チョムスキー入門
ジョン・C.マーハ:文, ジュディ・グローヴス:イラスト, 芦村 京:訳
発行:明石書店
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A5判 200ページ 並製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN978-4-7503-1858-5(4-7503-1858-2)
在庫あり
奥付の初版発行年月:2004年02月
書店発売日:2004年02月17日
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紹介

ラディカルな政治発言を繰り出す「活動する知識人」と,「生成文法」で知られる言語学者。チョムスキーのこの二面性について,本人が行った分かりやすい説明を,さらに著者二人が解説文とイラストで補完。“二人”のチョムスキーを架橋する画期的な入門書。

目次

1 言語学者としてのチョムスキー
  存在と言語
  言語とコミュニケーション
  E-言語とI-言語
  ソシュールは?
  ガリレオ式の方法
  心的器官としての言語
  プラトンの問題
  言語は学習されない。言語は育つもの
  言語知識とは何か?
  それでは、言語学とは何か?
  「私はOK、*あなたはじゃないOKしかし」
  深層構造、表層構造
  普遍文法
  科学理論についての理論?
  1980年代のミニマリズム
  原理とパラメータ
  言語を説明する

2 社会評論家としてのチョムスキー
  社会的良識の起源
  バベルの塔
  チョムスキーが自由至上主義から受け継いでいるもの
  アメリカン・パラドックス
  階級と貧困
  誰が謝罪すべきか?
  腐ったリンゴ理論
  犯人は誰か?
  政治委員と専門ゲーム

チョムスキーを知るための基本用語
解説◎田中克彦

前書きなど

解説 チョムスキーの魔術 田中克彦  チョムスキーという名は、アメリカがベトナムを空爆した頃、すなわち、1965年ごろから、世界の知識人たちの間に広く、しかも衝撃をもって知られはじめた。チョムスキーは、アメリカの犯罪的軍事行動を果敢に批判したのみならず、みずから北爆反対のデモ行進に加わって、ノーマン・メイラーとともに逮捕されたなどというニュースが伝えられるに及び、ますます人々の関心は深まった。  人々のおどろきの理由というのは、かれが一方においては言語学者で、しかもそれまでの言語学がしがみついていた、さまざまな原則をことごとく突き崩した、学問においても革命家だという点にあった。  こういうわけで、すでによく知られていたチョムスキーだったが、その知名の度あいが最高潮に達したのは、ニューヨークなどが急襲された2001年の9・11事件をきっかけにしてである。かれのような人は、いまや、社会正義を主張し実行する知識人として期待される、最も顕著な典型となった。  このことは、チョムスキー本人としてはむしろ意外であったかもしれないが、一般の人々にとっては、さらに意外であったにちがいない。しかし、その意外に思った方向は全く逆であった。  人々はなぜチョムスキーの政治批判が意外であったのか、それは、こうした批判や行動の実行人が、ほかでもない言語学者だったからである。かれの言行は、従来思い描かれていた言語学者という像に全くそぐわぬものであった。  チョムスキーのような発言が、政治学者か、そうでなくとも、社会評論家だの作家だのの中から現れたのだったら、人々はそれほど驚きを感じなかったであろう。  言語学、あるいは言語学者ということばから人々が連想するイメージといえば、その学問もそれに従事する人もすこぶる没社会的で、政治などには無関心であることを想像するのみならず、またそのように期待していたのである。  たとえば、あるとき、言語学科に学ぶ学生が、学生運動やデモに参加すると、そこの教授は、政治などに気をとられないで、学業に専念しなさいとさとしたという話をよく聞いた。すなわち、専門的な研究と政治活動は相反するものだとする通念がひろく受けいれられていたことを示している。  それは、言語学者だけではない。一般の知識人だってそうなのだから、あんたは言語学者であって政治のことはよくわからないはずだから、口を出さないでほしいと、とくに日本ではそういうふうになっている。  ところがチョムスキーの発言には、よく行きとどいた資料の裏づけがあったから、これは、しろうとの思いつきではないなと世間が思いはじめたのである。専門の枠の中におとなしくおさまっているべきだとのモラルで自らをしばりつけている人たちには、チョムスキーは魔術師のように見えたであろう。あとで述べるように、社会や政治の問題について専門家としろうとを分けることは、チョムスキーが最も強く反対するところである。(後略)

著者プロフィール

ジョン・C.マーハ(マーハ,ジョン・C.)

ジョン・C.マーハ(John C. Maher)<br>イギリス・リーズ生まれ。イギリスとアイルランドの国籍を持つ。ロンドン大学、ミシガン大学、エディンバラ大学で哲学および言語学を研究。現在、国際基督教大学言語学教授、同大学院教育学研究科長。著書に、『新しい日本観・世界観に向かって——日本における言語と文化の多様性』(共著、国際書院)、『日本のバイリンガリズム』(共著、研究社)、Diversity in Japanese Culture and Language (共著 Kegan Paul)、Multilingual Japan (共著 Multilingual Matters)、International Medical Communication in English (University of MichiganPress)など。<br>

ジュディ・グローヴス(グローヴス,ジュディ)

ジュディ・グローヴス(Judy Groves)<br>アーティスト、イラストレーター、デザイナー。<br>

芦村 京(アシムラ タカシ)

1969年、東京都生まれ。東京外国語大学外国語学部モンゴル語学科、同大学院地域文化研究科アジア第一専攻、中国内モンゴル自治区の内モンゴル師範大学などを経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻(言語学)博士課程に在学中。著書に『モンゴル現代史』(共訳、明石書店)、論文に「デード・モンゴル(青海モンゴル)の生活習慣に関する覚え書き」(『日本とモンゴル』No.96、社団法人日本モンゴル協会)、「内モンゴルの言語事情——危機言語という観点から」(『日本とモンゴル』No.105)など。<br>

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