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日本と〈異国〉の合戦と文学
日本人にとって〈異国〉とは、合戦とは何か
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年10月
- 書店発売日
- 2012年10月30日
- 登録日
- 2012年9月26日
- 最終更新日
- 2012年10月30日
紹介
日本人にとって、異国とは何か、合戦とは何か。
列島の中にあって、異国とは戦わずに過ごしてきたかのように言われることも多い日本人だが、
そうした把握は果たして正しいのだろうか。
日本人の〈異国〉認識とはどのようなものか?
〈異国〉との合戦はどのように意識されるのか?
「合戦」を描く物語とはどのようなものか?
〈異国〉との戦いを描く文献は、軍記物語とどう重なり、どうずれるのか?
あらためて上記の問題を問い直していく書。
2011年12月3日に、青山学院大学で行われたシンポジウムの記録である。
【……私自身は、近代の初めに作られた「文学史」の枠を越えることを一つの問題意識としていたし、また、時代別学会という日本文学研究の制度の枠をどう揺さぶるかを考えてもいたが、そのような問題意識自体、なお、従来の枠組みにとらわれたものであったかと思う。パネリストの報告は、最初から、そうした既成の枠を軽々と飛び越えて、日本人の精神の歴史という舞台上を縦横にかけめぐった。そして、コメンテーターも、小峯和明氏や井上泰至氏を初めとするフロアの方々も、充実した新鮮な議論を展開してくれた。私自身、司会をしながら、さまざまなことを教えられ、蒙を啓かれたことであった。
〈異国〉とは何か、「合戦」とは何か、私たち日本人は、それらをどのように考えてきたのか……それらの問題を、古代から近代にわたるさまざまの材料によって考える議論は、何学と呼ぶべきなのだろうか。それもやはり、「文学研究」であるだろう。日本人が考えてきたこと、感じてきたことはすべて「日本文学研究」の対象であり、今生きている私たちの思考や感性がどこに由来するのか、それを追究することはすべて「日本文学研究」であり得るということを、今、改めて感じている。……】…あとがき(佐伯真一)より
目次
はじめに ◉ 佐伯真一
■第1部 趣旨説明
○日本人にとって〈異国〉とは、合戦とは何か◉ 佐伯真一
1 はじめに─日本文学は国内の合戦のみを描いたのか?
2 〈征夷〉の記憶
3 〈征夷〉と〈異国〉合戦の交錯
4 〈異国〉合戦の諸相
5 異域渡航の英雄
6 〈異国〉合戦と琉球・朝鮮
7 おわりに
■第2部 シンポジウム
○琉球侵略の歴史叙述―日本の対外意識と〈薩琉軍記〉―◉ 目黒将史
1 はじめに
2 琉球侵略の歴史叙述─琉球・ヤマト双方の資料から―
3 〈薩琉軍記〉の語る琉球侵略
4 〈薩琉軍記〉の描く歴史叙述の背景─琉球使節到来から貸本屋、寺子屋まで─
5 おわりに
○敗将の異域渡航伝承を巡って―朝夷名義秀・源義経を中心に― ◉ 徳竹由明
1 はじめに
2 朝夷名三郎義秀の高麗渡航伝承の展開
3 源義経の蝦夷渡航伝承
4 おわりに
○古代・中世における仮想敵国としての新羅◉ 松本真輔
1 はじめに
2 新羅に侵攻する日本の諸相
3 神功皇后の新羅侵攻譚
4 推古天皇代の新羅侵攻とその後
5 新羅の恐怖と自然災害
6 『聖徳太子伝暦』と新羅の脅威
7 神功皇后の新羅侵攻譚と津波
8 聖徳太子の新羅侵攻譚と絵伝
9 まとめ
○太閤記・朝鮮軍記物の近代―活字化・近代太閤記・再興記―◉ 金時徳
1 問題の設定
2 活字化─『絵本太閤記』の場合
3 近代太閤記─歴史小説と偉人伝
4 朝鮮軍記物の終末─『仮年偉業豊臣再興記』
5 結論と課題
■第3部 討議
コメンテーターより[牧野淳司氏]
コメンテーターより[大屋多詠子氏]
目黒将史氏による返答
徳竹由明氏による返答
松本真輔氏による返答
金時徳氏による返答
フロアーより[小峯和明氏]
小峯和明氏の発言を受けて[パネリスト全員]
フロアーより[井上泰至氏]
あとがき ◉ 佐伯真一
上記内容は本書刊行時のものです。