
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 168ページ 並製
定価:1,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2128-8 (4-7503-2128-1) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年06月 書店発売日:2005年06月04日
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再び教科書検定に登場した「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史・公民教科書。日本を「戦争できる国」に,子どもたちを「戦争する人間」に変え,「天皇中心の国」づくりをもくろむ危険な歴史観,社会観を多方面から検証する。
目次
はじめに——アジアでともに生きるために<br>1 ふたたび「裏口入学」した「つくる会」歴史教科書——よみがえる皇国史観のキケンな本質(上杉 聰)<br>2 加害の記憶の抹殺と女性蔑視(西野瑠美子)<br>3 無視される沖縄と女性(大森明子)<br>4 洗脳とルール無視で貫かれた『新訂公民』教科書——『改訂歴史』以上に危険な内容(高嶋伸欣)<br>5 まとめ 時代遅れで指導要領に最も反している「つくる会」教科書(高嶋伸欣)
前書きなど
はじめに——アジアでともに生きるために<br> 今年の三−四月、これまでにない大規模な抗議や「反日」デモが、韓国・中国の各地へと広がった。「竹島」をめぐり、または日本の国連常任理事国入りや首相の靖国参拝に反対するプラカードの中に、「新しい歴史教科書をつくる会」(以下「つくる会」)による教科書が「検定合格する」、あるいは「した」ことへの、激しい異議申し立てが含まれていた。<br> 時に暴力にまで発展したこの反日行動は、これまでのようにゆるやかで通り一遍の抗議を行なっても、小泉政権がけっしてその方針を変えないことへの根深い不信感の産物であったろう。あとは実力で民衆の声を届けるしかないというのが、韓国・中国政府の本音であったかもしれない。<br> これに対する日本側の反応も、また強い反発にいろどられていた。「冬のソナタ」以来の韓流ブームも、中国市場目当ての商戦ブームも、どこかへ吹き飛ばす勢いであった。嫌韓・嫌中ムードが広がった。互いの感情的な対立が、やがて憲法の改悪や政治的・軍事的な対立へとつながるマグマに成長しかねないおそれを感じたのは私たちだけではないだろう。<br> だが、バンドンにおける小泉首相の謝罪演説と日中首脳会談をへて、東アジアは、もういちど冷静になって、お互いの立場を尊重しつつ、社会・経済のパートナーとして相手の大切さを確認し合い、歴史認識の対立という積年の宿題にどのような答えを準備するか、その大きな課題に静かに向き合う芽が出始めているように思う。<br> ただ、私たち日本人社会は、その芽を摘んでしまう危険を、いまも抱え込んでいる。というのは、「つくる会」による歴史・公民教科書の採択が目前に迫っているからである。八月に行なわれる今年の採択は、四年前のようにたんに民間右翼の運動としてでなく、文部科学省と自民党を巻き込み進んでいる。彼らが目標とするのは一〇パーセントの占有率である。もしそれが実現されるようなことになれば、中国・韓国の側から日本への友好の努力にあきらめが生じるおそれさえある。そして、もっと重大なことは、日本の一〇パーセントの子どもたちが、「戦争する人格」へと歪められる道すじが、この教科書によって開かれてしまう可能性があることだ。<br> ともにアジアで生きようとする子どもたちを育てるのか、ふたたび憎悪と弾丸の飛び交う戦場に子どもたちを送り出すのか、私たちに課せられた課題はあまりにも大きい。少なくとも、このように好戦的、破壊的な教科書を、平和なアジアをつくるために採択すべきでない。そうした思いで、共同執筆を私たちは思い立った。戦争へと向かう心理が、これ以上日本社会に膨らまないことを願って。<br><br>二〇〇五年五月一〇日<br>執筆者一同
著者プロフィール
上杉 聰(ウエスギ サトシ)
日本の戦争責任資料センター事務局長。関西大学文学部講師<br>主な著書 <br>『これでわかった! 部落の歴史』(解放出版社)、『脱ゴーマニズム宣言』(東方出版)、『脱戦争論』(編著、東方出版)、『知っていますか? 君が代・日の丸問題一問一答』(解放出版社)、『「つくる会」教科書はこう読む!』(共著、明石書店)
上記内容は本書刊行時のものです。大森 明子(オオモリ アキコ)
沖縄在住、フリーライター。沖縄戦、軍隊と女性・平和の問題に関心を寄せている。
上記内容は本書刊行時のものです。高嶋 伸欣(タカシマ ノブヨシ)
琉球大学教授。高嶋教科書裁判(旧横浜教科書裁判、93年提訴)原告<br>主な著書<br>『80年代の教科書問題』(新日本新書)、『教科書はこう書き直された!』(講談社)、『教育勅語と学校教育』(岩波ブックレット)
上記内容は本書刊行時のものです。西野 瑠美子(ニシノ ルミコ)
「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)共同代表<br>主な著書<br>『戦場の慰安婦』(明石書店)、『日本軍慰安婦を追って』(マスコミ情報センター)ほか。『人権と部落問題』に「戦争と女性」を連載中。
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