
シリーズ・叢書「エリア・スタディーズ41」の本一覧
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 288ページ 並製
定価:2,000円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-1962-9 (4-7503-1962-7) C0336
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年08月 書店発売日:2004年08月31日
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日本にはなじみの薄い3国。しかし『星の王子さま』はサンテグジュペリがエルサルバドル人妻にささげた作品,ニカラグアはキューバと並ぶ高級葉巻の産地,欧米旅行者で賑わうホンジュラスのカリブ海リゾートなど,本書は魅力あふれる中米の世界へ読者を誘う。
目次
はじめに
1 エルサルバドル
第1章 人と自然——中米一人口稠密な火山国
第2章 「イサルコ火山」と「ルタ・デ・ラス・フローレス」——太平洋の灯台と花街道
第3章 アカフトラ港——スペイン征服者の最初のカリフォルニアへの基地
第4章 一九三二年の大虐殺事件——長期軍事政権発足の端緒
第5章 コーヒー共和国の誕生——少数の大富豪と大多数の極貧農民という社会
第6章 一四家族は存在するのか——大土地所有から、金融・マキラドーラ・不動産・サービスへと変わる業態
第7章 長期化した軍事政権の背景——軍部派閥型政治が生んだ激しい政権交代
第8章 内戦の一部始終——国内の三分の一を「支配」していたFMLN
第9章 急ピッチで進んだ経済再建——ドル経済、自由貿易圏、市場経済化を急ぐ新自由主義経済政策
第10章 ユサ社の軌跡——戦後最初の日本企業の進出先
第11章 ラウニオン港の「復活」なるか?——日本の援助で進む港湾開発
第12章 ホヤ・デ・セレン——新大陸のポンペイ
第13章 甦ったマヤのブルー——火山灰のなかから発見された藍の沈殿槽
第14章 『星の王子さま』の故郷——コンスエロの情熱が生んだ作品
第15章 目覚ましい美術界の動き——美術館建設とユニークな作家
第16章 伝説と文学——「泣き女」とルベン・ダリオの師
2 ホンジュラス
第17章 人と自然——ホンジュラスという国と二つの都市
第18章 強者どもが夢のあと——征服期のホンジュラス
第19章 最初のバナナ共和国——巨大アグリビジネスによる経済支配のはじまり
第20章 モラサン将軍の夢と挫折——中米連邦主義を唱えた国民的英雄
第21章 「サッカー戦争」——中米地域紛争の火種を残す
第22章 なぜか? 政治は安定している——保守的でおとなしい国民性の表れ
第23章 中米紛争では難を逃れる——武装勢力は出現せず政権も安定
第24章 不振が続く経済情勢——対米輸出に圧倒的に頼る脆弱な基盤
第25章 コパン遺跡——新大陸のアテネ
第26章 ヤシュ・クック・モの一族——コパンの王権とその支配
第27章 コパンの「再発見」——ジョン・ロイド・スティーブンスとその時代
第28章 「コパン遺跡」という名の町——遺跡とともに生きる人びと
第29章 少数民族——世界遺産になった人たちもいるけれど
第30章 バイーア諸島——カリブ海リゾートとその過去
3 ニカラグア
第31章 人と自然——町の案内と知られざる観光スポット
第32章 レオンとグラナダの抗争——歴史に根ざした深い対立の構図
第33章 ウィリアム・ウォーカー——大統領となったアメリカ人
第34章 サンディーノ将軍の抵抗運動——「私は自分を売ることもしないし、降伏もしない」
第35章 ソモサ独裁の誕生と崩壊——四二年におよぶ王朝政治の軌跡
第36章 革命政権の光と影——経済危機、内戦、国外避難の一〇年
第37章 眠る超ド級大空港の謎——社会主義国による海外援助を象徴する失敗例
第38章 レーガン大統領とコントラ——イラン・コントラ事件で窮地に立たされる政権
第39章 転換点となった一九九〇年の選挙とチャモロ政権の発足——経済と軍部の改革が最大課題
第40章 混迷する経済情勢——国際的なグローバル化が襲いかかる
第41章 ルベン・ダリオ——ニカラグアが生んだ世界の大詩人
第42章 詩人の国ニカラグア1——モデルニスム期まで
第43章 詩人の国ニカラグア2——バングアルディア運動以降
第44章 映画事情——資金難で厳しい映画人の育成
第45章 葉巻——キューバ産に追随する勢い
コラム1 中米の森林
コラム2 クラブ・カンペストレで出会った人びと
コラム3 エルサルバドルの味「ププサ」
コラム4 エミー賞を受賞した映画監督パウラ・エレディア
コラム5 サンフアン川の川くだり旅行記
コラム6 ニカラグアのモード
コラム7 ニカラグアの秘宝の逸品、ラム酒とコーヒー
参考文献案内
前書きなど
はじめに 多くの読者の皆様には、本書で紹介するエルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアの三カ国は、あまりなじみのある国ではないかもしれない。最近は老若男女を問わず、たくさんの日本人が世界中を旅するようになった。そしてかなりの秘境と思われるような、山岳地帯や島嶼諸国に、気軽に出かけるようになった。それでも、これら三カ国にまで足を運ぶ旅行者の数は、まだまだ少ないのが現実である。 中米地峡には、グアテマラやコスタリカなどのように、ある程度知られた観光資源を持つ国もある。それに比べるとこの三カ国には、従来これというアトラクションはないと思われがちであった。八〇年代の内戦時代には、むごたらしい戦争の様子や、疲弊した人びとの姿がもっぱら報道されたこともあり、どちらかというと暗いイメージが植えついてしまっているかもしれない。 しかし本書をじっくりご覧いただければおわかりのように、これら三カ国には、一度訪問した旅行者の心をつかんで離さないような、魅力が充満しているのである。それはたとえば、名所旧跡といった類のものだけではない。世界中の読者を魅了したサン・テグジュペリのベストセラー『星の王子さま』はじつは、最愛のエルサルバドル人の妻コンスエロに捧げられた作品であり、文中にはイサルコ火山を髣髴とさせる山が登場すること。ニカラグアは世界でも指折りの葉巻生産国であり、その品質はキューバ産と肩を並べること。あるいは日本ではほとんど紹介されていない、ホンジュラスのカリブ海側のバイーア諸島の観光地としての魅力、などなど。 加えてエルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアは中米紛争と呼ばれた地域紛争の戦場となったが、今日こうした国々の人びとは懸命に和平後の復興に取り組んでいる。読者の方々には本書をとおして、そうした姿をぜひ知ってもらいたいと願っている。(後略)
著者プロフィール
田中 高(タナカ タカシ)
中部大学国際関係学部教授<br>1983年から85年、在ホンジュラス、エルサルバドル国連開発計画(UNDP)事務所プログラムオフィサー。85年から87年、在ニカラグア日本大使館専門調査員。四日市大学を経て現職。<br>【主要著書】<br>『中米・カリブ危機の構図』(共著 有斐閣 1987年)<br>『日本紡績業の中米進出』(古今書院 1997年)<br>『ラテンアメリカ経済史』(共訳 ビクター・バルマー=トーマス著 名古屋大学出版会 2001年)<br>『内戦後の平和構築をいかに進めるか——エルサルバドルの事例研究』(国際協力機構 国際協力総合研修所2004年)
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