
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 224ページ 上製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2033-5 (4-7503-2033-1) C0036
在庫僅少
奥付の初版発行年月:2004年12月 書店発売日:2005年01月19日
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アマゾン|HonyaClub.com紹介
NGO,NPOの活動は近年国際的に高く評価されるものもあるが,「公的領域で活動する,国民の自発自立的な組織や団体の領域」としての「市民社会」はまだ成長途上にある。本書はNGO,NPOが持つ制約や限界を提示し,それをどう克服するか論究する。
目次
はじめに
第一章 「市民社会」とは
第1節 いくつかの定義
第2節 NGO・NPO
第3節 現代的な意味
第4節 クニとの関わり
第5節 市場との関わり
第6節 モノサシあるいは鏡
第7節 利益グループか否か
第8節 活動領域
第9節 公と私
一 官・民との関わり
二 その区分
三 日本の場合
第二章 「市民社会」論の背景
第1節 これまでに見えてきたこと
第2節 まだ見えていない背景
第3節 民主主義
一 いくつかの問題
二 正統性と答責性
三 任意の申し合わせ
第4節 市場経済
第5節 国際社会
一 クニとの関わり
二 クニにできないこと
第三章 「市民社会」論の吟味
第1節 その弱点
第2節 市民社会の効率性
第3節 コーポラティズム
第4節 市民社会の正統性・答責性
第5節 市民社会の正統性(近代国家の場合)
第6節 市民社会の答責性(近代国家の場合)
第7節 市民社会の正統性・答責性(国際社会の場合)
第四章 「市民社会」論の実効性
第1節 市民社会組織の資源調達
第2節 資源の偏在
第3節 資源の供給源
第4節 公益法人制度
第5節 非営利
第6節 許可主義
第7節 指導監督
第8節 税制上の取り扱い
第9節 公益法人制度改革
第10節 問題の整理
第11節 税制上の優遇措置
第12節 憲法八九条
第13節 「公益」とは
第14節 財団法人
第15節 今後の方向
第16節 税制上の奨励措置
第17節 有識者懇談会の「中間整理」
第五章 結論に代えて——「市民社会」論の将来
第1節 文脈の整理
第2節 クニとの関係
第3節 市場との関係
第4節 民主主義との関係
第5節 グローバリゼーション
第6節 クニとの関係・再考
第7節 市場との関係・再考
第8節 公と私・再論
第9節 公共財
あとがき
参考文献
索引
前書きなど
はじめに 民間非営利組織(Non Governmental Organization、以下NGOと略す。あるいはNon Profit Organization、以下NPOと略す。語義については第一章第2節で詳説する)に対する期待が高い。阪神・淡路大震災以来、国内での認知度の飛躍的な向上が通称NPO法(平成一〇年法律第七号・特定非営利活動促進法)を生んだのはその一例だが、ことは日本の国内にとどまらず、国際問題も視野に入るようになってきている。 「二一世紀を、政策思考の対象にしようとする者にとって」、「行動している現代世界の行動主体は一体誰かを考えてみると、『シビリアン・パワーの先兵』と呼ばれるNGO以外にはなさそうに思われる」といった論調はその代表的なものだ。 さらに、「多元主義と自由に見出す価値観」を体現し、「市場の失敗」と「政府の失敗」を補う希望の星としてのNPO、という見方はきわめて魅力的で、「公的領域で活動する、国民の自発自立的な組織や団体の領域」としての「市民社会(Civil Society)」の議論が、ここにきてにわかにさかんになったのも、この傾向のいわば集大成であると言ってよい。 ちなみにこれは何も国内現象にとどまらないのは先に述べた通りで、例えばウェブ上の書店として著名なアマゾン・ドット・コムでcivil societyで書籍のタイトル検索をかけてみると六万二七六五冊。同じくdemocracy(民主主義)が四万六九九二冊であるのに比較してみれば、その人気のほどが知れようというものである。 NGO讃歌、NPO万歳とでも言うべきこの傾向は、わが国においては、これまでのオカミ万能論へのアンチテーゼとしては大変結構な話である。 しかし「ホメ殺し」ではないが、手放しの賞賛一辺倒ですむわけがない。現に日本国内では「詐欺まがいの商行為」をしたなどの理由で認証を抹消されたNPO法人も出現しているし、国際的には財団などのチャンネルを使ってのテロ組織に対する資金供給に懸念の声も上がったりしている。悪いやつがどこにでもいるのは別に不思議ではないからそれはおくとしても、NGO・NPOあるいは市民社会、それぞれに制約や限界があるのはあたり前の話で、これを無視したNPO万能論、あるいは市民社会万歳は意図せぬ誤謬を誘発することになる。ある問題解決の手法が、解決されるべき問題のいかんを問わず妥当するとは限らない。民主主義は貴い。民主主義の真髄は多数決だ、だから一足す一が二になるかどうかは多数決で決めよう、というのと似たような過ちをおかしかねないということだ。それにとどまらず、この種の過大評価は必ず逆方向へのバックラッシュを生む。現実に則したその能力の見きわめが必要な所以である。 ではいったいNGO・NPOのもつ制約や限界とはなんなのか。そのうちどれほどのものが原理的・本質的なもので、どれがなんらかのかたちで克服できるものなのか。それをNGO・NPO機能論の集大成としての「市民社会」論を中心に検討してみようというのが本論の目的である。
著者プロフィール
入山 映(イリヤマ アキラ)
1939年生まれ。63年東京大学法学部卒業。日本国有鉄道(当時)、日本航空を経て、1982年U.S.-Japan Foundation(米日財団)東京事務所代表。86年笹川平和財団設立と同時に常務理事(事業担当)。93年同理事長。立教大学大学院21世紀社会 デザイン研究科教授。
主要著書
『社会現象としての財団』(日本放送出版協会)、『公益法人の実像——統計から見た財団・社団』〔共著〕(ダイヤモンド社)、『今なぜ民間非営利団体なのか——笹川平和財団十年の軌跡』〔共著〕(清水弘文堂書房)、『日本の公益法人——その正しい理解と望ましい制度改革』(ぎょうせい)など。
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