プロパガンダ株式会社 アメリカ文化の広告代理店
ナンシー・スノー:著, 椿 正晴:訳
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 160ページ 上製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-1963-6 (4-7503-1963-5) C0036
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奥付の初版発行年月:2004年08月 書店発売日:2004年08月20日
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紹介

好ましい米国観を「製造」し,海外に向けて「輸出」している米政府機関,合衆国情報庁(USIA)。USIAの元職員が,冷戦時代の宣伝機関から米国の通商上の利益を促進するための組織へと変貌をとげたこの機関の歴史と実態を批判的に論じる。

目次

第二版まえがき
序文(ハーバート・I・シラー)
はじめに(マイケル・パレンティ)
プロパガンダ株式会社 アメリカ文化の広告代理店
ハーバート・I・シラーの生涯とその業績——あとがきに代えて
解説(神保哲生)

前書きなど

解説  神保哲生  市民が外交の主役を演じなければ、平和も相互理解も絵に描いた餅にすぎない。  本書は一見、アメリカの対外広報を担当する政府機関USIA(合衆国情報庁)に対する内部からの批判本の様相を呈している。ところが、ところが、さにあらず。本書の主題は、筆者の長年の確信ともいうべき「市民が外交の主役とならなければ、国家間の相互理解は得られない」ことを、USIAによる外交を反面教師としながら綴っていくというものである。 (中略)  本書の中で筆者が随所に繰り出すUSIA批判は、実体験をもとにしていることもあり、小気味のよいジャブのように確実に相手の顎を捉えている。しかし、それだけならば、早い話がインサイダーによるある政府機関の批判本の域を出ることはない。また、それだけでは、本書は、外交、とりわけパブリック・ディプロマシーを学ぼうとする人にとっては有益な情報ソースとなりえようが、それ以上のものとはなりえない。  しかし、私は本書を、できる限り多くの人に読んでいただきたいという思いを、強く抱いている。それは、先にあげた小気味よいジャブのあとに、本書には最後にヘビー級のノックアウトパンチが待ち構えているからだ。実は、私自身がこのKOパンチの不意打ちを食らった一人でもあった。  スノー氏は本書の巻末に、“市民に根ざした外交のための七カ条の原則”というものを綴っている。もし、本書の前半部分を読んでいる間に、USIA批判に飽きてしまった読者の方がいたとすれば、多少真ん中を飛ばしてでも、この部分だけは何としてでも熟読していただきたい。  それは、この七つがすべて、今のアメリカ外交政策の問題点を見事なまでに炙り出しているからだ。また、この七つのポイントは、今のアメリカ、そして日本も含めそのアメリカのあり方を大なり小なり追認してしまっている現在の世界の方向性に対する、大いなる警鐘と言っていいだろう。  確かにUSIAが進めた表層的で独善的なイメージ主導のパブリック・ディプロマシーは、真の相互理解につながらないばかりか、アメリカに世界で最も嫌われる存在としての地位を与えてしまった。そして、そのUSIAを舞台に展開されたパブリック・ディプロマシー政策は、今日に至っても、アメリカ外交戦略の中に深く根ざしている。それはアメリカにとっても長期的な国益とはならないし、唯一の超大国アメリカが自らの行いを省みる心をもたないことは、国際社会にとっても由々しき事態である。  しかし、筆者の指摘の中で最も重要な点は、そこで外交政策や政府機関を批判しているだけでは、何の解決にもならないし、それこそ相互理解は生まれてこない。なぜならば筆者の考える外交のあるべき姿とは、市民が主導する外交でなければならないからだ。  筆者は、アメリカの外交が機能していない最大の理由は、単にUSIAが悪かったということではなく、他の国との相互理解を政府に任せっぱなしにして、自分たちはそれを監視することも、あるいはそれに主体的にかかわることもしてこなかった市民側にも一定の責任があったことを指摘しているのだ。そして、それを実践するためには、メディアの改革、清潔な選挙制度、企業の社会的責任などが不可欠になるとの指摘も忘れていない。  七カ条を挙げたあと「あなたの出番——さあ参加しよう」と銘打って、筆者は外交への市民参加を強く促している。彼女のUSIA批判は、実はUSIAを批判することにその最終目的があるのではなく、「あのような役所にパブリック・ディプロマシーを任せておいてはアメリカは世界中のみんなから嫌われてしまう。市民が先頭に立ちましょう」というメッセージを提示することだったのではないだろうか。  まさにこれが、私にとってはノックアウトパンチだった。

著者プロフィール

ナンシー・スノー(スノー,ナンシー)

ナンシー・スノー(Nancy Snow)<br>カリフォルニア州立大学フラートン校コミュニケーション学部助教授、南カリフォルニア大学アネンバーグ・コミュニケーション・スクール講師。9/11以後、アメリカのメディア、影響力と対外宣伝、反米主義の根本的原因についての売れっ子コメンテーターとなる。ワシントンD.C.のアメリカン大学国際サービス大学院にて博士号取得。1992年から1994年まで、文化交流の専門家、フルブライト・プログラム担当として合衆国情報庁に勤務。途中、国務省難民計画局に出向し、政府間のパイプ役となる渉外担当も務める。フルブライト奨学生としてドイツへ留学した経験があり、カリフォルニア大学バークレー校ではドイツ学術交流会(DAAD)のフェロー。近著にInformation War(2003)。

上記内容は本書刊行時のものです。

椿 正晴(ツバキ マサハル)

1958年生まれ。都立高校教諭、予備校講師を経て翻訳者となる。『エジソン——20世紀を発明した男』(三田出版会)、『相場を動かすブルの心理 ベアの心理』、『くじけない力を養う27の法則』(以上、主婦の友社)など、訳書多数。

上記内容は本書刊行時のものです。


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