地球市民社会のコミュニケーションのあり方を模索する言語・情報・文化の英語支配
津田 幸男:編著
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 192ページ 上製
定価:2,200円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2086-1 (4-7503-2086-2) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年03月 書店発売日:2005年04月05日
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紹介

2004年11月6日に筑波大学で開催された同名の国際シンポジウムの報告書を軸に,その他の論文などを加え,言語学,文学,コミュニケーション論,文化人類学など多角的視点から,英語支配=英語帝国主義の問題点を訴える。

目次

はしがき(津田幸男)
国際シンポジウム【挨拶】
第1部 言語・情報・文化の英語支配 —— 英語支配研究の位置づけ
【挨拶1】比較市民社会・国家・文化研究と英語支配研究の意義(辻中 豊)
【挨拶2】ことばの壁とコミュニケーション(川那部保明)
国際シンポジウム【講演と討論】
第2部 言語・情報・文化の英語支配 —— 英語支配への多角的視点
【講演1】言語・情報・文化における英語支配 —— その実態と問題点(津田幸男)
【講演2】英語支配とセルフ・オリエンタリズム —— 文化人類学者の立場から(別府春海)
【講演3】韓国の言語・情報・文化における英語支配(イ・スンヨル)〔日本語通訳・金仁和〕
【講演4】情報の国際流通に見る英語支配 —— 統計的実態分析と日本にとっての諸問題(伊藤陽一)
【討論・質疑応答】英語支配にどう対処したらよいのか?
紙上シンポジウム
第3部 英語支配の未来を探る —— 4つのエッセイとコメント
1 英語ができなくても幸せに暮らせる世界をめざそう! ——「脱英語言説」の創造(津田幸男)
2 英語支配の将来(別府春海)
3 英語支配の未来を考える ——「古代的未来」への回帰(イ・スンヨル)
4 「英語支配」の未来についての雑感(伊藤陽一)
[コメント]英語支配は精神支配を生み出している(津田幸男)
第4部 英語支配論の新たな展開 ——「英語支配システム」の検討
1 同化と排除のシステムとしての英語支配 —— 関係性の貧困を生み出す「国際語としての英語」(津田幸男)
2 グローバリゼーション、英語支配、ことばのエコロジー(津田幸男)
3 英語支配論小史(津田幸男)
付録:英語支配研究基礎文献
あとがき——感謝にかえて(津田幸男)

前書きなど

はしがき  本書は、二〇〇四年一一月六日に筑波大学で開かれた国際シンポジウム「言語・情報・文化の英語支配〜地球市民社会のコミュニケーションのあり方を模索する」の報告を中心とし、さらに編者による最近の英語支配研究の成果をまとめたものである。  このシンポジウムは、筑波大学の「比較市民社会・国家・文化特別プロジェクト」という研究組織の助成を得て、その中の「言語と市民社会」研究グループが主催となって開催されたものである。この特別プロジェクトは、平成一五年度から発足し、今年で三年目を迎える。約六〇名ほどの研究員と四〇名ほどの客員研究員により、研究活動が活発に展開されている。この研究プロジェクトは、世界各地の多様な社会・文化の相違を超えて、地球的な共通性・公共性の存在を追究しようとする学際的な共同研究である。今回のシンポジウムは、研究テーマの一つである「地球化時代の市民社会における言語と情報に関する研究」の一環として行われ、当日は約三〇〇名の参加を得た。  現在、世界の言語と情報に関する研究において、英語は最重要の課題であるといえる。英語は「世界標準語」「国際共通語」として語られることが多いが、一方で「英語支配」による世界の言語と文化の画一化や少数言語の衰退が叫ばれて久しい。最近ユネスコと東京大学が共同で「危機言語レッドブック」をインターネット上で公開し、消滅に瀕する言語の増加を記録・報告している。このことは、いまや「英語支配」は地球規模の言語環境問題であることを示している。  英語はしばしば「学ぶべき言語」としてあつかわれ、その利点ばかりに眼が行くが、英語が強大な言語になり、他の言語を圧迫し、コミュニケーションの不平等を生み出す「英語支配」という負の側面があることは常に見逃されてきた。そんな中、「英語支配」への批判的問題意識を持つ英語支配論は、日本でも海外でも一九九〇年頃から徐々に発展して来たのである。  このような流れを受けて、今回の国際シンポジウムが開催されたことはたいへん意義深い。言語学者に限らず、文化人類学者、文学研究者、国際コミュニケーション学者が一堂に会して、「英語支配」の実態と問題点について多角的に討議できたことは、今後の英語支配研究発展のためはもとより、「英語支配」という地球的課題に新しい知見が得られる絶好の機会になったといえる。  シンポジウムでは主に「英語支配」の実態と現状について講演と討議がなされた。そして、シンポジウム後に、各講演者に「英語支配の未来」についてエッセイを書いていただき、「紙上シンポジウム」を行った。その他、編者執筆の論文二編と、英語支配研究のいままでの経過を概観した「英語支配論小史」を載せた。また、巻末に「英語支配研究基礎文献」を添え、研究者、読者への一助とした。  本書の出版は、筑波大学「比較市民社会・国家・文化特別プロジェクト」の助成を得て可能になった。ここに深謝の意を表したい。 二〇〇五年三月 編者

関連リンク

津田幸男ホームページ

著者プロフィール

津田 幸男(ツダ ユキオ)

1950年神奈川県生まれ。<br>現職:筑波大学大学院人文社会科学研究科教授(現代文化・公共政策専攻)<br>東京都立雪谷高校英語教師を4年半勤めた後、2度にわたる留学を経て1985年に南イリノイ大学より博士号(Ph.D.)を取得。日本に帰国後、長崎大学助教授、名古屋大学教授を経て2001年より現職。<br>専門:国際コミュニケーション論、国際言語政策論、社会言語学、英語教育<br>ホームページ:http://www.prof-tsuday.com/<br>主な著書:<br>Language Inequality and Distortion (1986), John Benjamins.(オランダ)<br>『英語支配の構造』(1990)第三書館<br>『英語支配への異論』(編著)(1993)第三書館<br>『侵略する英語 反撃する日本語』(1996)PHP研究所<br>『日本人と英語——英語化する日本の学際的研究』(編著)(1998)国際日本文化研究センター(日文研叢書14)<br>『英語下手のすすめ』(2000)KKベストセラーズ社<br>『グローバル・コミュニケーション論——対立から対話へ』(関根久雄と共編著)(2002)ナカニシヤ出版<br>『英語支配とは何か——私の国際言語政策論』(2003)明石書店<br>『アメリカナイゼーション——静かに進行するアメリカの文化支配』(浜名恵美と共編著)(2004)研究社

上記内容は本書刊行時のものです。
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