東南アジアのNGOとジェンダー
田村 慶子:編著, 織田 由紀子:編著
発行:明石書店
この版元の本一覧
四六判 280ページ 上製
定価:3,000円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-1861-5(4-7503-1861-2) C0036
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年02月
書店発売日:2004年02月27日
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紹介

国家の政策形成にジェンダー視点を取り入れるためNGOはどのような活動を展開しているのか。アジア太平洋,マレーシア,シンガポール,フィリピン,インドネシアでのフィールドワークをとおして,躍動するNGOの実像を浮き彫りにする。

目次

序章 ジェンダーの主流化とは  織田由紀子  
 はじめに
 1 ジェンダーの主流化の定義
 2 ジェンダーの主流化の成立と定着
 3 ジェンダーの主流化も女性の主流化も
 4 ジェンダー主流化の実施
 まとめと本書の構成

第1章 ジェンダーの主流化に向けた国際社会の取り組み  望月康恵  
 はじめに
 1 国連の取り組み
 2 アジア太平洋におけるジェンダーの主流化の動きと取り組み
 おわりに
 コラム APECについて

第2章 マレーシアのNGOとジェンダーの主流化——エスニックな分断を超えて  田村慶子
 はじめに
 1 政府の女性政策とマレーシア女性の地位の変化(一九九〇年代後半まで)
 2 女性NGOとネットワークの構築
 3 ジェンダー主流化に向けて
 おわりに
 コラム シスターズ・イン・イスラム(Sisters in Islam: SIS)

第3章 シンガポールにおけるジェンダーの主流化とNGO——メリトクラシーの厚い壁  田村慶子
 はじめに
 1 メリトクラシーの社会における女性の地位
 2 女性NGOの結成と活動——AWAREを中心に
 3 PAP女性部の(再)結成と活動
 おわりに——ジェンダー主流化が意味するもの
 コラム 人民行動党女性部(Women's Wing of People's Action Party)

第4章 NGO活動における少数民族とジェンダー——少数民族はジェンダーに敏感でないのか  森谷裕美子
 はじめに
 1 NGOとジェンダー
 2 パラワン島のNGO
 3 少数民族はジェンダーに敏感でないのか
 おわりに
 コラム フィリピン女性役割委員会(NCRFW)を訪ねて

第5章 インドネシアの女性運動とジェンダーの主流化——女性NGOの果たした役割  大形里美
 はじめに
 1 インドネシアの女性運動の流れ
 2 新しい女性運動としての女性NGO(「プルンプアン組織」)
 3 スハルト政権の崩壊と政府の女性政策の転換
 4 ポスト・スハルト期の新たな変化
 おわりに
 コラム イスラーム系女性NGO活動家マスルハ(Masruchah)氏

第6章 アジアの地域女性NGOはジェンダーの主流化をどう進めてきたか  織田由紀子  
 はじめに
 1 東南アジアの地域横断的女性NGO
 2 地域女性NGOはジェンダーの主流化の推進にどう関わってきたか
 おわりに——地域横断的女性NGOのジェンダーの主流化における役割
 コラム 主なアジア太平洋地域横断的女性NGO

おわりに

前書きなど

おわりに  本書は、二〇〇一〜二〇〇二年(平成一三〜一四年)度科学研究費補助金〔基盤研究(C)(1)〕「NGOはジェンダーの主流化の進展にどのような役割を果たしているか——東南アジアを中心に」の研究成果である。このような研究をすることになったのは、編者の一人である織田由紀子(財)アジア女性研究・交流フォーラム主任研究員の積極的な呼びかけがきっかけであった。たまたま北九州市という小さな地方都市の学術機関、研究機関に所属しているものの、ほとんど互いに交流のなかった私たち五人は、研究会や調査準備などのために集まり、互いの研究成果を紹介し合い、知的な刺激を与え合った。また、東南アジアのNGOや国際機関、研究機関を訪問して、関係者や研究者にインタビューしたり、資料を収集する機会を通して、おのおのの専門性をいかしながら補完関係を築くことの利点も共有できたと思う。その意味で、本当に楽しい二年間だった。  東南アジアのNGOとはいっても、国によって状況は異なる。タイやフィリピンでは言論の自由はかなり保障され、NGO活動は活発であるのみならず、国際的なNGOネットワークの中心的な位置を占めるNGOも多い。さらに、フィリピンのNGOは、国家開発のパートナーとして政府に協力して確固たる地位を築いている。一方、マレーシアやシンガポールのNGOは政府の厳しい管理と規制の下にあり、活動は低調である。インドネシアの場合は一九九八年の政変以降民主化が急速に進むなかで、小さなNGOが次々と生まれ、国内外に少しずつネットワークを広げつつある。  このように状況は異なるものの、進展する開発の問題点を指摘し、犠牲となる民衆の声を国内外に発信するNGOの役割はどの国も大きい。同様に、家父長主義的な政府の下で「妻として母として」の役割を期待され、かつ国家の発展を担う労働者であることも期待される女性たちの苦悩を伝え、彼女らのエンパワーメントに果たすNGOの役割もまた重要である。さらに、ASEANという東南アジア全域を網羅する地域協力機構は「内政不干渉」の原則ゆえに機構として加盟国の人権や、環境、ジェンダーを具体的な政策アジェンダに入れることはほとんどないから、東南アジア全体の民主化においても国際的ネットワークを有するNGOが果たす役割は大きいだろう。  私たちのささやかな研究成果である本書が、東南アジアの開発とNGO活動やジェンダー問題に興味ある読者にとって魅力あるものとなれば、幸いである。(後略)

著者プロフィール

田村 慶子(タムラ ケイコ)

北九州市立大学法学部政策科学科教授(国際関係論、東南アジア地域研究)<br>国際関係学(修士)、法学(博士)<br>keikott@kitakyu-u.ac.jp<br>[主要著書]<br>『アジア中間層の生成と特質』(共著)アジア経済研究所、2002年<br>『シンガポールを知るための60章』(編著)明石書店、2001年<br>『アジアの大都市シリーズ3 クアラルンプル・シンガポール編』(共著)日本評論社、2000年<br>『シンガポールの国家建設──ナショナリズム、エスニシティ、ジェンダー』明石書店、2000年<br>『アジアの社会変動とジェンダー』(共編著)明石書店、1999年<br>

織田 由紀子(オダ ユキコ)

(財)アジア女性交流・研究フォーラム主任研究員、国際開発(修士)、ジェンダーと開発、環境<br>oda@kfaw.or.jp<br>[主要著書]<br>「ジェンダーの視点からみた「実施計画」」(『環境研究』128号、2003年)<br>「ジェンダーと開発(GAD)」から見た教育」(江原裕美編著『内発的発展と教育』新評論、2003年)<br>「フィリピンの公教育におけるジェンダーと女性政策」(『国際教育協力論集』第3巻第2号、2000年)<br>「アジアの農村女性——パキスタン農村の綿摘み女性労働者」(田村慶子・篠崎正美編著『アジアの社会変動とジェンダー』明石書店、1999年)

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