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日本語音韻史の動的諸相と蜆縮涼鼓集 高山 知明(著) - 笠間書院
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日本語音韻史の動的諸相と蜆縮涼鼓集 (ニホンゴオンインシノドウテキショソウトケンシュクリョウコシュウ)

文芸
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発行:笠間書院
A5判
224ページ
上製
定価 3,300円+税
ISBN
978-4-305-70734-5   COPY
ISBN 13
9784305707345   COPY
ISBN 10h
4-305-70734-9   COPY
ISBN 10
4305707349   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0081  
0:一般 0:単行本 81:日本語
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年6月
書店発売日
登録日
2014年5月7日
最終更新日
2014年10月2日
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紹介

当時の話者の視点に立ち
過去の音変化をとらえ直す

「しじみ(蜆) ちぢみ(縮) すずみ(涼) つづみ(鼓)」
元禄期の京都でジとヂ、ズとヅの音の違いを説く『蜆縮涼鼓集』。
従来説の限界を越え、その背景に光を当てる。
タ行ダ行の破擦音化、ジヂ・ズヅ音の合流、濁音の前鼻子音消失化といった
各変化の関係を解きほぐし、日本語の歴史の持つ意義を再認識する。

【 取り扱う対象言語は日本語であっても、言語史研究の目的のすべてが、日本語について明らかにすることというわけではない。より重要なのは、日本語の事例研究を通して、言語変化に対する理解を深めることである。そのためには、もちろん各時期の音の体系や音価を明らかにすることも重要だが、それを課題とするだけに留まらない。...書き手のものの見方を問題にするかたちで文献の内容を読み解くことを目指す。まず当該文献の書き手の言語認識に焦点を当て、その上で、その認識が生じる背景を探っていく。それによって、変化の動的側面に光を当てることも可能になる。その場合の動的側面とは、変化の具体相であり、それをわずかでも見出すことを目的とする。...第4章より】

目次

第1章 序論
1.本論の意図
2.変化が持つ複雑性
3.言語変化の把握の仕方
4.個別言語史としての視点
5.本論の特色
6.用語の規定
6.1.前鼻子音に関する用語
6.2.四つ仮名に関する用語
7.本論の構成と概要
8.既発表論文との関係
(付)資料文献、参考文献の表示方針について

第2章 タ行ダ行破擦音化の音韻論的特質
1.はじめに
2.タ行ダ行の破擦音化
3.問題点
4.タ行ダ行破擦音化の音声条件
5.母音に関するシジスズとチヂツヅの平行性
6.タ行ダ行における破擦音の発生ー摩擦による識別の拡張化
7.出来事としての複合性ー両破擦音化の遅速の問題
8.タ行ダ行破擦音化後にできた下位体系
9.現代語における歯茎阻害音の口蓋性
10.残された問題

第3章 前鼻子音の変化と話者の感覚
1.はじめに
2.用語「濁音」の曖昧性
3.用語の問題点
4.前鼻要素消失と濁音の認識変化
5.『以敬斎口語聞書』細部の検討
6.『和字正濫鈔』の再検討
7.まとめと課題:前鼻要素消失と撥音との関係

第4章 前鼻子音から読み解く蜆縮涼鼓集
1.本章の目的と趣旨
2.『蜆縮涼鼓集』とは
3.『蜆縮涼鼓集』および音韻史に関する課題
4.文献間の相違
5.『蜆縮涼鼓集』の「実態」認識と発音法
6.撥音と前鼻要素
7.「鼻に入る」を取らない理由
8.撥音に注意を向けた理由
9.「平地(へいぢ)」誤入の背景としての鼻音
10.「濁るといふも其の気息の始を鼻へ洩すばかりにて」
11.まとめ

第5章 蜆縮涼鼓集の背景ー謡曲の発音との関わりー
1.はじめに
2.京の「実態」に関する疑問
3.『蜆縮涼鼓集』と謡曲の発音
4.『当流謡百番仮名遣開合』(『謡開合仮名遣』)
5.撥音に対する注意と『蜆縮涼鼓集』
6.微妙なズレに関する取り扱い
7.謡曲との関係性の内容面の検証
7.1.五十音図の問題
7.2.京の発音「実態」を示す語例の出自
7.3.「高砂」
8.まとめ

第6章 耳障りなザ行音の「発生」
1.はじめに
2.問題の所在
3.謡曲における発音の取り扱い
4.謡曲におけるザ行音の取り扱いとその問題点
5.ザ行の過剰訂正
6.合流の過程としての撥音後における対立の中和
7.撥音後が意識される更なる理由
8.まとめ

第7章 二つの変化の干渉
1.はじめにーー偶発性
2.個別言語史の価値
3.前鼻子音
3.1.古代語の前鼻子音
3.2.17世紀のザ行
3.3.語頭の濁音
4.前鼻子音のゆくえ
5.二つの変化の重なり
6.史的過程としての干渉
7.「二説の対立」問題(先行論文の検討ーその1)
8.鼻音と閉止との「関連性」(先行論文の検討ーその2)
9.文献上の現れと変化の進行
10.構造面への反映ーー母音間での摩擦音化の傾向
11.おわりに

第8章 終章
1.現象の切り取り方
2.『蜆縮涼鼓集』の問題
3.残された問題

参照文献
資料文献
あとがき
主要語句索引

著者プロフィール

高山 知明  (タカヤマ トモアキ)  (

1963年 三重県伊勢市生まれ。
1986年 筑波大学第一学群人文学類言語学主専攻(日本語学)卒業。
1992年 筑波大学博士課程文芸・言語研究科言語学(日本語学)単位取得満期退学。
香川大学教育学部助教授を経て、現在、金沢大学人間社会研究域・歴史言語文化学系教授。
2012年 博士(言語学)。

主要論文等(本書で扱ったものを除く)
・「日韓両言語の流音の役割に関する共通点と相違点」『日本語学・日本語教育 2音韻・音声』(韓美卿編、韓国:J&C.2013年)。
・「促音による複合と卓立」『国語学』182集(1995年)。
・「日本語における連接母音の長母音化―その歴史的意味と発生の音声的条件―」『言語研究』101号(1992年)。
・『朝倉日本語講座第3巻 音声・音韻』(上野善道編)「第2章 現代日本語の音韻とその機能」(2003年)。

上記内容は本書刊行時のものです。