発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 424ページ 上製
定価:4,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-1862-2(4-7503-1862-0)
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年03月
書店発売日:2004年04月03日
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ユダヤ研究において最も包括的で権威のある事典資料,『エンサイクロペディア・ジュダイカ』の関連事項を編集した原書の邦訳。
目次
本文の構成と執筆者
序
第1部 オスマントルコ時代(〜一九一七)
第1章 オスマントルコの支配
ユダヤ人社会の状況/第一アリヤ/トルコ政府の移民制限策/新旧ユダヤ人社会の摩擦/第二アリヤの始まり/浮上した労働問題と自衛問題/新しい文化の創造/アラブ民族主義の覚醒/第一次大戦とユダヤ人社会/戦時下の反ユダヤ政策
第2章 国際紛争下のパレスチナ
アカバ事件とシナイの境界/サイクス・ピコ協定とマクマホン書簡/強まる英仏の介入とシオニストの立場
第2部 イギリス時代
第1章 バルフォア宣言
イギリスの対中東政策とシオニスト運動
第2章 英委任統治領パレスチナ(一九一七〜一九四八)
アラブ民族主義者の煽動/初代長官サムエルの着任とユダヤ人社会/チャーチル白書/第三アリヤ/第四アリヤ/経済危機とその回復/風雲急をつげるパレスチナ情勢/第五アリヤの時代/農工業の開発/ユダヤ人社会の変貌と問題/先鋭化するアラブ民族主義運動/アラブの反乱/浮上したパレスチナ分割案/イギリスの変心と一九三九年白書
第3章 英委任統治領パレスチナの崩壊(一九四〇〜四八)
第二次大戦下のパレスチナユダヤ人社会/戦時下イギリスのエシュブ弾圧/エシュブの対英協力/再び悪化した関係/戦後の失望/反英独立闘争と弾圧/国連パレスチナ分割を決議/戦闘勃発/独立に向けて
資料
資料A パレスチナ委任統治
資料B パレスチナ問題調査団
資料C 白書
資料D パレスチナ分割計画
第3部 イスラエルの独立(一九四八〜)
第1章 独立宣言
資料
イスラエル国建国宣言(全文)
第2章 英委任統治体制の終了と米ソの国家承認
アラブ正規軍の侵攻/国家体制の整備/戦闘再発/調停工作と国内状況/最後の戦闘/第一回総選挙と政情/休戦協定の成立と国連加盟/休戦協定の骨子/国連の調停と支援
第3章 紛争下の国土建設
離散の民の帰還集合/経済、社会問題/海外からの援助/西ドイツの補償/境界周辺の戦い/シナイ作戦とその余波/クハル・カシム事件/進む国土建設/アラブ系住民の環境/経済発展と政界の集合離散/宗教と世俗の相克/アイヒマン裁判/教育/イスラエルとディアスポラ/外交関係/六日戦争とその余波/戦後の管理地区行政/六日戦争前後のディアスポラ/戦後の対アラブ政策/安保理決議二四二をめぐって/アラブの態度/イスラエルの立場/PELPの暗躍/消耗戦争/猖獗するテロリズム/再び宗教問題/在ソ・ユダヤ人のイスラエル移住/正常化する管理地区の生活/管理地区対策/高まるインフレ傾向/ヨムキプール戦争
第4章 外交政策と国際関係
外交政策——イスラエルと国連/中東和平/休戦協定の問題/境界/エルサレム/アラブ難民問題/アラブの経済ボイコット、海上封鎖/国際関係/東欧との関係/アメリカ合衆国/西欧との関係/英連邦との関係/ラテンアメリカとの関係/アジア関係/中東/ブラックアフリカ/国連
第5章 イスラエルの国際協力
イスラエルの考える開発協力/プログラムの特徴
第4部 境界
第1章 委任統治領パレスチナ
南部域/北部域/東部域
第2章 パレスチナの分割
分割案
第3章 休戦ライン
第4章 停戦ラインとその変遷
一九六七年の停戦ライン/ヨムキプール戦争後の境界
第5章 戦争から平和へ(一九七五〜二〇〇〇)
サダトのエルサレム訪問/レバノン戦争とヒズボラの登場/対シリア関係/イスラエル・ヨルダンの国交正常化/パレスチナ人問題とテロリズム
現代イスラエル史 年表
用語解説
訳者あとがき
索引
前書きなど
訳者あとがき 建国運動が始まって一二〇年、離散の民は父祖の地をめざし、イスラエルに住むユダヤ人の割合は、一九八〇年で二五%、九〇年三〇%となり、今や全体の三分の一を上廻る三八%となった。八九年末に始まる旧ソ連からのユダヤ人移住は二〇〇〇年に入って一〇〇万の大台を突破し、イスラエルの文化を豊かにすると共に、ハイテク産業の発展に貢献した。 イスラエルは、中東のシリコンバレーといわれるようにハイテク産業が盛んであり、工業製品輸出の主力を占めるまでに成長した。義務教育は事実上一三年間となり、イスラエルは世界有数の教育立国で知られ、一二万の学生が学ぶ七つの高等教育機関から、毎年才能豊かな新人が社会へ出ていく。イスラエルは人材に不足せず、開発能力からいえば世界の五指に入る。経済はインフレ傾向が強かったが、遂に一九八四年に年率四五〇%のハイパーインフレへ突入した。ヒスタドルート(労組)、生産者連盟及び政府の三者協定によるパッケージ政策が功を奏し、二〇〇〇年代には数%のレベルになっている。国内総生産(GDP)は、八〇年二三二億ドル、九〇年五九二億ドル、〇一年一一一八億ドルと、近年はほぼ一〇年で倍増し、国民一人当りGDPからみると(一万八〇〇〇ドル強)、ヨーロッパの中型国家並みとなった。 民度を示すひとつの尺度として、アラブ系国民を含めた平均寿命をとってみれば、二〇〇〇年現在で女性八〇・九歳、男性七六・七歳である。日本と比べれば低いが、六〇歳台で低迷する中東・北アフリカ諸国では、群を抜く。 飛行機で上空からみると、広漠たる黄褐色の大地にポツンと緑の小島がみえる、そこがイスラエルとよく言われたものである。それは、高度の灌漑技術による緑化事業の成果であると共に、中世時代をひきずり、独裁者が幅をきかせ、強権主義、縁故主義がはびこる中東にあって、そこだけが西側の民主々義が根づいていることを示す。見方を変えれば、アラブの海に孤絶するユダヤの小島でもある。 その小島は存在権を認められず、攻撃にさらされてきたので、武張らざるを得なかった。しかし、エジプト、ヨルダン等が存在権を認め、環境は変ってきた。一九六〇年代からみると、まさに状況一変である。 一九九〇〜九一年時の湾岸戦争で、自己のクウェイト侵略をアラブ・イスラエル紛争に変質させようとして、イラクは戦争に関係のないイスラエルへミサイル三九発を打ちこんだ。イスラエルは死傷者二二一名をだし、全壊を含む建物一三〇二棟、公共施設二三棟、アパート六一四二ユニットが被害をうけ、自動車五〇両が破壊され、一六四四家族が疎開するなど、大きな損害をこうむった。しかしイスラエルは反撃しなかった。その年の秋マドリードに始まる中東和平プロセスは、その我慢の賜物といえるかも知れない。しかし、中東和平プロセスはテロによって中断し、崩壊の危機にさらされたが、回復させる以外に選択肢はない。二〇世紀はユダヤ人国家の再建と離散民の集合、吸収の時代であったが、二一世紀の国家目標は隣人達との平和共存を確立することにある。
著者プロフィール
ウリ・ラーナン(ラーナン,ウリ)
タフツ大学国際政治学教授
滝川 義人(タキガワ ヨシト)
長崎県出身。早稲田大学卒業。ユダヤ、中東研究者。主要著書に『ユダヤ解読のキーワード』、『ユダヤを知る事典』、『ユダヤ社会のしくみ』、訳書にザハル著『ユダヤ人の歴史』、ヘルツォーク著『図解中東戦争』、ギルバート編『ホロコースト歴史地図』、オローリン編『地政学事典』、ヴィストリヒ編『ナチス時代ドイツ人名事典』など多数。
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