在日朝鮮人とアイデンティティコリアン・ディアスポラ
ソニア・リャン, 中西 恭子:訳
発行:明石書店
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四六判 224ページ 上製
定価:2,400円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2069-4(4-7503-2069-2) C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年03月
書店発売日:2005年03月17日
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紹介

在日朝鮮人として日本で育ち,今は米国の大学で教える著者が,異郷・日本での定着が長期化する在日コリアンのディアスポラ状況をたしかなフィールド・ワークと当事者としての共感から描き出す新しい在日朝鮮人論。

目次

序 日本という異郷
第1章 関東大震災と朝鮮人大虐殺(1923)——日本の近代国家主権に関する考察
第2章 刻印された(男たちの)身体、声なき(女たちの)ことば——在日朝鮮人の「植民地過去」を考える
第3章 言語とアイデンティティ——朝鮮総聯系の女性たち
第4章 ディアスポラとその向こう——日本に「ふるさと」はない
第5章 ディアスポラ再論——生活史に見るイデオロギー、主体性、そして心の問題
あとがき
索引

前書きなど

序 日本という異郷  第1章「関東大震災と朝鮮人大虐殺」は今回収められた論文の中でもっとも最近に書かれたものである。これは文化人類学調査にもとづいた論文ではなく、むしろ史実を民族誌を読むようにひもといてみたいと考えて書いた論文である。イタリア人哲学者・ジョルジョ・アガンベンと民俗学者・折口信夫の思想からヒントを得て、一九二三年の関東大震災とその直後の朝鮮人虐殺を近代日本の国民主体出現の原理と合わせて考えてみた。既存の関東大震災研究にみられる責任追及、うわさの出所の究明などの傾向から一歩距離をおいて、より根元的な次元での文化的ロジックを見すえてみたいと考えて、この研究をはじめた。史料の実証的検証が未だ初期段階にあることから今の時点では史料の再解釈にとどまっていることをお断りしておきたい。  第2章「刻印された(男たちの)身体、声なき(女たちの)ことば」と第3章「言語とアイデンティティ」は、一九九〇年代にケンブリッジ大学社会人類学博士課程在籍中におこなった調査にもとづいた拙著“North Koreans in Japan: Language, Ideology, and Identity”(Westview, 1997)に収めることのできなかった在日朝鮮人一世女性たちにかんする私なりの視点をまとめたものである。第2章では直接には一世女性たちについて書いているわけではなく、彼女たちとの長いつきあいの過程で私のうちに触発された感性を頼りに男性本位論理に組みこまれたがために、ジェンダーが見えなくなってしまっている現在の植民地批判、とくに「強制連行」にかんする言説に焦点を当ててみた。読者の中にはこの論文の前半だけを読んでいわゆる民族闘争の正統性からかけ離れているとする人たちもいるかもしれないが、最後まで読んでもらうことによってのみ私の意図するところが理解していただけるということをここで強調しておきたい。  第3章は総聯組織内の言語政策と一世女性たちのエージェンシー(主体性)を交互にかみ合わせるようにして考えてみた。ある言語を内化して、「自分のもの」として身につけるとき、それは個人の主体的存在を表現・強化する効果的な手段となると同時に「ある言語」の組織的創出母体である総聯の存在理由を正当化する(そしてそのことによって組織内に現存する権力関係をも正当化してしまう)というある種皮肉な展開をたどることになる。このような現象を扱うとき、いかにして個人の主体性を肯定的にとらえながらも同時に組織内言説のかもし出す権力構造を明らかにすることができるのかという課題に取り組んでみた。  第4章「ディアスポラとその向こう」、第5章「ディアスポラ再論」は比較的最近まで行なわれている長期の調査をもとにして、日本という異郷におきざりにされた在日朝鮮人の生きざまを民族誌的にまとめてみた。両章とも在日朝鮮人にとって故国(くに)・故郷(ふるさと)がどうやって喪失させられ、またそれらがいかにして再建不可能な状態にあるのかということについて考えてみた。第2・3章、とくに第3章では在日朝鮮人一世女性たちの生活世界の一端を掘り下げているのに対し、第4・5章では、在日朝鮮人一世男性の老いの問題をとりあげていることから、ジェンダー差によるディアスポラ経験の特殊性を確認するうえでも参考になればと考えている。(抜粋)

著者プロフィール

ソニア・リャン(リャン,ソニア)

ソニア・リャン(Sonia Ryang、梁順)<br>1960年愛知県生まれ。1982年、朝鮮大学外国語学部(フランス語)卒業。1988年、ヨーク大学政治学修士。1991年、ケンブリッジ大学社会人類学修士。1995年、ケンブリッジ大学社会人類学博士。<br>現在、米国ジョンズ・ホプキンス大学準教授。2児の母。<br>著書<br>North Koreans in Japan: Language, Ideology, and Identity (Westview Press), Japan and National Anthropology: A Critique (Routledge)<br>編書<br>Koreans in Japan: Critical Voices from the Margin (Routledge)

中西 恭子(ナカニシ キョウコ)

和歌山県生まれ。一橋大学卒業後、出版社勤務。東京外国語大学大学院で修士を取得したのち、現在ソウル大学に留学。同大学院国語国文学科博士課程修了。<br>現在、韓国東国大学校専任講師。<br>著書<br>『韓国語アップグレード——もぎたてのソウルマル』(明石書店)<br>訳書<br>『ストリートウーマン』(共訳、現代書館)

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