
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 272ページ 上製
定価:2,500円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-1912-4 (4-7503-1912-0)
品切・重版未定
奥付の初版発行年月:2004年05月 書店発売日:2004年05月08日
あらかじめご了承下さい。
紹介
このまま平和憲法が改正されてしまえば,自衛隊員だけではなく,国民すべてが「お国のために死んでこい」と言われる世の中に逆戻りしてしまう。つくりだす平和のために「平和憲法改正案」を題材にしてQA形式で「獲得する平和」について考えていく。
目次
はしがき
序 章 「希望する平和」から「獲得する平和」への転換
平和憲法は思想を持っていない/日本人が平和憲法を受け入れたのは戦争体験があったから/戦争体験と平和憲法の地盤沈下/「希望する平和」から「獲得する平和」への転換
第1章 日本人は今なら近代憲法を作れるか
近代憲法の憲法原理/外見的立憲主義/体裁を整えることを目的とした憲法/国民の背丈にあった憲法/日本国民の成長はあまりにも遅すぎた/「押しつけ憲法」/「天皇は至尊にして侵すべからず」で済ます感覚/日本人は今なら自力で「近代」憲法を作れるか
第2章 獲得する平和
(1)平和を「近代化」の歴史の中に位置づけることができないか
近代化の要素 /「近代化の完成」を目指そう
(2)階級では「民衆の解放」を表すことができない
(3)民衆の解放は基本的人権で表される
市民革命期の民衆の解放を表すものさしは基本的人権だった/人権は階級を超える/「第一の革命」——自由権的基本権獲得を中心とした革命/「第二の革命」——生存権的基本権獲得を中心とした革命/冷戦は「第二の革命」を主軸にした対立であった/「第三の革命」——新たなる民衆の解放の必要/「平和のための革命」
第3章 基本的人権はどうして基本的人権として認められるかを考えよう
(1)第1章は人権宣言でなくてはならない
(2)人間の尊厳と基本的人権
基本的人権の根拠/「公理」としての人間の尊厳/基本的人権の定義と原則/人間を起点にした人権の分類/精神的人権/経済的人権/身体的人権/平等権とその他の基本的人権
第4章 戦争体験を憲法の中に謳おう
日本国憲法はまだ平和を基本的人権として承認してはいない/平和を基本的人権で語ることができるようになった/「平和権」と「民衆の非武装権」/戦争体験を基本的人権で語りなおそう/平和のスケジュールを作ろう
第5章 国民が主権者で天皇が象徴であることを確認しよう
国民主権は定着するか/危険水域に達した「半封建国家」「ファシズム国家」への回帰/「日の丸」と『君が代』は少し異なる/天皇は国民に忠誠を要求できるか/国民主権の社会契約/「臣○○」の戦争責任/新しい国歌を制定しよう/国旗・国歌は強制されてはならない
第6章 「戦争ができる国家」はこれまでの社会契約を更新できるか
(1)現代の「戦争ができる国家」は国民に忠誠を求めることができるか?
「戦争ができる国家」と国民との社会契約/現代の「戦争ができる国家」は国民に忠誠を求めることができるか?/近代戦——国民に「生き疑獄」を強いる戦争/総力戦——すべての国民が手段にされ、犠牲にされる戦争/「平和のための革命」は「新社会契約説」を必要とする
(2)国家のすべきこと、してはならないことは何か
基本的人権は本来社会が保障すべきものである/国家とその役割/「戦争ができる国家」はやはりアンシャン・レジームである/社会的権限の再配分
(3)「反徴兵法」制定運動
解釈改憲に対する「巻き返し」/「反徴兵法」の制定は日本国憲法の現在における解釈を確定させる/「普通の国」は「徴兵制度を持つ国」を意味する
(4)有権者総数の過半数の賛成で改正できる憲法にならないか
第7章 日本国民が行うべき国際貢献
(1)欧米人に対する劣等感・アジア人に対する優越感の思考パターン
自虐史観?/「一等国」の思考パターンとアジアの解放/もう「一等国」の「誇り」はいらない/欧米人に対する劣等感・アジア人に対する優越感の思考パターンから脱却しよう
(2)「同時多発テロ」と「新たなる変革の時代」
「ありとあらゆる兵器を手にした人間」の国境を越えた「万人の万人に対する戦争」状態/「テロとの戦争」と「自爆テロ」/「第一の革命」と「第二の改革」に関係する戦争/「テロとの戦争」は国境を越えた「万人の万人に対する戦争」を促進する可能性を持つ/パレスチナ問題とアメリカ民主主義の独善性/世界的「リヴァイアサン」/九・一一事件は「第三の革命」の必要性をも提起した
(3)日本国民はどのような国際貢献を行うべきか
「テロとの戦争」に加担してはならない/「新たなる「変革の時代」を創り出そう
あとがき
日本国憲法改正案
前書きなど
平和憲法が改正される日が近づいています。有事法が成立し、自衛隊のイラク派遣が実現してしまった以上、今度は平和憲法そのものが問題になることは確実です。しかも、新聞報道によると、自民・民主両党の議員のうち大多数は改憲論者です。——となると、私たちはその憲法改正に対する準備を始めなくてはなりません。 「憲法改正に対する準備」とは妙な言い方ですが、まず最初に、改正されるであろうその憲法に、私たちが今現在求めている平和の内容の何を、どれだけ盛り込もうとするかの準備を始めなくてはなりません。そして、もし改正後の憲法に私たちの求める平和が何も盛り込めなかったとしたら、——日本が完全に「普通の国」になってしまった状態です——その後私たちは何を根拠に平和を求め続けていくかの問題も考え始めなくてはならないでしょう。後者の問題は、言ってみれば、平和運動の「論拠づくり」の問題であり、平和憲法が改正されても平和運動を行い続けるための準備です。 そこで私は、自分なりの憲法改正案の中に、私たちが今現在求めている平和の内容を盛り込み、またこれからの平和運動の論拠を盛り込もうと考えたのですが、当然のことながら、私の考え方のすべてを改正案の中に書き込むことは困難です。特にこれからの「平和運動の論拠」に関しては、憲法の条文だけでそのすべてを示すことは不可能です。私たちは平和に対する考え方を変えていかなくてはならず、その考え方の変化が結果として憲法の条文に示されることになるからです。そこで、この本では私の作った憲法改正案を題材にしながら、平和に対する新しい考え方をも示していきたいと思います。 昨年私は、若い世代を対象に、明石書店から『どんな日本をつくるのか』『どんな世界を構想するのか』という二冊の本を出版しました。若い世代を対象にしたのは、私たち「戦争を知らない“元”子供たち」(=戦争を知らない戦後生まれの大人たち)の役割は「戦争を知っている大人たち」の戦争体験やファシズム体験を「思想化」して継承し、その思想を若い世代に引き継ぐことにあると考えたからです。しかし、いくら若い世代の皆さんに時間的余裕があるといっても、二冊の本を読むというのは大変すぎるに違いありません。しかも、お金がかかりすぎます。もっと短く! もっと安く! そこで、私は、憲法問題を考えながらも、この本を読めば『どんな日本をつくるのか』『どんな世界を構想するのか』のポイントだけは理解できるようにと考えて、言ってみればこの二冊の本のダイジェスト版を意図しました。そうすることで、「戦争を知らない“元”子供たち」の役割を少しでも果たしたいと考えたのです(ですから、もう少し幅広く考えたいという方がおられたとしたら、やはりその二冊の本をお読み下さい)。 この本も、若い世代の皆さんを対象にして書きました。憲法改正は、主権者である国民が総意を結集して行わなくてはなりません。そして、その国民には、当然のことながら若い世代の皆さんも含まれます。いや、憲法改正は、若い世代の皆さんこそが中心になって行わなくてはなりません。これからの日本の担い手はもう私たちではなく、若い世代の皆さんだからです。そして、その若い世代の日本人が、これからの世界を変えていくのです。この本の中に示される平和憲法改正案は、「戦争を知らない“元”子供たち」である私の作った私案です。しかし、この私案を利用して、若い世代の皆さんがどんどん憲法改正私案を作っていって欲しいと思います。そして、どうか皆さんがこれからの日本と世界の歴史を変えていって欲しいと考えています。
著者プロフィール
川本 兼(カワモト カネル)
1948年石川県金沢市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。
著書に『平和史を築くための理論』(自費出版)、『平和のための革命』(アイキ出版社)——以上2冊は美麻兼のペンネームで著述。『国家は戦争をおこなっていいのだろうか』『平和権』『国民主権に耐えられるか』(すずさわ書店)、『どんな日本をつくるのか』(明石書店)
最新刊に『どんな世界を構想するのか』(明石書店)など。
現在、神奈川県の公立高校に勤務するかたわら、研究活動に従事している。
日本平和学会会員。
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