現代イランの宗教論争イスラームとジェンダー
ズィーバー・ミール=ホセイニー, 山岸 智子:監訳, 中西 久枝:訳, 稲山 円:訳, 木村 洋子:訳, 後藤 絵美:訳, 小林 歩:訳, 斉藤 正道:訳, 嶋尾 孔仁子:訳, 貫井 万里:訳
発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 672ページ 上製
定価:4,500円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-1934-6(4-7503-1934-1)
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年06月
書店発売日:2004年06月22日
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紹介

イランのイスラーム法学最高学府コムで,法学者や知識人たちと女性観や法規定について議論した記録。在英研究者でイラン人女性の著者が,伝統法学派から新思想まで,多様なイスラームの女性解釈の世界を示し,新たなイスラーム・フェミニズムの可能性を探る。

目次

表記について
日本語版へのまえがき
一九九九年版へのまえがき

序章  イスラームにおけるジェンダー——明確化の必要性
第1部 伝統主義者 ジェンダー不平等論
序文
第1章 無視された女性——大アーヤトッラー・マダニー
第2章 政治化された女性——アーヤトッラー・アーザリー=コンミー
第2部 新伝統主義者 ジェンダー均衡論
序文
第3章 表象された女性——『パヤーメ・ザン』との討議
第4章 平等か、均衡か——シャリーアにおけるジェンダー概念の再定義
第5章 再考された女性——アーヤトッラー・ユーセフ・サーネイー
第6章 差異をめぐる合意——『パヤーメ・ザン』との最後の会合
第3部 近代主義者 ジェンダー平等に向けて
序文
第7章 挑戦と共犯——アブドルキャリーム・ソルーシュとジェンダー
第8章 ジェンダー平等とイスラーム法学——ホッジャトルイスラーム・サイードザーデの著作
結論

用語解説
訳者解題
日本語文献案内
文献案内
参考文献
人名索引
事項索引

前書きなど

訳者解題  二〇〇三年一〇月、シーリーン・エバーディーがノーベル平和賞を受賞するという報に接した。ちょうど本書の訳文の読み通しをして修正や語句統一の作業をしていたところで、驚きつつも、今まで苦手に思って避けてきたイランのジェンダー言説に取り組んだのはやはり世界的な趨勢に合致していたのだ、という確信を得られて嬉しく思った。(なお本書ではエバーディーは批判の対象として登場しているので、少し複雑な気分もあるが。)  本書は、イギリスの大学で人類学を修めたイラン人女性研究者が、敢然とイスラーム法学の牙城に乗り込んで女性に対する見解を問い質す、という野心的な試みの記録である。イスラーム法学をめぐる議論はかなり難解で、この本を一読してたやすくこの内容を理解できたという人がいるなら行ってひれ伏したいぐらい、正直に言って、厄介な本である。しかし決して容易ではない監訳をひきうけ、二年間も原著や訳文と格闘したのは、本書が類を見ない傑作であるからだ。イスラームと「女性」をテーマとした本は今や決して少なくないが、これほど率直で密な「対話」を通して問題の重層性や幅広さを明らかにした著作はない。  ミール=ホセイニー女史がイスラーム法学の世界に「体当たり」で挑戦している様子を読んでいると、つい苦笑したくなる。彼女が途方にくれたり、プリプリ怒ったり、そうかと思うと急に同情的になったりする様子、そして彼女に対応している法学者の側でも、法学者の「お作法」に通じていない時としてあまりに単刀直入な質問に目を白黒させている様子を想像すると、また別の意味でケッサクな本である。  著者がキム・ロンジノットと共同制作したドキュメンタリー『イラン式離婚狂想曲』は一九九九年山形映画祭批評家賞を受賞している。そのドキュメンタリーはイランの女性たちが自分たちの運命を切り開くべく家庭裁判所でしたたかに交渉する姿をとらえてヒューマン・ドラマとして感動を与え、さらにチャードルで一方的に抑圧されているばかり、といった受動的なイラン人女性のイメージを打破することに成功している。そうしたフェミニストとしての著者の姿勢は本書でも貫かれており、女性についてのイスラーム法学の所見が動態的かつ多様であることを示し、イスラーム・フェミニズムの可能性を示唆しているところに、大きな意味がある。(後略)

著者プロフィール

ズィーバー・ミール=ホセイニー(ミール=ホセイニー,ズィーバー)

ズィーバー・ミール=ホセイニー(Ziba Mir-Hosseini)<br>社会人類学者。フリーの研究者、コンサルタントとして活躍。著書に『試される結婚——イランとモロッコにおけるイスラーム家族法の研究』がある。テヘランでドキュメンタリー映画「イラン式離婚狂想曲」の制作にも携わる。

山岸 智子(ヤマギシ トモコ)

東京大学卒、東京大学大学院博士課程修了。学術博士。東京大学助手を経て現在は明治大学政治経済学部助教授。イラン地域研究、文化論が専門。著書に『イスラーム世界がよくわかるQ&A100』(亜紀書房)ほか。

中西 久枝(ナカニシ ヒサエ)

大阪外国語大学卒、カリフォルニア大学ロサンゼルス校歴史学研究科博士課程修了(Ph.D)。現在、名古屋大学大学院国際開発研究科教授。中東をめぐる国際政治、ジェンダーと開発が専門。著書に『イスラームとモダニティ』(風媒社、2002年)、『国際政治の行方』(共著、ナカニシヤ出版、2004年)ほか。

稲山 円(イナヤマ マドカ)

国際基督教大学教養学部卒。東京外国語大学大学院博士課程後期在学中。イラン地域研究・人類学が専門。

木村 洋子(キムラ ヨウコ)

東京外国語大学博士前期課程修了。現在カリフォルニア州立大学ノースリッジ校社会学部修士課程在学中。イランのジェンダー研究が専門。

後藤 絵美(ゴトウ エミ)

東京外国語大学卒、東京大学大学院博士課程在籍。現在はエジプトのカイロ・アメリカン大学に留学中。イスラーム文化史、とくにヴェールの歴史について取り組む。論文に『クルアーンとヴェール——啓示の背景とその解釈について』(『日本中東学会年報』19−1)がある。

小林 歩(コバヤシ アユミ)

東京外国語大学大学院博士課程後期在学中。イラン地域研究が専門。

斉藤 正道(サイトウ マサミチ)

東京外国語大学大学院博士後期課程在学中。論文に「アーレ・アフマドの『西洋かぶれ』における「西洋」の位置」(『イスラム世界』第62号)がある。

嶋尾 孔仁子(シマオ クニコ)

大阪外国語大学大学院博士前期課程修了。在イラン日本国大使館専門調査員、外務省国際情報局分析第二課専門分析員を経験。中東地域研究、イラン現代政治が専門。論文に「イランの中央政治機構に関する動態的分析」(『中東研究』479号)などがある。

貫井 万里(ヌキイ マリ)

慶應義塾大学修士課程修了。在イラン日本国大使館専門調査員を経て、イースタン・ミシガン大学社会学研究科在籍。イラン近現代史、社会運動が専門。論文に「モサッデク政権期におけるテヘランのバーザール勢力の役割——ティール月30日(1952年7月21日)蜂起を中心として」(『日本中東学会年報』18−1)がある。

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