版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
王朝和歌の想像力 鈴木 宏子(著) - 笠間書院
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

注文電話番号:
注文FAX番号:
注文メール:
注文サイト:

在庫ステータス

品切れ・重版未定

取引情報

取引取次:
ト・日     書店
直接取引:なし
返品の考え方: 返品フリー

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

王朝和歌の想像力 (オウチョウワカノソウゾウリョク) 古今集と源氏物語 (コキンシュウトゲンジモノガタリ)

文芸
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:笠間書院
A5判
486ページ
上製
定価 12,000円+税
ISBN
978-4-305-70675-1   COPY
ISBN 13
9784305706751   COPY
ISBN 10h
4-305-70675-X   COPY
ISBN 10
430570675X   COPY
出版者記号
305   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
品切れ・重版未定
初版年月日
2012年10月
書店発売日
登録日
2012年9月21日
最終更新日
2019年2月25日
このエントリーをはてなブックマークに追加

紹介

歌や物語をつくりだす想像力という働きを追う書。

本書は、和歌の表現の〈型〉を析出し、その形成過程を『万葉集』から『古今集』へ、さらに王朝和歌へとつづく和歌史の中で跡づける。その共通の〈型〉から個々の歌のかたちが出来上がっていく創造の仕組みはどのようなものであるか。
また、特有の〈型〉をもつ言語である歌が、物語の中でどのように機能し何をもたらすのか、そして物語が歌に何を与えているのか考察する。

【本書は、Ⅰ「古今和歌集と和歌史」、Ⅱ「源氏物語と和歌」という二つの柱をもつ論文集であり、収録した論文は、次の三つの問題意識を念頭において、個々の作品を読み解いたものである。第一は、和歌の表現の〈型〉を析出し、その形成過程を『万葉集』から『古今集』へ、さらに王朝和歌へとつづく和歌史の中で跡づけること。第二は、その共通の〈型〉から個々の歌のかたちが出来上がっていく、創造の仕組みを追求すること。第三は、特有の〈型〉をもつ言語である歌が、物語の中でどのように機能し何をもたらすのか、また物語が歌に何を与えているのか考察すること。これらに通底するのは、歌や物語をつくりだす想像力の働きをよりよく理解したいという願いであることから、本書のタイトルは『王朝和歌の想像力―古今集と源氏物語―』とした。......序章より】

目次

序章 王朝和歌の想像力―本書の構成と問題意識―

Ⅰ 古今和歌集と和歌史

一章 古今和歌集の文学史
一 仮名序が語る和歌史 二 よみ人知らずの歌と六歌仙時代 三 寛平期から『古今集』への飛躍 
四 『古今集』の創意 五 桜の歌群に見る類型と個 

二章 古今和歌集のレトリック―生動する歌ことば―
一 『古今集』の「雁」の歌 二 〈景物の組合せ〉―万葉から古今へ― 
三 〈見立て〉―漢詩文から和歌へ― 四 〈序詞〉〈掛詞〉〈縁語〉 五 歌ことばの連鎖

三章 古今和歌集の〈喩〉―表現・構文・配列―
一 〈喩〉の研究小史 二 見立ての〈喩〉/序詞の〈喩〉 三 〈喩〉を含む歌の構文 
四 『古今集』の配列―実景から〈喩〉への移り変わり―

四章 〈人知れず〉とその周辺―万葉から古今へ―
一 相聞から恋歌へ 二 恋を隠す歌の系譜 三 「人」とは誰か 
四 万葉の「人知る」/古今の〈人知れず〉 五 〈忍ぶれど...〉型の成立

五章 古今和歌集の恋歌
一 恋歌の中の和歌史 二 恋三の方法―業平の歌の力―
三 万葉の類句から古今の歌ことばへ―心象表現の展開― 四 「忘らるる身」の発見/忍ぶ恋の成立 

六章 溢れる「こころ」と型―在原業平「月やあらぬ」の歌を中心として―
一 型と個の問題 二 「月やあらぬ」の歌と詞書 三 月から春へ―〈月と梅の組合せ〉からの逸脱―
四 〈景物の組合せ〉の欠落―「世の中に」の歌― 五 「代白頭吟」からの離陸
六 「我が身ひとつ」―個の身体の発見― 七 業平の歌の構造―「句切れ」と「対比」のリズム―

七章 〈型〉を創る力―紀貫之における歌集編纂と作歌―
一 紀貫之のリテラシー 二 『古今集』のための作歌の可能性―屏風歌の問題―
三 『古今集』春歌の貫之の歌 四 〈桜を波に見立てる〉型の創造

八章 紀貫之の恋歌
一 歌集編纂という営み 二 万葉相聞歌の〈型〉を継承する 三 よみ人知らず歌の〈型〉を精錬する
四 貫之から始まる〈型〉

九章 古今和歌六帖の史的意義
一 『古今和歌六帖』とは 二 『古今六帖』から見る十世紀後半の和歌の動態―「雁」を例として―
三 『古今六帖』の中の和歌史―「忘る」「忘れず」を例として―

十章 和泉式部百首覚書―春歌二十首を読む―
一 初期百首とはどのような作品か 二 「和泉式部百首」について 三 春歌の構成と配列 
四 春歌の表現

十一章 和泉式部百首恋歌十八首について
一 「和泉式部百首」恋歌の特徴 二 万葉的なるものへの志向 三 女が「見る」恋歌
四 不在の恋人を招来する歌

十二章 「語らへばなぐさむこともあるものを」―和泉式部の表現―
一 『正集』一七三番歌の検討 二 歌ことば「語らふ」と和泉式部
三 「語らふ」ことによって「なぐさむ」という歌

十三章 王朝秀歌撰
一 秀歌撰とは何か 二 藤原公任の秀歌撰 三 紀貫之の秀歌の変遷

十四章 平安歌人たちの稲荷―屏風歌・恋・風景―
一 始まりは屏風歌から 二 恋を司る神 三 風景としての稲荷山

Ⅱ 源氏物語と和歌

十五章 三代集と源氏物語―引歌を中心として―
一 『源氏物語』と和歌 二 三代集の引歌 三 『古今集』雑下と『源氏物語』
四 『後撰集』に見られる父祖の系譜 五 『拾遺集』から初音巻へ

十六章 若紫巻と古今集
一 若紫巻の構造 二 若紫巻と『伊勢物語』 三 紫の上求婚歌群と『古今集』(一)―晩春の北山―
四 紫の上求婚歌群と『古今集』(二)―晩秋から初冬へ― 五 藤壺宮との逢瀬と『古今集』恋三

十七章 紫の上の歌―贈答歌・独詠歌・唱和歌―
一 光源氏への返歌から贈歌へ、そして他者に開かれる歌へ
二 光源氏との贈答歌(一)―男君に与えられたことば― 
三 光源氏との贈答歌(二)―会話からいざなわれる贈歌― 
四 返歌をされる独詠歌―贈答歌・独詠歌・唱和歌の分類― 五 開かれていく歌―哀傷の唱和歌―

十八章 葛藤する歌―藤壺宮の独詠歌について―
一 藤壺宮の歌の難しさ 二 紅葉賀巻試楽翌朝の贈答歌 三 花宴巻の独詠歌と語り
四 独詠歌によって表現されるもの

十九章 藤壺宮の流儀―「袖ぬるる露のゆかりと思ふにも」―
一 藤壺宮の三組目の贈答歌 二 解釈上の三つの問題点 三 「なほうとまれぬ」の表現史
四 「袖ぬるる露のゆかり」

二十章 光源氏の渇愛―物語の歌を読む豊かさ―
一 賢木巻の贈答歌 二 光源氏の「心」を見つめる藤壺宮 三 解釈上の問題点 四 光源氏の歌
五 王朝物語の外への想像力 六 藤壺宮の歌 七 「心」を「仇」と知る 八 藤壺宮の出家へ

二十一章 〈心を置く〉という和歌―愛情と隔意のはざま―
一 解釈上の疑問 二 〈心を置く〉の意味 三 「心をかける」と「心を隔てる」
四 再び藤壺宮の歌へ

二十二章 本居宣長『玉の小櫛』の和歌解釈―光源氏と藤壺宮の贈答歌―
一 歌を詠む者は『源氏物語』を読め 二 「言ふよしなき心地」

二十三章 琴と潮騒―光源氏と明石の君の贈答歌―
一 明石の君の物語と歌 二 須磨・明石の基調音と光源氏の琴 三 詩歌の中で培われた聴覚表現
四 求愛の贈答歌―「宿の梢」「まだ見ぬ人」―
五 逢瀬の夜の贈答歌―「むつごと」「明けぬ夜にまどふ心」― 六 離別の歌と再会の歌
七 潮騒の途絶えるとき―贈答歌の終焉―

二十四章 幻巻の時間と和歌―想起される過去・日々を刻む歌―
一 光源氏最後の一年 二 想起される過去―雪の暁・花の庭―
三 過去をなぞる人々―蛍兵部卿宮・女三の宮・明石の君― 四 花散里の歌―その解釈の再検討―
五 日々を刻む歌―「宿」から「今日」へ― 六 過去との訣別―「長恨歌」と『竹取物語』―

終章 水なき空に立つ波―この本を編んでいたころ―

初出一覧

和歌索引

著者プロフィール

鈴木 宏子  (スズキ ヒロコ)  (

1960年 栃木県宇都宮市生まれ。1979年 茨城県立水戸第一高等学校卒業。1983年 お茶の水女子大学文教育学部国文学科卒業。1986年 東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程修士課程修了。1991年 東京大学大学院人文科学研究科国語国文学専門課程博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。現職 千葉大学教育学部教授。専攻 平安文学 和歌文学。単著 『古今和歌集表現論』(笠間書院 2000年)、共著 『後拾遺和歌集新釈 上・下』(笠間書院 1996年・1997年)、『和歌文学大系 18巻』(明治書院 1999年)。共編著『和歌史を学ぶ人のために』(世界思想社 2011年)。

上記内容は本書刊行時のものです。