「人事評価システムについて職員団体の理解が得られなかったこともあって、持ち回りや年次順による運用に陥っているところも多い」と分析し、ボーナスにおける成績査定分の拡大が必要であるとしている。
人事評価システムについては、2000年以後の公務員制度改革の取り組みの一環として導入すべく、政府が検討を行ってきた。公務員制度改革の全体については、国家公務員法等の法律改正のコンセンサスが、政府内外の関係者間で得られていないため、人事評価のみ、昨年12月に閣議決定された「今後の行政改革の方針」において、先行して2005年度中に本府省における試行に着手することとされ、現在その準備が進められているところである。
他方、勤務実績の給与への反映については、本年の人事院勧告(8月15日)において、給与構造の改革の中で、(1)普通昇給(いわゆる定昇)と特別昇給を一本化した上で、勤務実績に応じた昇給制度の導入、そして(2)勤勉手当への実績反映の拡大を勧告している。このための勤務成績の判定については、評価システムの整備が今後のものであることを前提として、当面、現在の勤務成績の判定手続の明確化を図ることとしている。
OECD諸国においては、1980年代以後のいわゆるニュー・パブリック・マネジメントの流れの中で、「組織の成果主義」、すなわち政府組織がより成果を上げることに取り組んできたのと並行して、個々の公務員レベルにおいても、1990年代から給与と業績のリンクを強化することに挑戦してきた。この報告書では、このような先行して取り組んできた諸国の経験から、興味深い教訓を汲み取っている。たとえば、1集団別の業績給の有用性、2個人モチベーション向上効果よりもマネジメント変革・組織改革のためのツールとしての意義が大きいこと、3適切な業績評価プロセスの確立や人材マネジメントの権限委譲などの環境整備の重要性、等々である。
本報告書を取りまとめたOECDの公共ガバナンス委員会は、1990年から活動してきた公共経営委員会を前身として昨年設けられたもので、国家の公共経営に関し先進諸国政府が情報交換や研究を行う場となっている。取りまとめの中心となった人材マネジメント作業部会は、公共ガバナンス委員会でアドホックに行われてきた人材マネジメントに関するテーマを恒常的に取り扱う下部組織として、昨年から年1回定期的に開催されるようになった。我が国政府のこれらの活動への貢献は、正直なところあまり積極的とは言えない。今後は、このような貢献を拡大していくことが望まれるところであり、本書がその一助となれば翻訳に携わった者として本望である。
本報告書の翻訳は、序文から第1章までを松隈、第2章を馬場、第3章を佐伯が分担し、平井が用語等の全体統一のため監訳したものである。眼前の業務には直接は関係しなくとも、世界の動向を幅広く吸収し、その成果を世の中に役立てようという私の提案を快く受けて、激務の日々にあって、貴重なオフの時間を割いて翻訳に取り組んでくれた三氏には厚く謝意を表したい。本書の翻訳内容についての責任はすべて平井個人にあるものであり、監訳者および翻訳者の所属する組織には一切関係しない。なお、原著では、第2部として各国のケース・スタディが付されているが、その概要が巻末付録の表に整理されていることと、報告書の主要部分である第1部をできるだけ早く日本語で出版し、今後の公務員給与の在り方に関する我が国における議論の材料に供すべきことから、日本語版では第2部を割愛している。
最後に、公共ガバナンス委員会に関する情報を丁寧に収集し本国に提供していただいた日本国政府OECD代表部の中溝和孝一等書記官、本書の翻訳出版をお引き受けいただいた明石書店の安田伸総務部長および編集部の松本徹二氏、仲介の労をとっていただいたOECD東京センター副所長の小野田迅児氏に、そして、本書翻訳出版の準備にあたり陰に陽に我々訳者を支援してくださった大勢の方々に、厚く御礼申し上げたい。
2005年8月
総務省人事・恩給局調査官
平井 文三
著者プロフィール
OECD(オーイーシーディー)
OECDは、民主主義を原則とする30カ国の先進諸国が集まるユニークな国際機関であり、グローバル化の時代にあって経済、社会、環境の諸問題に取組んでいる。OECDはまた、コーポレート・ガバナンスや情報経済、高齢化等の新しい課題に先頭になって取組み、各国政府の新たな状況への対応を支援している。OECDは各国政府がこれまでの政策を相互に比較し、共通の課題に対する解決策を模索し、グッド・プラクティスを明らかにし国内および国際政策の調和を実現する場を提供している。
OECD加盟国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イタリア、日本、韓国、ルクセンブルク、メキシコ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア共和国、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス、アメリカ合衆国である。欧州委員会もOECDの活動に参加している。
平井 文三(ヒライ ブンゾウ)
1965年北海道生まれ。88年東京大学法学部卒業後、総務庁入庁。94年米国ジョージタウン大学公共政策大学院修了(公共政策学修士)。96年から98年まで九州大学法学部助教授(行政学)。現在は、総務省人事・恩給局調査官(給与・退職手当担当)。著書に『行政改革・地方分権・規制緩和の座標』(共著、ぎょうせい、1998年)、『情報社会の公法学』(共著、信山社、2002年)、『現代日本政党史録第4巻』(共著、第一法規出版、2003年)の他、欧米諸国等のNPMに関する論文多数。
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