
発行:明石書店 この版元の本一覧
A5判 176ページ 上製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-2006-9 (4-7503-2006-4) C0036
在庫僅少
奥付の初版発行年月:2004年11月 書店発売日:2004年12月04日
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言語と性差の研究は,レトリカル・ムーブメントとも呼ばれた第2波フェミニズム運動のなかで生まれた学際的な研究領域である。本書は,言語と性差研究の方向づけを示し,主要なテーマを具体的に論じた論文集である。
目次
第1章 序論/言語と性差の研究——フェミニズム言語研究の理論構築に向けて(れいのるず秋葉かつえ)
第2章 女たちによる意味の(再)生産(サリー・マコネル=ジネー(れいのるず秋葉かつえ訳))
第3章 女が医者になるとき——医者と患者に見られる権力・地位・ジェンダーの構造(キャンディス・ウエスト(灘光洋子訳))
第4章 ディスコースと辞書——性差別的意味の公認化(ポーラ・A・トライクラー(佐竹久仁子訳))
第5章 女性教授のジレンマ——女らしさか教授らしさか(エリザベス・D・クーン(熊谷滋子訳))
第6章 男と無表情と力(ジャック・W・サテル(佐竹久仁子訳))
第7章 インターネット通信——性差/性差別の構造と民主化の可能性(スーザン・C・ヘリング(永原浩行訳))
前書きなど
第1章 序論/言語と性差の研究——フェミニズム言語研究の理論構築に向けて アメリカで言語と性差の研究(〈言語と性差〉研究)という学際的な研究領域が顕著になって、25年が過ぎた。〈言語は思考内容を伝えるための無色透明な道具ではない。思考内容を形作り、変形し、理解し、表現する過程それ自体に参加するものである。言語が性差別的であれば、人はその言語に導かれて性差別的なものの考え方をし、性差別的な判断をするものである。〉こんな言語観がすっかり根付いた。「Mrs. Missを廃してMs.にせよ」とか、「chairmanをchairpersonに置き換えよ」といった表面的でたいした問題でないように見える運動を起こしながら、アメリカの第1波フェミニズム運動の女性たちは、言語と性差別の底知れない深い関係(言語学では「サピア・ウォーフ」の仮説として知られている)に気づいてもいたのだった。それを裏づける言葉がフェミニズム運動のそこかしこに記録されている。たとえば、If feminism is the final cause..., then [attention to] language is the first necessity (フェミニズムが……最後の思想運動であるならば、まず注目しなければならないのは言語である)と言ったフェミニストがいた。女性たちに共有された実感を象徴する発言である。だから、アメリカの第2波フェミニズム運動は、レトリカル・ムーヴメントと呼ばれるほど言語がらみの運動であった。〈言語と性差〉研究は、そういう社会意識状況のなかで必然的に生まれた研究領域であり、運動であり、実践である。言語変革がフェミニズム運動の大きなアジェンダであったように、〈言語と性差〉研究はフェミニズム研究の主要な部分であった。〈言語と性差〉研究とは何かを考えようとするとき、あるいは、アメリカの第2波フェミニズム運動を理解しようとするとき、このことを見落としてはならないだろう。 〈言語と性差〉研究は、学問の歴史上まれに見る勢いで加熱し、社会学、心理学、言語学、コミュニケーション学、文学など、様々な分野の研究者が様々な角度から英語の性差別性を論じ、実証的研究の成果を発表し、理論的提案を行なった。参考文献は膨大な数にのぼり、専門化した論文も次々に発表されている。既成の学問の境界をずらし、乗り越え、きり崩しながら、超学際的な理論を展開し、グローバル・フェミニズムへの可能性を探り始めてもいる。〈言語と性差〉研究は、伝統的な学問の成果を踏まえながら、差別撤廃のための変革にしっかりとつながる研究を積み重ねてきている。 この論集には1980年代から90年代前半(〈言語と性差〉研究第2—3デケイド)にアメリカで出版された論文6編を集めた。言語変革運動が主体であった70年代が終わり、〈言語と性差〉研究がフェミニズム研究として次第にあるまとまりをもつようになった時代の論文の例である。最初の2編は、〈言語と性差〉研究の枠づけ、方向づけを行なった論文で、他の4編は言語と性差研究の主要テーマを具体的に扱った論文である。(後略)
著者プロフィール
れいのるず秋葉 かつえ(レイノルズアキバ カツエ)
現在 ハワイ大学東アジア言語文学部教授
カリフォルニア大学ロサンジェルス校卒業。Ph.D. in Linguistics., UCLA
〈主な著書・論文・訳書〉
『おんなと日本語』(編著、有信堂高文社、1993年)
「ポーズ・フィラーから見た女性の話し方の変化と現状」(『女とことば』明石書店、2001年)
『言語と性』(R・レイコフ著、有信堂高文社、1985年)
『ことばは男が支配する——言語と性差』(D・スペンサー著、勁草書房、1987年)
永原 浩行(ナガハラ ヒロユキ)
カリフォルニア大学ロサンジェルス校卒業。Ph.D. in Linguistics., UCLA
〈主な論文〉
Phonological Phrasing in Japanese. 1994. UCLA Dissertations in Linguistics #5, Department of Linguistics, UCLA.
“The Symbolic Meaning of the Inscriptions on Japanese Festival Jackets,” G. Gonick著Matsuri ! Japanese Festival Artsの第6章(UCLAファウラー文化史美術館出版、2002年)
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