日米国際結婚パイオニアの記録アメリカに渡った戦争花嫁
安冨 成良:著, スタウト・梅津 和子:著
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 288ページ 並製
定価:2,300円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-2032-8(4-7503-2032-3) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2005年01月
書店発売日:2005年01月15日
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紹介

戦後の混乱期を必死に生き,恋をし,未知の国で夢を掴もうと海を渡った戦争花嫁。歪んだイメージの下,差別・偏見の眼にさらされながら,たくましく生きてきた彼女たちのライフ・ヒストリーから,市井の人びとの目に映ったアメリカと日系社会の姿を描く。

目次

まえがき(スタウト・梅津和子)
第1章 占領下の日本と進駐軍(安冨成良)
 連合軍の進駐と日本の反応
 特殊慰安施設協会(RAA)の設立
 RAAに応募した女性たち
 各地のRAAの状況と施設の閉鎖
 公娼廃止後、街に溢れたパンパン
 欧州のフラタニゼーション(宥和)に関する政策
 日本での兵士との交際に関する方針
 花嫁学校
 戦争花嫁第一号は?
 海を渡れなかったもう一つの戦争花嫁
 占領軍兵士との間に生まれた混血児問題
第2章 私の生い立ちから結婚まで(スタウト・梅津和子)
 私の幼年期
 玉音放送
 戦後の苦労
 青春時代
 都会への憧れ
 憧れを胸に上京
 下宿先でのエピソード
 カールとの出会い
 異国人との恋愛と周囲の目
 結婚の承諾を得に故郷に帰る
 結婚を前にして
 結婚式
 渡米の心
第3章 渡米当時のアメリカと日系社会(安冨成良)
 第二次大戦後のアメリカ
 東西冷戦へ
 保守化するアメリカ
 一九五〇年代アメリカにみられた特徴
 移民法制度の変遷と戦争花嫁
 日本人花嫁法制定前後の状況
 戦争花嫁を迎え入れた日系社会
 強制収容所からの解放と日系社会の再建
 JACLの反差別委員会活動
 日本人妻のアメリカ入国問題
 日本人花嫁法(一九四七年)
 JACLが尽力した理由
 気になる日系人への評価とハリウッド映画
第4章 戦争花嫁のステレオタイプ形成(安冨成良)
 日本の書籍・小説にみる戦争花嫁
 アメリカの小説・映画にみる戦争花嫁
 日本のマスコミ報道にみる戦争花嫁
 日系新聞の報道にみる戦争花嫁
 日本と日系社会でつくられた戦争花嫁のステレオタイプ
第5章 アメリカでの生活(スタウト・梅津和子)
 夫の家族との出会い
 ケンタッキー陸軍基地勤務
 長女の誕生
 二年ぶりに見る故郷
 アメリカ人として成長する子供たち
 牧場勤務と訪日
 日系社会での活動で気づいたこと
 海外日系人大会への参加
第6章 各地で活躍する戦争花嫁(スタウト・梅津和子)
 「こんにちは戦後派さん」より
  ○絵筆と共に(モニーズ・治子さん)
  ○おぼこと共に(バージス・久子さん)
  ○御本尊さまと共に(ピュエット・敏子さん)
  ○日本舞踊と共に(トロター・良子さん)
  ○患者に尽くす日々(ギマリオン・節子さんとダンナム・正子さん)
  ○一〇人の子供の母として(ゲーブル・斉藤タヘ子さん)
  ○陸軍基地の理容師として(ボールドウィン・ともえさん)
  ○墨絵と共に(パートムリー・メリー・静香さん)
  ○T・W・S(トランスパシフィック・ウーメンズ・ソサエティ)
  ○ペニンスラ日本婦人会
第7章 日系社会と戦争花嫁(安冨成良)
 日本社会との類似性
 日系二世と結婚した女優三浦光子
 家父長制が残存する日系コミュニティ
 日系コミュニティのもつ排他性
 ハワイの調査にみる一九五〇年代の日系社会と戦争花嫁
 一九九九年の調査にみる戦争花嫁と日系社会
 日系社会に根ざしてきている戦争花嫁
 全米日系人博物館と戦争花嫁
第8章 「日系国際結婚親睦会」の発足と歩み(スタウト・梅津和子)
 戦争花嫁渡米四〇周年記念大会の開催に向けて
 何が私を変えさせたか
 戦争花嫁渡米四〇周年記念大会の開催
 勝ち気で乗り越えた
 戦争花嫁渡米四〇周年記念大会を終えて
 「日系国際結婚親睦会」の発足
 国際結婚交流世界大会の開催
 再び皇后陛下からの励ましのお言葉
 人生最高の幸せ
 天国へのお土産
 戦争花嫁の残したもの
 日本の皆様に望むこと
 戦争花嫁は強く生きた
 戦争花嫁の余生は
あとがき(安冨成良/スタウト・梅津和子)
参考文献(安冨成良)

前書きなど

  大和花 異土に根づいて 実を結び   和子  日系国際結婚親睦会の会員の一人は、「この幸せを是非、故郷の人たちに見てもらいたい」と言った。この言葉の中に深い意味が含まれているということについては、同じ立場に生きた人でなければ納得がいかないであろう。この言葉は異国の男性と結婚し、故郷を後にして、親兄弟に心配をかけたことに対するお詫びの言葉でもある。  その昔、敵国の男を愛し、結婚にまで発展した一九五〇年代の日本の女性はアメリカに四万人から五万人いると言われている。オーストラリアには六五〇人いると言い伝えられてきた。  その私たちを「戦争花嫁」と呼び、メディアは不幸な結婚の話だけ拾って報道し、「国を捨てた女」と書いた。そうした報道を見聞きした親兄弟は迷惑し、心配を百倍に増やしたであろう。その結果、…申し訳ない…と感じ、一時は隠れた生活を送った戦争花嫁もいた。しかし…正しい人生を送ってきたのに…と心に決め、頑とした気持ちで「国際結婚の幸せ」について宣伝を始めた。その結果、今では「幸せです」と正々堂々と胸を張って暮らすようになった。  戦後六〇年近く経った今、誇りを持って「幸せです」と大声で発言している。この幸せを日本に残してきた親兄弟、そして日本の社会に、「私たちを見てください」と叫んでもいるのである。  長年にわたりこの婦人たちは異国でコツコツと社会奉仕に励み、立派な妻として、そして母として子供を育てて暮らしてきた。大げさに言えば『草の根の親善大使』の役を果たしてきたグループと言える。  歳は七〇歳を過ぎた今、「私たちは充実した人生を送ることが出来た」との満足感がある。第二の祖国の土となる決心に後悔なし。時間に余裕も出来、ますます社会奉仕に励み、日本の文化や習慣を近所の奥様方に伝えての文化交流。日本からいらっしゃるお客様たちには、長年の生活で学んだ異国の良さを宣伝し、世界の平和にも心を注ぎ、ヴァランティアで働くすがすがしい姿があちこちで見られる。  世界に散らばる五〇〇人近い会員に…よく頑張ってくれた…と感謝している。今後は健康に十分留意し、平和な余生を共に送ることを願ってやまない。  本書は第1章から第7章までは、はじめに共同執筆者の安冨成良教授が戦争花嫁の生きてきた日米のそれぞれの時代について主に歴史面から検討を加え、戦争花嫁にとってどのような時代であったかを検証し、次にその時代に生きた戦争花嫁が実際に如何に過ごしてきたのか、ということについて、私、スタウト・梅津和子が自身のライフヒストリーを辿って当時を語る、というスタイルをとっている。換言すれば私たち共同執筆者は歴史を中心とした戦争花嫁の研究書と戦争花嫁のライフヒストリーを合体させて、両面をオムニバス的に交互に織り交ぜ、研究者と当事者のコラボレーションの本となることを目指した。そして最終章の第8章ではアメリカやオーストラリアなどの各地で力強く生きてきた戦争花嫁の親睦団体である日系国際結婚親睦会の発足の経緯と活動の足跡を辿り、平均年齢が七〇歳代半ばになってきた戦争花嫁の現在の願いや現状について、同親睦会の会長である私が多くの戦争花嫁の事例を紹介しながら、詳細且つリアルに叙述した。  本著を出版することにより、歪んだネガティブなイメージを植え付けられ、時として差別・偏見を受けながらもたくましく生きてきた私たち戦争花嫁の軌跡を多くの人に知ってもらい、このことを通して読者に戦後の日本と日本人、更にアメリカ(特に日系社会)について考えてもらうきっかけにしていただければ望外の喜びである。 二〇〇四年 八月 日系国際結婚親睦会 会長 スタウト・梅津和子

著者プロフィール

安冨 成良(ヤストミ シゲヨシ)

1948年(昭和23年) 新潟県村上市に生まれる。<br>玉川大学文学部英米文学科卒業。ネバダ大学人文科学部文化人類学科卒業。埼玉大学大学院文化科学研究科国際文化専攻アメリカ研究(修士)修了。<br>現在、嘉悦大学短期大学部教授<br>[著書・論文]<br>・「生徒の国際感覚育成の為に教師は何をするのか?」『実践・英語教育体系〈全28巻〉』第3巻『教師の役割とは』共著 開隆堂 1986年<br>・『A Communicative Approach to Travel English』共著 研究社 1995年<br>・「戦争花嫁法(1947年)と日系社会」『嘉悦大学研究論集』通巻83号 2003年<br>・その他

スタウト・梅津 和子(スタウト・ウメヅ カズコ)

1932年(昭和7年)山形県西置賜郡西根村(現、長井市)に生まれる。<br>西根小学校高等科卒業後、米沢市の音羽洋裁学校で学ぶ。<br>・1951年3月逗子市のバス会社に勤務。1952年カール・スタウト衛生軍曹と知り合い、1953年11月18日横浜のアメリカ領事館で結婚の手続きをする。<br>・1954年4月に軍用船でサンフランシスコに上陸。<br>・1989年「日系国際結婚親睦会」を発足。以来現在まで同親睦会会長。<br>[著 作]<br>・「遠い異国の地で」『「戦争花嫁」:五十年を語る』 植木武編 勉誠出版 2002

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