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アスペルガー症候群がわかる本 クリストファー・ギルバーグ(著) - 明石書店
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アスペルガー症候群がわかる本 (アスペルガーショウコウグンガワカルホン) 理解と対応のためのガイドブック
原書: A Guide to Asperger Syndrome

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発行:明石書店
A5判
180ページ
並製
定価 1,800円+税
ISBN
978-4-7503-1835-6   COPY
ISBN 13
9784750318356   COPY
ISBN 10h
4-7503-1835-3   COPY
ISBN 10
4750318353   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2003年12月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

アスペルガー症候群とは何か。定義や特徴のほか,自閉症やAD/HDなど関連する障害との違いや関係性,治療の可能性や具体的症例など,近年急速に注目を集めつつあるアスペルガー症候群に関して,同分野における第一人者が詳説。

目次

日本語版への序文
序文

第1章 はじめに
第2章 定義
第3章 発生率
第4章 小児期の症状
第5章 思春期の症状
第6章 併発する精神障害・社会的障害
第7章 その他の問題
第8章 アスペルガー症候群の人の優れた能力
第9章 背景因子
第10章 認知神経心理学的研究
第11章 診断と検査
第12章 長期的予後――成人期のアスペルガー症候群
第13章 関わり方・介入・治療
第14章 誰に相談するか?
第15章 アスペルガー症候群だったかもしれない著名な天才たち
第16章 症例紹介

資料1 ASDI(アスペルガー症候群診断面接法)
資料2 ASSQ(高機能自閉症スペクトラム障害のスクリーニング質問票)
資料3 ASDASQ(成人自閉症スペクトラム障害のスクリーニング質問票)

解説◎田中康雄
参考文献
索引

前書きなど

 非常に幼い頃から、他人との社会的なかかわり合いに問題を示す子どもたちが存在する。彼らの一部には、「自閉性障害」という症状が見られる(「小児自閉症」と呼ばれることもあるが、自閉症は小児期に限られる症状ではないため、この名称は誤りである)。これは通常、重度の慢性的障害で、生涯にわたって適応に問題が生じ、大人になってからも自立した生活を送ることが困難である。また、早期に社会的相互作用の問題を示す子どもたちのかなり多くが、「自閉的特徴」を有する。これは本格的な自閉症に至るものではないが、社会的適応や、時には学業面に大きな問題を引き起こす。この集団は、一部の専門家(医師、臨床心理士、障害児教育専門家)から「自閉症スペクトラム障害」と名づけられていた。現在では、こうした子どもたちの多くが、アスペルガー症候群と診断される。 1944年、オーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーが、今では彼の名がつけられているこの症候群を初めて記述した時、彼は、「早期幼児自閉症」に関する精神科医レオ・カナーの著作を知らなかった。後にカナーの症候群について知ったアスペルガーは、これを、自分が記述した「自閉的精神病質」といくらか症状は似ているが、基本的には全く別の障害であると考えた。今日、ほとんどの専門家は、カナーの自閉症とアスペルガー症候群を同じ障害スペクトラム(あるいは障害群)の一部とみなしているが、いくつかの経験的研究では、これに反する証拠も見つかっている。いわゆる高機能自閉症とアスペルガー症候群の区別に際しては、鑑別診断上、特有の問題がついてまわる。それは、両者は同一の障害なのか、それとも2つの別々の症状なのか、という課題だ。高機能自閉症という用語は、議論を招きやすい。名前からすると、自閉症が高機能であるように思えるが、実際は、自閉症自体は非常に重度なこともあっても、患者個々が高機能(high-functioning)であるという意味なのだ。この本では基本的に、アスペルガー症候群が高機能自閉症という概念とほぼ重複するように思われるだろう。 アスペルガー症候群はきわめてまれな障害ではなく、おそらく子ども200人に1人の割合で見られる。症状は一般に一生続くため、大人における発生率も同程度だろう。女児とくらべ男児にかなり多く見られるが、アスペルガー症候群の女児は、誤診されたり、あるいは全く見落とされたりしていることが多いことを心にとめておく必要がある。これは、女児の場合、行動面の症状が少しあるいはいくらか異なるため、もしくは、女児は一般に男児とくらべ、大きな問題の有無にかかわらず、学校で注意を引きにくいためと考えられる。 アスペルガー症候群の子どもや大人は(生後最初の数年を除き)、優れた表出言語能力(書く能力を含む)を持つことが多い。これに対し、実際的なコミュニケーションにはしばしば極端な問題を示す。アスペルガー症候群の中核にあるのは、このような、本当の意味で他人と相互作用を持つことができないという問題だ。就学前に、同年齢の友達、兄弟姉妹、教師、親の立場に立ってものを考えることができないという機能障害が見られるのも、これに関連するのかもしれない。だが学齢期になって、基本的な心理化能力/共感性能力が現れてからも、日常的な社会的相互作用やコミュニケーションの相互作用は、依然としてぎこちなく、緩慢で形式ばっていて、直観性に欠ける。日常的な決まりに固執し、狭い興味を没入的に追及するせいで、社会的相互作用の発達がさらに妨げられている可能性もある。感覚知覚に異常がある場合もあり、「実際的な」ものごとに対処するのが極端に難しい。思春期前後に他の精神障害(うつ病性障害、「微細精神病」エピソードなど)が現れるせいで、心理的・社会的予後が悪化することも多い。まれに反社会的な過激な犯罪行動を起こし、メディアから大きな注目を集めることもあるが、こうした行動の発生率は、おそらくアスペルガー症候群ではない人々と変わらないと思われる。 アスペルガー症候群の予後は、早期診断、心理教育的介入、障害を理解し受け入れようという周囲のかかわり方(だが「放任する」わけではない)によって、改善すると思われる。だからこそ、アスペルガー症候群は、親や教師、「専門家」にとってのみならず、社会全体にとっても大きな課題なのだ。日々の生活の中で自閉症スペクトラム障害と取り組んでいる人々(本人、家族、友達)だけでなく、一般市民の間においても、この障害に関する知識を向上させることが、何よりも優先すべき最も重要な介入方法だ。この本は、医師のみにとどまらず、アスペルガー症候群の人やその家族にも共通の知識基盤を与えることを目的としている。こうして経験的知識を共有して初めて、アスペルガー症候群の人に真の意味での進歩と生活の質の向上をもたらすことができるだろう。 この本は現在、数カ国後に翻訳されている。今回、日本語版が出版され、この本が異なる文化のもとで暮らす家族や専門家の手にわたることを、非常に嬉しく思っている。アスペルガー症候群はあらゆる国で見られる障害だ。文化に関係なく、世界中で同じ特徴が表れている。私は、スウェーデン、イギリス、アメリカ、フランス、ブラジル、イスラエル、ヨルダン、南アフリカ、ニュージーランド、日本、それに大西洋の孤島でも、アスペルガー症候群を目にしてきた。アスペルガー症候群は国境のない神経発達障害であり、決してきわめてまれなものではない。すべての人が、この障害について知る必要があるのだ。日本語版への序文 著者

著者プロフィール

クリストファー・ギルバーグ  (ギルバーグ,クリストファー)  (

(Christopher Gillberg, Ph.D.)<br>1950年スウェーデンのイェーテボリ生まれ。イェーテボリ大学にて医学博士号取得(1973)、&#34;Neuropsychiatric Aspects of Perceptual, Motor and Attentional Deficits in Seven-year-old Swedish Children&#34;(1981)のテーマでウプサラ大学にて博士号(Ph.D.)を取得。<br>現在、イェーテボリ大学児童青年精神医学科教授、セントジョージ病院医学校(ロンドン)教授やクイーンシルビア児童病院(イェーテボリ)児童精神神経科医長、European Child and Adolescent Psychiatry編集長、Journal of Child Psychology and Psy-chiatry、Journal of Autism and Developmental DisordersおよびDevelopmental Medicine and Child Neurologyの編集委員。<br>これまでに発表した論文数は360以上にのぼり、英語で刊行された主な著書・共著・編著書として、The Biology of the Autistic Syndromes(New York: Praeger, 1985)やDiagnosis and Treatment of Autism(New York: Plenum Press, 1989)、Clinical Child Neuropsychiatry(Cambridge University Press, 1995)、Developmental Disability &#38; Behaviour(London: Mac Keith Press, 2000)等がある。

田中 康雄  (タナカ ヤスオ)  (

1958年生まれ。児童精神科医。獨協医科大学医学部卒業。現在、国立精神・神経センター精神保健研究所 児童・思春期精神保健部児童期精神保健研究室長、日本児童青年精神医学会評議員、児童虐待の防止等に関する専門委員会(厚生労働省雇用均等・児童家庭局)委員、児童虐待防止対策治療・支援研究会委員(日本児童福祉協会)、小・中学校におけるLD、ADHD等の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン策定メンバー(文部科学省)等。<br>著書に、『アスペルガー症候群の理解と対応―新しい障害のモデル(ICF)から考える』(共著、えじそんブックレット、2003年)『ADHDの明日に向かって―認めあい・支えあい・赦しあうネットワークをめざして』(星和書店、2001年)、『おとなのADHD―社会でじょうずに生きていくために』(監修、VOICE出版、2000年)等。

森田 由美  (モリタ ユミ)  (

1970年京都生まれ。翻訳者。京都大学法学部卒業。訳書に『子ども虐待問題百科事典』(明石書店、2002年)。

上記内容は本書刊行時のものです。