世界銀行で働く日本女性貧困に立ち向かう仕事
西水 美恵子:著
発行:明石書店 この版元の本一覧
四六判 216ページ 上製
定価:1,800円+税 総額を計算する
ISBN 978-4-7503-1803-5 (4-7503-1803-5)
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奥付の初版発行年月:2003年10月 書店発売日:2003年11月10日
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紹介

エジプトのスラム街,目の前で栄養失調の女の子が息を引き取っていく姿を直視した著者が心に決めたことは……。60年代末の大きな社会変動を経験しつつ経済学者となり,キャリアを積んでいた著者が体験した発展途上国の貧困解消のためのプロジェクト活動記録。

目次

刊行によせて ガールズ・ビー・アンビシャス! 森山眞弓

1 世界銀行副総裁として働く

1 私の学生時代
アメリカとの最初の関わり/「自分は女だから、やりたいこともできない」/アメリカの高校に留学/「自分のことは自分でしなさい」が母の口癖/小学校のころの原体験/よい先生にめぐりあう/ガウチャー大学という女子大の個性/ガウチャーで学んだこと/「日本人でなくなる」ことへの恐怖感/「もう日本には帰りません」/女として思ったことをいえない日本社会/女子を一人教育すると、何世代にもつながる
2 情熱的なスタッフとともに、国づくりの夢を
大学の助教授から実業の世界へ転身/「世界銀行に来ませんか」/草の根レベルからの国づくりの夢/世界銀行の多彩なスタッフ/オープンな人間関係がたいせつ/多岐にわたる専門知識/スタッフの前で自分の全部をさらけ出す/「サイレンスを聞きなさい」/「あなた、何かいうことなかったの」/月に一回、日本人の女性スタッフが集まる会を/海外で働くなら、向こうで骨を埋める覚悟を
3 女性の解放が急がれる理由
女性解放に力を入れる/貧困は解消できる/顧客の女性のニーズを理解するために/村の女性の生活を「ハートでわかる」ことのたいせつさ/水汲みに六時間を費やしていた/「旅日記」を付けて部下に配る/煙もうもうの中で作ったパンはおいしいけれど……/融資の効果が出るまでには時間がかかる/電灯がつくと、女性が勉強できる/発展途上国における“電気”と“賄賂”の関係/スピリチュアルな健全性のたいせつさ/リーダーシップの問題/女性の解放が経済的にも必須条件である/「あれは男たちがやっていることです」
4 南アジアの貧困と希望
発展途上国のニーズの変化に対応/エイズ問題で、インドが示した先見性/エイズ予防のPR作戦/女性の首相、女性の大統領/「これから怒りますよ、首相」/ムシャラフ大統領との会見で/家庭教育のたいせつさ/スリランカの問題/男子を追い越したバングラデシュの女子進学率/真の説得力はどこから出てくるか/中堅クラスの改革意欲を引き出す/大臣に「あなたは泥棒をしていますね」/息の長い仕事/「ノー」ということのたいせつさ
5 ブータンとモルディヴが示す地球の将来
モルディヴとブータンに見る戦略的思考/小国であることの自覚に立って/“国民総幸福”という目標/アドバイザーとしての役割/お金を貸すことが第一の仕事ではない/一度関わると病みつきになる国/中国出張で変わった中国観/ハンガリーの経済改革に参加して/チームリーダーを引き受ける/二〇年後に実を結びはじめた!/重要な会議は、公園やディスコで/ほんとうの意味の融資とは
6 仕事のあとの心残り
仕事のあとの心残り/ユーゴスラビアの悲劇の予兆/よい指導者を選ぶには/トルコとパキスタンに見る運不運/改革を挫折させる政治/人を見つける/政治と欲望の中で、正義感をどう活かすか/仕事の夢にうなされる/うまくいったプロジェクトも気がかり

2 世界銀行で働く日本女性たち

1 国際開発の源には「人」がある(牧野由佳)
開発への関心/夢の実現に向けて/夢の実現/信頼関係/柔軟性/専門性/情熱/後輩へのメッセージ
2 世界銀行の使命の終了にチャレンジを!(松川智子)
「子どもたちに笑顔を」が究極の理想/途上国への資金調達ビジネス/初仕事は中国への融資の援助/七年がかりでまとめたベトナムの民活インフラプロジェクト/東アフリカのビクトリア湖保全に努力/まず、専門分野での経験を
3 途上国の国づくりに貢献(坂入ゆり子)
アパルトヘイトへの関心から/初仕事で南アフリカへ出張/いまはなきホームランドで/内戦のモザンビークで出会った日本人女性/モザンビークでの構造改革/初めての電気の感動/国づくりに参加/国を変える力は国の中から

3 女性と貧困を考える

1 エンパワーメントとリーダーの資質
南アジアの人びとに教えられたこと/貧困のもたらすもの/村の女たちのしとげたこと/エンパワーメントの偉力/リーダーの資質を考えよう/主体性の尊重を/指導者の謙虚と寛容
2 エネルギー、ジェンダー、貧困削減
女性と子どもの健康と教育なしにはなくならない貧困/女たちの「暗闇」/女性たちの夢と希望/エネルギー、ジェンダー、貧困削減……

あとがき

前書きなど

どういうきっかけであったか覚えていませんが、数年前初めて西水美恵子さんとお会いしました。世界銀行の副総裁になられたばかりで、私を議員会館に訪ねてくださったのだったと思います。 私は国際機関に日本人をもっと出したい、特に女性を……と言い続けていましたので、西水副総裁の誕生を喜び、心から歓迎いたしました。そして日本の女性たちを激励して、世界的に活躍する日本女性をもっと増やすよう西水さんにも力を貸していただきたいとお願いしたのでした。 その一つの方法として西水さんご自身や同じような日本女性の経験談を書いて本にしていただいたらきっと効果があるでしょうと提案しました。西水さんはそれを真面目に取り上げてくださり、世界を飛び回る忙しさの中でも忘れず、仲間にも話しかけていただいて今回この本出版の運びとなったのです。 西水さんは北海道の美唄町で育ち、東京都立高校の出身で、真面目な勉強家の学生でした。はじめから外国で活躍するという条件がととのっていたというわけではありません。 高校のときアメリカに留学する機会があり、アメリカの社会では女性に対する偏見が日本より少なく、能力を伸ばしやすいと、自分で考えて決断し、大変な努力の末、一九七〇年に大学を卒業しました。 その後経済学者としてプリンストン大学の助教授となったのち、一九八〇年に世界銀行に入り、世界中の途上国の国づくりに大きな貢献をしてこられました。 その西水さんは二三年の実績のあと、まもなく世界銀行を退職されることになりました。まだお若いのに惜しいことと思いますが、またこれが西水さんの熟慮の上のいさぎよさかなと感じます。これから多少のゆとりを持って人生を楽しまれるおつもりかとも思います。 それも悪くありませんが、長く、広い国際的な活動の結果つちかわれた、世界中にはりめぐらされた貴重な人脈と豊富な途上国支援の経験は西水さんだけのものではなく、これからの日本にとって大切な財産です。どうぞこの財産を生かして、世界平和のため、日本のために、そして女性のためにも、さらに大きな貢献をしてくださるように心から願ってやみません。 この本を読んでいただく若い女性の皆さんに私からも一言。ガールズ・ビー・アンビシャス! 刊行によせて ガールズ・ビー・アンビシャス! 法務大臣・衆議院議員 森山眞弓

著者プロフィール

西水 美恵子(ニシミズ ミエコ)

1975年、米ジョンズ・ホプキンズ大学博士課程終了後、米プリンストン大学助教授(経済学)。80年世界銀行入行、生産性調査局開発リサーチ課開発政策担当スタッフ、産業戦略・政策局上級エコノミストなどを経て97年より南アジア地域担当副総裁。日本人女性として初の世銀副総裁に。南アジア担当として、アフガニスタンやスリランカの復興支援なども手がけた。2003年12月に世銀を退職。

上記内容は本書刊行時のものです。


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